2020年5月15日に行われた、株式会社かんぽ生命保険2020年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社かんぽ生命保険 経営企画部IR室長 伊牟田武郎 氏
決算サマリー
伊牟田武郎氏:かんぽ生命の伊牟田でございます。本日は、かんぽ生命の2020年3月期決算、令和会議にご参加いただきありがとうございます。
1ページをご覧ください。今回の決算のポイントはご覧のとおりで、当期純利益は1,506億円と前期比25.1パーセント増加しました。新契約実績は、2019年7月中旬以降の積極的な営業活動の自粛、および2020年1月以降の業務停止などの影響を受けたことから、個人保険の新契約年換算保険料は前期比58.2パーセント減の1,469億円となりました。
また、第3分野の新契約年換算保険料は、前期比64.1パーセント減の221億円となりました。
個人保険の保有契約年換算保険料は、4兆3,186億円。第3分野の保有契約年換算保険料は7,155億円となり、いずれも前期末から減少しました。
外国証券などの収益追求資産への投資残高は、9兆9,386億円となりました。これは総資産の13.9パーセントに相当します。
連結ソルベンシー・マージン比率は、前期末比118.9ポイント減少し、1,070.9パーセントとなりました。2020年3月期の1株あたり配当金は、普通配当76円とすることを本日の取締役会において決定しました。
2020年3月末EVについては、財産債権を取得した上で2020年5月25日に開示を行なう予定としております。また、同日、2020年3月末ESRについても開示する予定です。その際には2019年6月末・9月末および12月末のEVについても併せて開示を行なう予定としております。
決算サマリー
2ページをご覧ください。連結業績の状況はご覧のとおりです。経常収益は7兆2,114億円となりました。新契約の減少に伴う事業費などの減少、および資産運用における順ざやの確保により、経常利益は2,866億円、当期純利益は1,506億円となりました。総資産は71兆6,647億円、純資産は1兆9,283億円となりました。
契約の状況 〔②:保有契約年換算保険料〕
5ページをご覧ください。契約の状況についてご説明します。個人保険の保有契約年換算保険料は4兆3,186億円となり、前期末から7.7パーセント減少しました。第3分野の保有契約年換算保険料は7,155億円となり、前期末から5.0パーセント減少しました。
資産運用の状況 〔①:資産構成〕
8ページをご覧ください。資産運用の状況についてご説明します。左の表のとおり、昨今の超低金利環境の継続を受け、運用資産の多様化を進めてきた結果、株式、外国債券などの収益追求資産の残高は9兆9,386億円、総資産比で13.9パーセントにとなりました。右の表のとおり、平均予定利率は1.69パーセントとなりました。また、利子利回りは1.82パーセントとなり、804億円の順ざやを確保しました。
また、為替変動リスクのヘッジに伴う金融発生商品費用の発生に加えて、2020年2月以降、コロナショックにより市場が大きく混乱した影響を受け、主に金銭の信託で保有する株式などの減損が生じたことにより、キャピタル損益は1,024億円の損失となりました。
資産運用の状況 〔②:有価証券の時価情報〕
9ページをご覧ください。有価証券の時価、および含み損益の状況をお示ししています。第4四半期は、第3四半期までと比較して市場環境が大幅に悪化しましたが、会計上、時価評価されるその他有価証券の差損益は3,701億円の含み益を計上しております。
経費の状況
10ページをご覧ください。経費の状況についてご説明します。事業費は4,738億円となり、このうち2/3程度を日本郵便へ支払う委託手数料および郵便貯金簡易生命保険管理、郵便局ネットワーク支援機構に支払う拠出金が占めています。
今年度から導入された拠出金支払い額は委託手数料に含めないことや、2019年7月中旬以降の積極的な営業活動の自粛、および2020年1月以降の業務停止の影響から、委託手数料は前期比1,093億円減の2,487億円となりました。
拠出金を含めた増額は、前期の委託手数料と比較し、517億円減の3,063億円となりました。これは新契約の減少に伴う、新契約手数料からの減少などによるものです。また、右側のチャートのとおり減価償却費は前期比6億円減の574億円となりました。
健全性の状況
11ページをご覧ください。健全性の状況についてご説明します。経営環境の変化へ伴うリスクに備え、将来にわたり健全で安定的な経営を確保するため、危険準備金1兆7,973億円、価格変動準備金8,583億円を積み立てています。連結ソルベンシー・マージン比率は1,070.9パーセントと、引き続き高い健全性を維持しています。
21年3月期 連結業績予想
12ページをご覧ください。2021年3月期の連結業績予想についてご説明します。2021年3月期の業績予想は、保有契約の減少および市場環境の悪化に伴う利配収入の減少などにより、今期決算から減少する見込みです。
当期純利益は1,240億円を見込んでおります。1株あたり当期純利益の推移は12ページ右のグラフのとおりです。
株主還元
13ページをご覧ください。最後に株主還元、EPSなどについてその推移をお示ししております。当社株主に対する利益の還元を経営上重要な施策の1つとして位置づけるとともに、経営の健全性を確保しつつ、安定的な株主への利益還元を行なっております。
具体的には、今後の利益見通し、財務の健全性を考慮しつつ、安定的な1株あたり配当を目指してまいります。
2020年3月期の1株あたり配当金については、中間配当38円、期末配当38円を実施し、中期経営計画で掲げた1株あたり76円の配当を前倒しで実施することも、本日の取締役会において決定いたしました。
2021年3月期の1株あたり配当金については、中期経営計画最終年度の目標どおり、普通配当を1株あたり76円とする予定です。なお、2021年3月期については、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を慎重に見極める必要があるため、期末配当のみとする予定です。
以上で説明を終わります。