すっかり定着したオンラインでのコミュニケーション。対面が当たり前だったお金の相談も、オンラインでの相談が可能になりました。急速に普及している「お金のオンライン相談」ですが、私たちが注意すべきことはあるのでしょうか。今回は、投資信託のオンライン相談で確認しておきたい5つの点についてお伝えします。
その1:そもそも投資信託の相談はOKか?
投資信託に関するオンライン相談を申し込む場合、投資信託について、具体的な相談ができるか、投資信託を説明できるアドバイザーがいるかどうか、まず確認しておきましょう。
投資信託の相談が可能なのは、金融商品取引業者か金融商品仲介業者です。前者は証券会社、投資顧問会社、後者は証券会社の業務委託先をイメージするとよいでしょう。株や投資信託、債券の取り扱いが可能な業者です。
保険代理店が主催のオンライン相談だと、相談できる商品や提案される商品が、「保険」となります。提案される商品カテゴリーは「投資信託」ではなく、あくまで「保険」となります。
つまり、オンライン相談を行う会社が、金融商品取引業者か金融商品仲介業者としての登録が無いと、投資信託の具体的な相談ができないのです。
取引業者や仲介業者の登録がある会社は、投資商品を扱うノウハウを持っており、在籍しているアドバイザーやファイナンシャルプランナーは、証券会社出身者、銀行出身者など、投資信託販売の経験がある人材が多く、安心して相談することができます。
オンライン相談を申し込む会社が金融商品仲介業者かどうかは、会社HPの会社概要や企業情報などから確認が可能です。
【ご参考】金融庁のホームページ「免許・許可・登録等を受けている業者一覧
上記で登録を受けている金融業者を確認することが出来ます。
その2:質問事項の整理、準備はできているか
オンライン相談の申し込み時までに、質問事項の整理を行っておきましょう。できれば、オンライン相談申し込み時に、メモ欄やその他記載事項欄などに質問事項を記載して、申し込めればベストです。
相談日当日に用意しておいた質問をするのも、悪くはありません。しかし、せっかく時間をとって、専門家に質問ができるのですから、相談時間は有意義に使いたいものです。
現在、日本で設定されている投資信託は、およそ6,000本あります。検索機能を使えば、多数の投資信託の中から、簡単に適当な投資信託を探すことはできます。
しかし、調べるには多少なりとも時間はかかります。また、当日の限られた時間内では下調べの段階で得られたかもしれない情報をアドバイザーが見落とす可能性もあります。
当日までに、アドバイザーが十分な準備ができるよう、自分の知りたいことを、予め具体的に伝えておくことをお勧めします。
参考として投資信託の質問事項を以下にあげておきます。オンライン相談時の参考にしてください。
- 保有銘柄(ファンドの特徴、運用成績、見通しなど)
- 購入予定銘柄(ファンドの特徴、運用成績、見通しなど)
- リバランスの必要性
- 市況予測
- 注目の投資信託
- iDeCo、NISAに関する事項
その3:相談は無料にするべきか、有料にするべきか
オンライン相談は無料の場合が多いのですが、相談が無料であることを心配される方もいるかと思いますが、心配する必要はありません。
証券会社や仲介業者は、販売金額や売上に応じてもらえる販売手数料が売上収益になっています。この売上収益があるので、相談者に相談料を支払ってもらう必要はないのです。
オンライン相談が無料であっても、相談の質が劣ることはありません。証券会社OBなど、投資の専門家が在籍する仲介業者もあります。専門家の指南が受けられ、なおかつ無料であれば、ぜひ活用したいところです。
一方、有料の場合は、ファイナンシャルプランナーによるマネーセミナーの場合があります。1~2時間程度の相談で数千円~数万円の手数料を支払う仕組みになっています。投資信託だけでなく、株式などの運用商品、保険、住宅ローンなどあらゆる相談を行うことが可能です。
ただし、相談する相手がファイナンシャルアドバイザーである場合、多くの場合は、個別におすすめの投資信託などの話を聞くことはできません。投資助言業の免許が必要となります。
ちなみに、投資助言業(法2条8項11号)は、「有価証券の価値等」「金融商品の価値等の分析に基づく投資判断」に関し、「口頭、文書、その他の方法」によって助言を行い、その対価として報酬を頂くことを内容としています。
投資助言業の免許を持たずに、個別銘柄や個別の投資信託の推奨を行い、相談料を要求しようとする業者がいれば、気を付けた方がよいでしょう。
有料オンライン相談の場合は、長期での顧客とのつながりを重視しているところが多く、年間契約プランを設定している会社もあります。
値動きのある金融商品を購入すると、定期的な運用状況の確認や相談を行う必要があります。顧客がアドバイザーにいつでも相談できる仕組みとなっているのは安心ですね。
資金に余裕がある方は、このようなプランに申し込みされても良いかもしれません。相場の急変時に連絡が取りやすく、いつでも気軽に相談できる専門家がいるのは、投資信託を保有している人にとっては心強いでしょう。
ただ、無料の相談でも、その後フォローを行ってくれる会社もあります。中には何度相談しても無料の場合もあります。
まずは無料の相談を試してみて、信頼できるアドバイザーを探してみるのもいいかもしれません。投資信託は適切なアドバイスが必要な商品です。できれば長期運用が望ましいため、将来的に良い関係が築けるアドバイザーや会社と付き合いたいものです。
その4:相談時の使用デバイスや機器端末は何か
投資信託は仕組みや商品性が複雑な商品です。レバレッジ型や通貨選択型など、投資を長年経験した人でも細かい仕組みまでは、よく理解できていない場合もあります。
アドバイザーはこのような相談者の悩みを解決するために、なるべくわかりやすく、図や表を用いて説明します。参考資料として、各種資料やチャート等を用いることもあります。
その際、ディスプレイが小さいデバイス、例えば、スマホ等では資料を見る時、画面が小さいため、少々不便に感じてしまうかもしれません。
できればPC、タブレットなど、ディスプレイが大きいデバイスを使用すると、ストレスなく資料が確認でき、理解が深まります。
スマホを利用する場合は、アドバイザーに予め伝えておきましょう。画面が小さいことを伝えおくと、アドバイザー側が工夫や気遣いをしてくれる可能性があります。
その5:「顔出し」は必要か
オンライン相談では、相手の顔が見えるようになっているのが通常です。オンライン相談の良さはなんといっても、リモートでの対面効果です。
電話でのやり取りと異なり、アドバイザーの顔や表情を見ながら、コミュニケーションを取ることで、信頼が生まれ、理解が深まります。
心配なのは自分の「顔出し」は必要かということです。結論から言うと、投資信託の相談で「顔出し」の必要はありません。ミュートは解除しておき、カメラオフで相談できます。
相談者の金融知識、経験、資産の状況に応じて、高齢の方でも、病気の方でも平等に購入できるのが、投資信託です。保険と異なり、体況上の理由で購入できないことはありませんから、「顔出し」の必要は無いのです。
ただ、相手の顔が見えると、臨場感もわきますし、親近感も増すのは、アドバイザー側にとっても同じことです。相談者の表情を確認できた方が、コミュニケーションがスムーズに進みやすくなります。
「顔出し」せず、音声だけのやり取りになる場合は、チャット機能が使えるか、音声が途中で途切れないか、通信環境は念入りに確認しておきましょう。
まとめにかえて
日本人は元来、保険を好み、投資を敬遠する傾向がありました。年金2,000万円問題が話題となったことで、iDeCoやNISAの普及とともに、投資信託への興味はますます高まっています。興味がある方は、まず無料のオンライン相談で投資信託の相談を試してみてはいかがでしょうか。
LIMO編集部