ネット上に書いた些細な言葉が火種に…

2匹の愛犬と暮らす遠藤さんはペットシッターやドッグトレーナーといった資格も所有している、生粋の愛犬家。これまでの飼育歴や知識を活かして犬の魅力をもっと伝えたいと思い、メディアを立ち上げました。

「飼い主とペットのトラブルは気持ちのすれ違いで生まれてしまうから、正しい飼育法やしつけ法などを配信することで両者の溝を埋め、殺処分を減らしたいと思ったんです。」

そんな目標があったため、晴美さんは自身の記事に「正しい」という言葉をよく使用していたそう。より多くの犬が幸せになりますように…。そう願いつつ、「正しいしつけ法」「正しい接し方」「正しい散歩の仕方」などと表記していました。

「自分ひとりで運営していたメディアだったので、アクセス数はそれほどよくありませんでしたが、ある日いきなりアクセス数が増えて。最初は嬉しかったんですが、問い合わせ欄から中傷メールが来るようになったので、どこかの掲示板に晒されたんだなって気づきました。」

それ以降、晴美さんのもとには1日50通近い中傷メールが届くように…。中傷の多くは晴美さんが紡いだ「正しい」という言葉に反応したものだったそう。「そんなに正しい情報を言いたいなら、その下手な文で本でもなんでも書けばいいじゃないですか」「正しといっていってるわりに、文章読みにくいですよねー」「常にあなたは正しいんですか?何様です?(笑)」。暴力的な言葉が止まない毎日に、晴美さんの心はどんどん病んでいきました。

「毎日メールを受け取っていると、文の書き方でひとりの人が何回も送ってきているなって分かったりもしてきて…。『正しい』っていう言葉が、まさかこんな風にうがった見方をされるとは思いませんでした。」

しかし、苦しい状況下の中で晴美さんは、誹謗中傷相手に返信をしていたそう。「問い合わせ欄ではメールアドレスを入力するようにしていたので、受け取るメールにはアドレスが記されていました。もちろんでたらめのものもあったけれど、何通かは届いた。不快な気持ちさせてしまったことや言葉不足だったことを謝り、私の想いを伝えさせていただきました。」