アイカ工業、通期は増収増益し8期連続過去最高更新 21年3月期は販売減による減収減益を予想

2020年5月18日に行われた、アイカ工業株式会社2020年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:アイカ工業株式会社 代表取締役 社長執行役員 小野勇治 氏

1. 2020年3月期 連結決算の概要①

小野勇治氏:本日は当社の2020年3月期決算説明会にご参加いただきまして誠にありがとうございます。それではこれより、当社の決算の概況と今後の事業展開につきましてご説明させていただきます。

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ご覧の目次に従いまして進めてまいります。2020年3月期決算実績、2021年3月期決算予想、その他、ご覧の項目につきましてご説明いたします。

2020年3月期連結業績の概要はご覧のとおりです。売上高1,915億100万円、営業利益208億5,000万円、経常利益213億3,300万円となり、売上高、営業利益、経常利益はともに前年を上回ることができました。

一方、親会社株主に帰属する当期純利益127億3,200万円は、外国子会社合算税制改正および非支配株主持分等の影響のため前年を下回りました。なお親会社株主に帰属する当期純利益については、以後、当期純利益と省略させていただきます。

1.2020年3月期 連結決算の概要②

売上高は10期連続の増収、営業利益、経常利益は11期連続の増益となりました。また売上高、営業利益、経常利益は8期連続で過去最高を更新しました。

国内事業におきましては、建装建材事業が増収に寄与し、化成品事業は原材料安により増益に寄与しました。海外事業では、化成品セグメントにおいては、原材料安に伴う売価低下により、アイカ・アジア・パシフィック社とエバモア社が減収増益となりました。建装建材セグメントにおいては、ソイス社の新規連結効果や既存事業伸長により、アジアによる化粧板販売が増加しました。

1.過去5年間 連結決算の推移

最近5年間の連結売上高、経常利益、当期純利益の推移はスライドのとおりです。

1. 過去5年間 ROA・ROEの推移

ご覧のスライドは、ROA、ROEの推移です。ROEについては9.9パーセントとなりました。

1. 2020年3月期 主要項目の状況

続きまして、人員、借入金、研究開発費、減価償却費、および設備投資額等の状況です。

2020年3月期の設備投資額は約71億円でした。主なものは、建装建材セグメントではアイカテック建材の生産設備増強に約5億円、アイカ・ラミネーツ・ベトナム社のメラミン化粧板工場生産設備費用に約7億円、アイカインドネシア社の土地使用権購入費用に約5億円等がありました。

一方、化成品セグメントでは、福島工場危険物自動倉庫に約4億円、アイカ・アジア・パシフィック社、略してAAPのタイにおけるフェノール反応釜増設や、AAP中国の設備増強費用などAAPで約18億円を投資しました。

1. 2020年3月期 セグメント別実績

2020年3月期のセグメント別の売上高と営業利益はスライドのとおりです。ここでは営業利益の増減を中心にご説明させていただきます。

化成品セグメントの営業利益は、81億2,300万円と、計画の81億円を上回りました。営業利益率も7.8パーセントと、計画の7.5パーセントを0.3ポイント上回りました。これは原材料価格低下やエバモア社の増益が主な要因です。

建装建材セグメントの営業利益は、158億7,400万円と、計画の166億円を下回りました。営業利益率も18.1パーセントと、計画の19.2パーセントを下回りました。

これはウィルソナート社のM&Aに係るアドバイザリー費用や、ベトナム新工場立ち上げに伴う創業赤字などが主な要因でございます。

1. 利益増減(化成品)〈19/3期 vs.20/3期〉

このスライドは、化成品セグメントにおける2019年3月期と2020年3月期の営業利益の差異について要因別に分析したものです。利益の改善要因としては、原材料価格低下による利益率の上昇や、エバモア社などの海外グループ会社の増益で10億1,800万円の増益がありました。

一方、利益減少要因としては、人件費増、設備投資増に伴う減価償却費の増加等で3億3,900万円の減益要因がありました。この結果、差し引きで6億7,900万円利益が増加しました。

1. 利益増減(建装建材)〈19/3期 vs.20/3期〉

続いて建装建材セグメントです。利益の改善要因としては、販売増や利益率の改善、アイカテック建材などの国内グループ会社の増益で5億4,600万円の増益要因がありました。

一方、利益減少要因としては、製造固定費、販管費の増加、ウィルソナート社のM&Aに係るアドバイザリー費用や、ベトナム新工場立ち上げに伴う創業赤字などによる海外グループ会社の減益で、8億4,000万円の減益要因がありました。この結果、差し引きで2億9,500万円利益が減少いたしました。

2. 2021年3月期 業績予想の前提

続いて今期の通期業績予想についてご説明いたします。当社は2020年4月30日に公表した2020年3月期決算短信におきまして、新型コロナウイルス感染症の影響を合理的に算定することが困難であることから、2021年3月期の業績予想を未定としておりました。

しかしながら、日本の緊急事態宣言の一部解除、ならびにアジア、オセアニア各国における経済活動再開等の動きが見え始めたことから、本日の11時30分に、2021年3月期業績予想を適時開示いたしました。

業績予想は、ご覧の為替、ナフサ価格の前提や、2020年1月から4月の海外連結子会社の業績速報、2020年4月の国内売上動向、各国における経済動向をベースにしております。加えまして、2020年は新型コロナウイルス感染症の影響による市況悪化から徐々に回復していき、年明けの2021年1月より、その影響からほぼ回復するという前提で策定しております。

2. 2021年3月期予想

2021年3月期の連結業績予想はご覧のとおりです。なお実際の業績は、新型コロナウイルス感染症拡大の収束時期、海外および国内の景気動向、為替動向など、さまざまな要因により大きく変動する可能性があります。

今後、今期の業績見通しに関し、開示すべき重要な事象等が生じた場合には速やかに公表いたします。

2. 2021年3月期 通期セグメント別計画

通期のセグメント別の売上高、営業利益の計画と前期との比較はスライドのとおりです。

2. 2021年3月期 上期セグメント別計画

2021年3月期、上半期のセグメント別の売上高、営業利益の計画はスライドのとおりです。

2. 利益増減計画(化成品)〈20/3期vs.21/3期〉

このスライドは、化成品セグメントにおける2020年3月期と2021年3月期の営業利益見通しの差異を要因別に分析したものです。

利益率改善により1億6,200万円の利益を増加させる一方、販売減や海外グループ会社の減益等によって24億9,200万円の利益減を見込んでおります。前期に比較して23億3,000万円減の営業利益57億円となる予定です。

2. 利益増減計画(建装建材)〈20/3期vs.21/3期〉

続いて建装建材セグメントです。利益率や販管費の改善により、6億6,500万円の利益を増加させる一方、販売減や操業度低下による国内、海外グループ会社の減益等により、41億6,300万円の利益減を見込んでおります。

前期に比較して34億9,900万円減の、営業利益123億円を予定しております。

3-1 化成品セグメント 商品群別売上実績

続いてセグメント別の現況と方策をご説明します。まず化成品セグメントです。このセグメントは、接着剤、建設樹脂、非建設分野として注力している機能材料事業で構成しています。2020年3月期の実績はご覧のとおりです。

3-1 化成品セグメント 実績(接着剤)

2020年3月期の化成品セグメントの実績を振り返りますと、接着剤について、海外ではアイカ・アジア・パシフィック社が原材料価格低下に伴う売価低下により売上を減少しました。一方、AAPタイの新規連結効果により、利益は増加しました。

国内においては、セラール用接着剤(SE・1)がセラールの販売増に伴い好調に推移しました。また下地調整材とタイル貼りの機能を兼ね備えた接着剤が工期短縮やタイルはく落のリスク低減効果において好評を博し、モルタルの代替品として新規市場を開拓して順調に伸長しました。

3-1 化成品セグメント 実績(建設樹脂)

次に建設樹脂です。外装、内装仕上げ塗材ジョリパットは新築住宅向けで低迷をするも、リフォーム向けで好調だったことから、前年を上回る結果となりました。

一方、塗床材は、住宅ベランダ向け防水材が堅調に推移したものの、企業の設備投資における減速傾向により、非住宅向けの塗床材が低迷し、全体としては前年を下回りました。

またジョリシールダイナミックレジンは建築用シール材やタイルのはく落防止剤であるクリアガード工法が好調でしたが、橋梁向けの低迷により、前年を下回りました。これらの結果、建設樹脂全体としては前年を下回りました。

3-1 化成品セグメント 実績(機能材料)

次に機能材料です。ホットメルト・機能性アクリルにおいては、自動車向けヘッドランプ用シール材と紙おむつなどの衛生剤用向けホットメルトが好調で、前年を上回りました。有機微粒子については、国内化粧品向けやプラスチック改質剤向けが好調に推移したものの、LED向けの光拡散剤や海外化粧品向けが低調で前年を下回りました。

UV樹脂・シリコーンは、シーラント向けのシリコーンや、電子材料向けのUVコート剤、粘着剤、高機能フィルムが好調で前年を上回りました。アクリル・コンパウンドは、手袋用途、紙、粘着剤用途ともに低迷し前年を下回りました。

また台湾のエバモア社につきましては、原材料低下に伴う売価低下により売上が低迷しました。しかし、高収益なベトナム向けのウレタンや、AICA工業とのシナジーによる架橋剤が好調で利益は大幅に伸長しました。

3-1 化成品セグメント 方策(接着剤)

続きまして、今後の重点方策についてご説明します。海外の接着剤については、アイカ・アジア・パシフィック社を中心に拡大を図ります。中国では環境問題意識の高まりから、木材の代わりに、成長が早く豊富な資源である竹を材料とした建材や木工製品のニーズが増加しております。

前期も好調だったAAP中国の竹材用フェノール樹脂の拡販に注力していきます。一方、AAPタイは、2018年4月より新規連結化した子会社のシナジーを拡大します。昨年の反応釜設備の投資などの効果もございまして、昨年度の営業利益は好調でした。さらなるシナジー創出や構造改革への注力、新規取り組みなどにより、さらなる利益確保を図ってまいります。

また国内のフェノール樹脂事業については、これまでもさまざまなシナジー効果を創出してまいりましたが、新規分野の開拓、AAPとのシナジー注力により、一層の利益創出に努めていきます。

3-1 化成品セグメント 方策(建設樹脂)

建設樹脂につきましては、環境・高機能・省力化をキーワードとした差別化商品の拡販に注力し、改修市場を取り込んでいきます。外装、内装、仕上げ塗材ジョリパットにおきましては、建物の長寿命化、省エネルギー化などに貢献するため、透湿外断熱システム、パッシブウォールを昨年リニューアルし、公共施設、教育施設のエコ改修、新築への提案をします。

塗床材では、目地処理不要で工期が短縮できるピュールハードAH工法の新グレードも拡充し、シェアを拡大してまいります。また補修・補強分野では、従来より省工程、かつ高い透明性で経過観察も可能である橋梁補修用剥落防止工法、クリアタフレジンクイック1500を発売、提案いたします。

3-1 化成品セグメント 方策(機能材料)

機能材料事業につきましては、昨年10月にベトナムのウレタン製造会社2社をエバモア社が子会社化することを決議しております。

近年、エバモア社の主要顧客の一部に、生産拠点を中国からベトナムへ移動する動きが出ておりまして、ベトナム向けの輸出が増加しているなか、製造を現地化するということの背景でございます。

今後さらなる拡大が見込まれるベトナムのウレタン樹脂市場で、一層のシェア拡大を目指すとともに、AAPとも連携し、東南アジア市場での事業拡大も検討してまいります。台湾のエバモア社、AAP、アイカ工業の技術力、生産拠点、原材料供給体制を活用し、さらなるビジネスチャンスの創出、拡大につなげてまいります。

3-2 建装建材セグメント 商品群別売上実績

続いて建装建材セグメントです。このセグメントは、メラミン化粧板、ボードフィルムなど、セラール、不燃建材、カウンターポストフォーム、建具インテリア建材で構成しております。2020年3月期の実績はご覧のとおりです。

3-2 建装建材セグメント 実績

2020年3月期の建装建材セグメントの実績を振り返ると、アイカ需要期にタイムラグを調整した国内の建設市場は、住宅市場が3.7パーセント減少し、非住宅市場が3.9パーセント減少しました。そのような市場環境におきましても、セラール消臭タイプなどの機能性商品が、住宅、非住宅市場を問わず、好調で推移いたしました。

人造石フィオレストーンは住宅市場において、そしてアイカテック建材の外壁パネル商品は非住宅市場において好評で、全体としても好調に推移しました。

3-2 建装建材セグメント 方策①

建装建材セグメントの今後の重点方策です。アイカソリューション商品、および機能性商品のさらなる拡充により市場を獲得してまいります。

昨年発売した高ウイルス建材「アイカウイルテクト」は、メラミン化粧板の基本性能に抗ウイルス性を付与することにより、製品上の特定ウイルスの数を減少させることができる化粧板で、抗菌製品技術協議会が定めるSIAA高ウイルスマーク、SIAA抗菌マークの使用基準を満たしております。海外でも大型物件での採用事例が決定しております。

3-2 建装建材セグメント 方策②

「アイカウイルテクト」は国内の病院においても採用が広がっております。表面に付着したウイルスの数が4時間で99.9パーセント減少するという高い抗ウイルス性能や、病院等で使用される強力な消毒剤、次亜塩素酸ナトリウム水溶液で繰り返し拭き取りを行っても性能を維持できるという高い耐薬品性が評価されております。

3-2 建装建材セグメント 方策③

この「アイカウイルテクト」は、抗ウイルスメラミン化粧板の発売以降、壁用のセラール、ポストフォームカウンター、ドア用のUDコンフォートへとシリーズを拡大し、医療・介護施設、育児・教育施設、店舗、飲食店、住宅など、さまざまなシーンで採用されてまいりました。

この抗ウイルス性能を、昨年7月に発売した床材のメラミンタイルや、さまざまな商品に付与することにより、住宅、非住宅市場、床、壁、家具、建具用途でのあらゆるニーズを取り込み「アイカウイルテクト」シリーズの売上を3年後に50億円へ伸長させる計画を持っております。

4. 中期経営計画(2018/3期‐2021/3期)の進捗

続きまして中期経営計画の進捗をご報告します。中期経営計画の進捗はスライドのとおりです。2019年3月期は飛躍的な成長を遂げましたが、2020年3月期は、売上、経常利益が微増、ROE、海外売上比率は減少いたしました。

4年目となる2021年3月期の計画は、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、残念ながら中期経営計画の目標には届かない見込みです。

4. 中期経営計画(2018/3期‐2021/3期)の進捗

中期経営計画における投資計画の進捗はスライドのとおりです。長期戦略実現に向けまして、引き続き積極的に成長投資を実行していく計画です。

5. 配当について

続いて配当について申し上げます。当社は株主の皆さまへの利益還元と、会社の持続的成長を実現するため、各期の連結業績、配当性向、および内部留保を総合的に勘案した上で配当を行ないます。

今中期経営計画C&C2000においては、連結業績に連動した株主還元を実施しており、2020年3月期の配当は3円増配の106円を予定しております。2021年3月期は、新型コロナウイルス感染症による国内外経済活動の一時的後退という特殊要因による減益を予想しておりますが、過去の配当実績と自己資本比率等を勘案いたしまして、昨年同様の配当に据え置く計画でございます。

6 海外展開 建装建材セグメント

最後に建装建材セグメントの海外事業についてです。直近2年で海外における建装建材セグメントのM&Aを3件実施しております。中国のメラミン化粧板商社であるソイス社を2019年4月に連結子会社化しております。

また世界ナンバーワンのメラミン化粧板メーカー、ウィルソナート社のアジア、オセアニア地域の子会社4社を2019年12月に子会社化しております。またベトナム国内で約3割のシェアを持つ化粧板商社CHIグループ各社の事業を引き継ぐアイカHPLトレーディング社を2020年3月に子会社化しました。

6 海外展開 建装建材セグメント (主要拠点)

これらの案件を加えた当社の建装建材事業の海外の主要拠点はご覧のとおりとなります。従来のアイカグループ連結子会社は、インドネシア、インド、ベトナムに生産拠点を有しておりましたが、新規連結の会社が加わったことで、タイ、中国、オーストラリアに生産拠点が拡大し、メラミン化粧板生産工場は、これまでの4カ国7拠点から7カ国10拠点に広まりました。

6 海外展開 建装建材セグメント 計画

当社の建装建材事業の海外売上高の計画ですが、従来は今期200億円、海外売上比率20パーセント以上を見込んでおりましたが、この新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、売上145億円、海外売上比率17パーセント以上に修正して計画しています。

なお10年ビジョン最終年度の2027年3月期に売上高300億円を目指す計画は据え置いております。一時的に景気は減速しますが、中長期的に見れば、アジアの建築物では高意匠化、高品質化が進んでいきます。当社グループは、その市場で確固たる地位を築いてまいる所存でございます。

【参考】 工場稼動停止期間

この一覧表は、工場の稼働の停止期間でございます。

【参考】研究開発費・減価償却費・設備投資の推移

次の棒グラフは、研究開発費、減価償却費、設備投資額の推移をグラフ化しております。ご参考ください。

以上で私からの説明を終わらせていただきます。今後とも継続的に情報開示に務めてまいりますので、何卒ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。ご清聴ありがとうございました。

記事提供:ログミーファイナンス

参考記事

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