三菱電機、シャープから福山工場の一部を取得

パワーデバイス生産量を倍増へ

主力工場の熊本工場のクリーンルーム内部

 三菱電機㈱は、シャープ㈱から同社の福山事業所(広島県福山市)の一部の土地・建屋などを取得し、パワーデバイスのウエハープロセス製造拠点を開設すると発表した。土地・建屋・既存設備の取得や今後の設備投資に総額約200億円を充て、2021年11月に稼働させる。世界的な省エネや環境保護志向の高まりに加え、各国の自動車の電動化政策で、電力を効率よく制御するパワー半導体製品の需要が増加していることに対応する。

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2棟取得で生産能力を倍増

 三菱電機が取得するのは、シャープ福山事業所に4棟ある工場のうち第2工場と第3工場で、規模は3階建て延べ床面積約4万6500㎡。生産能力は公表していないが、これにより三菱電機は、パワーデバイスのウエハープロセスの能力を現有の2倍に引き上げる計画。採用するウエハーサイズは現状未定という。

22年度にパワーデバイスで2000億円目指す

 三菱電機は、パワーデバイス事業の売上高を2022年度に2000億円に拡大する方針を打ち出している。パワーデバイスを同社の成長を牽引する8事業の1つに位置づけ、民生、自動車、産業、電鉄・電力の4分野をターゲットに展開。IGBTモジュールを主力として営業利益率10%を目指す。

 半導体事業の生産体制として、前工程をパワーデバイスはパワーデバイス製作所熊本工場、高周波・光デバイスは高周波光デバイス製作所に持つ。熊本工場に5、6、8インチ、高周波光デバイス製作所に高周波デバイス用GaAs(ガリウムひ素)4インチ、通信用半導体レーザーダイオード(LD)用InP(インジウムリン)2インチのウエハーラインをそれぞれ有している。

パワーデバイス裏面工程を強化中

 生産面に関しては、三菱電機自体は差別化要素が大きいパワーデバイスの裏面工程に集中し、汎用的な表面工程の外部委託を加速する戦略を取っている。

 供給能力拡大に向けては、13年末ごろからセイコーエプソンにIGBTの生産を委託した。表面工程だけとみられる。エプソンの前工程拠点である東北エプソン酒田事業所(山形県)の8インチラインを活用し、月産1万枚弱を発注しているようだ。生産を委託しているのは、ハイブリッドカーなどに搭載する自動車用IGBT。三菱電機がエプソンに製造プロセスなどの技術を供与した。このほか、海外メーカーにもパワーデバイス表面工程の生産を委託し、18年度から生産を開始している。

 ちなみに、熊本工場では、既存の5インチ & 6インチラインをパワーデバイス裏面工程にほぼ転換済み。8インチラインでは表裏面の両工程を手がけつつ、6インチSiCのR&Dラインを構築している。12年1月にルネサス エレクトロニクスから取得した北伊丹地区のU棟も裏面工程に活用している。SiCに関しては福岡県のパワーデバイス製作所に4インチの前工程ラインを有している。

シャープ福山工場は現在も一部のみ稼働中

 シャープは、かつて福山第2工場は6インチで液晶ドライバーICやコントローラーIC、第3工場では8インチでCCD/CMOSイメージセンサーなどを量産していたが、現在は稼働を休止している。

 福山第1工場では、半導体LDを生産している。かつてLDのチップを製造する前工程は三原工場で量産していたが、福山第1工場への集約に伴い、現在はMOCVD(有機金属化学気相成長法装置)などの主要生産設備をすべて福山第1工場に移設して生産している。

電子デバイス産業新聞 編集長 津村 明宏

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津村 明宏(電子デバイス産業新聞)

1995年3月 関西大学 経済学部卒。1999年3月 ㈱産業タイムズ社に入社。
電子デバイス業界の専門紙である電子デバイス産業新聞(旧・半導体産業新聞)の記者として、2007年より副編集長、2009年12月より編集長