絵のかわいらしさに加え、登場する動物たちもしっかりとストーリーにはまっており、子ねこの「はやく走りたい!」という願いを実現させる、希望を与えてくれる絵本です。小さな幼児にも分かりやすいシンプルさがありつつ、動物で表現する発想の豊かさも兼ね備えています。絵本のなかには「ニャンコールワット」といった細かいダジャレも盛り込まれていて、完成度の高い作品です。このまま絵本として出版して、たくさんの子どもたちに読んでもらいたいくらいです。

他の受賞作品の『きせつのバトン』は友達2人でつくった共同作品で、秋の妖精と冬の妖精が季節の交替式を行うストーリーで、想像力たっぷりのかわいらしい作品です。共同で創作したコラボレーションもすばらしいです。他にもマスクを主人公にした『今日のマスクくん』といった、今を象徴する作品もありました。

応募作品を一つ一つじっくり読ませてもらい、改めて感じたことは、ひとつとして同じ作品はない「ユニーク」な創造であるということです。今まで世界になかった物語が、子どもの豊かな発想によって、初めて絵本作品として世に生み出されたのです。ゼロから創造することの楽しさ、すばらしさ、ワクワクするような感覚を子どもたちにはたくさん経験してもらいたいです。

親子ワークショップをオンラインで

MSI塾では「そうゾウくんとえほんづくり」親子ワークショップも企画していましたが、緊急事態宣言を受けて、急遽オンラインワークショップに切り替えました。大阪と東京をつないだり、アメリカの子どもたちともZOOMでつなげて開催しました。子どもたちは絵本をつくることも初めてですが、オンラインでワークショップに参加するのも初めてです。

講師としては本当にできるのか不安もありましたが、想像以上に子どもたちが楽しそうに集中して取り組んでいたことには驚きました。参加者の反応も好評で、保護者からはこんな感想もありました。

「何分間で何々をしますと先生が言われて始める時に、子どもは焦る思いで初めはできないよぉーと言っていましたが、徐々に慣れてきて最後の絵本作りではまだやりたいーと楽しんで過ごせたようです。オンラインでも視野が広がるしこれでも充分できるんだなと、思いました。大人の固定概念も崩せて柔軟に物事を考えることができると教えていただいたように思います。」