「何もないがらんとした部屋で床に座って話をしていても、落ち着かない。おしりもイタくなっちゃうし…。それに、物がなさすぎると部屋って本当に寂しいんですよね。必要以上に空間が広く感じるし…。彼女はしょっちゅう『遊びに来て』と言ってくれるんですが、正直居心地が悪くてなかなか遊びに行く気になりません」

Bさんの友人は、もはや『極端に無駄を嫌う』状態。何もない部屋の中なのに、「まだまだ手放せるものはあるはず」と「無駄なもの」を探し回っている姿には、ある種の狂気を感じることもあるそう。

「自分の持ち物だけでは飽き足らず、友人は『これは無駄、あれは要らない』と彼氏の持ち物にも口を出しはじめたんです。そんな彼女を窮屈に感じたのか、恋人は彼女のもとを去っていきました」

ことあるごとに「ミニマリストになって、心が豊かになっている気がするの」と語る友人。しかし、物を持つことに罪悪感を覚え、ありとあらゆるものを「無駄なもの」と切り捨てるその生活は、決して満たされているようには見えない…とBさんは語ってくれました。

まとめ

「過ぎたるは及ばざるがごとし」とはよくいったもので、物だらけの雑然とした生活をしている人に対してあまりいい印象を抱かないのと同様、「何もなさすぎる暮らし」をしている人に対してもある種の違和感を覚えるのは筆者だけでしょうか。

単なる憧れから「ミニマリストになること」を目指してしまうと、「1グラムでも物を減らしたほうがいい」という錯覚に陥ってしまいがち。大切なのは、「ミニマリストになることで、自分をどう変えたいのか」。その目標を明確にしておかないと、本質を見誤ってしまうような気がするのです。

大中 千景