2020年4月21日に行われた、サンケイリアルエステート投資法人2020年2月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社サンケイビル・アセットマネジメント 代表取締役社長 太田裕一 氏
エグゼクティブ サマリー
太田裕一氏:サンケイビル・アセットマネジメントの太田です。これよりサンケイリアルエステート投資法人の第2期決算の概要、そして今後の成長戦略について、ご報告・ご説明します。
本来であれば決算説明会を開催し、直接報告・説明するところですが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に鑑み、動画配信形式で行わせていただきます。
最初に、今回ご報告のエグゼクティブ サマリーを述べます。1つ目は、運用ハイライトです。本投資法人は第2期に4物件、239億円を取得し、クオリティを維持したポートフォリオをもって資産規模の拡大を推進しました。
ポートフォリオ稼働率は現在100パーセント。オフィスビルの賃料改定は前期に引き続き、順調な成果をおさめています。第2期の業績は、1口あたり分配金が第1期末比1,596円増、前期決算発表時の第2期予想に対して306円増の2,995円となりました。
2つ目に、今後の成長戦略です。外部成長戦略については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によりマーケットは難調ですが、資産規模の拡大方針に変更はなく、不動産投資市況等を慎重に見極めながら外部成長の機会をうかがう次第です。
内部成長戦略については、外部環境が不透明な中でも賃料ギャップを縮小すべく内部成長の実現に向けて引き続き注力します。
また、財務戦略については、メガバンクを中心としたレンダー構成による安定的な財務基盤を維持しつつ、「平均残存期間の長期化」「固定金利比率の向上」「返済期限の分散」を推進していきます。
第2期(2020年2月期)の外部成長実績 ①
それでは、具体の報告説明に入らせていただきます。本投資法人の第2期運用ハイライトについて報告します。まずは、外部成長面に関する運用ハイライトです。本投資法人は第2期に4物件、239億円を取得し、資産規模を第1期末比約1.6倍に拡大しました。
掲載の表は第1期末と第2期末におけるポートフォリオの変化や特徴を表しています。物件数は8物件から11物件、資産規模は約434億円から約673億円。1物件あたりの取得価格は約54億円から約61億円と拡大し、ポートフォリオの平均鑑NOI利回り、平均稼働率、PML値を維持したかたちで資産規模を拡大しています。
第2期末における運用資産の分散状況は、用途別比率で、オフィスビル8割、サブアセット2割と、投資方針に準拠しています。エリア別投資では、本投資法人が掲げる重点投資エリアである東京圏、大阪市、名古屋市において、94.1パーセントと投資方針に準拠しています。
第2期(2020年2月期)の外部成長実績 ➁
3種類のパイチャートは第2期末時点のポートフォリオについて競争優位性を一般的に示す「近・新・大」の切り口でまとめています。いずれも取得価格に基づく加重平均値ですが、最寄り駅徒歩分数は平均2.6分、5分以内の割合は全体の94.4パーセントを占めています。
また、平均築年数は16.2年とオフィス系Jリート(J-REIT)のなかではトップクラスの若さといえます。さらに、本投資法人のメインアセットであるオフィスビルの基準階面積は平均で300坪を超えており、これらのことから本投資法人のポートフォリオの競争優位性はオフィス系Jリートの中でも相対的に高いと考えています。
一口当たりNAVは上昇
第2期末のネットアセットバリュー(NAV)は第1期末の109,583円に対して、6.9パーセント増の117,151円に上昇しています。これは第2期の物件取得、ならびに運用資産の不動産鑑定評価額が上昇したことになります。
第2期(2020年2月期)の内部成長実績
内部成長面に関する運用ハイライトです。掲載情報は第2期の内部成長実績を示しています。ポートフォリオ稼働率は冒頭でも触れましたが、第2期末時点で100パーセントです。第2期においても、オフィスビルテナントの賃料改定があったため、その実績を含めて報告します。
第2期に締結した賃料改定対象は6物件、24テナント。賃貸面積は、本投資法人の持ち分考慮後で約3,144坪であり、このうち増額改定した割合は、68.5パーセントでした。増額改定の内訳は、パイチャート右側掲載の赤枠に示しており、既存テナントとの更改・更新が賃貸面積で94パーセントを占め、新規入れ替えは6パーセントでした。
それぞれの増額率は、更改・更新テナントで従前比27.4パーセント増、新規入れ替えで従前比20パーセント増、全体で27.1パーセント増という実績をおさめており、賃料改定は成功裏に終わりました。
第2期(2020年2月期)決算概要
それでは、本題である第2期決算の概要を報告します。掲載表の左側の列は前期決算発表時に発表した第2期予想値です。真ん中の列、赤い網掛けがかかっている部分が第2期実績、右側の列はこれらの差異を記載しています。
第2期の営業収益は19億3,300万円です。営業費用は予想対比8,300万円減の7億6,700万円に抑えることができ、この結果、営業利益は予想対比6,600万円増の11億6,600万円と増加しています。
さらに営業外費用を予想対比4,300万円ほど圧縮できたことで、当期純利益は予想対比1億900万円増の10億6,800万円。これにより、1口あたり分配金は当初予想比306円増の2,995円を分配できることになりました。
主な差異要因はページ右側に示していますが、総括すると、営業収益は主に水光熱収入やその他収入が見立てをいくぶん下回りました。
営業費用のうち賃貸事業費用は、前期に引き続き計画予算から決算の過程で科目内の振り替え処理が発生していますが、主な減少要因は修繕費の減少です。
また、昨年9月に取得した運用資産の公租公課については計画上保守的に計上していましたが、これが計上不要となったことにより予想対比2,300万円減となったことです。さらに、その他費用について、予想対比3,500万円減が寄与しています。
賃貸事業費用以外の営業費用は、決算IR費用の低減や予備費等の未使用もあり、予想対比1,600万円減とコストを抑えることができました。
また、営業外費用についても投資口交付費や借入関連費用等を低減でき、予想対比4,300万円減と、こちらもコストを抑えることができました。
第3期(2020年8月期)以降の業績予想
9ページには第3期以降の業績予想を掲載していますが、まず第3期の業績予想は営業収益において、一部テナントにおけるフリーレント期間が2020年3月に終了することから賃料収入の増加を見込んでいますが、これまで取得した運用資産の固定資産税等が第3期より発生するため、これが費用化されていなかった第2期と比較すると、営業利益は減少します。
第4期の業績予想については、第3期にフリーレント期間が終了した一部テナントの賃料収入がフルに寄与することや、第2期までに更改、更新、締結した内部成長実績を反映しています。
いずれの期も、営業収益は新型コロナウイルス感染症拡大の影響が本年12月まで継続するものとし、店舗についてテナントからの賃料の減額や支払い猶予等による減収、貸し会議室について稼働の低下による減収を勘案していますが、足元のオフィスビルの賃料改定状況は現在もおおむね堅調です。
一口当たり分配金の実績及び予想 ①
10ページには業績予想を踏まえた1口あたり分配金の推移をグラフにしています。第2期実績は、冒頭で述べたとおり1口あたり分配金は第1期末期1,596円増の2,995円です。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響は店舗や貸し会議室について本年12月まで減収を勘案していると述べましたが、第3期では本年5月から8月の4ヶ月、第4期では本年9月から12月の4ヶ月の期間に相当します。
第3期では、保有物件の公租公課の費用化、あるいは新型コロナウイルス感染症拡大に伴う減収などを勘案し、第3期1口あたり分配金は2,324円。第4期では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を引き続き勘案しますが、第2期までの内部成長実績が寄与し、1口あたり分配金は2,415円と、第3期予想分配金より3.9パーセント増加する見込みです。
なお、第4期分配金予想の前提となる営業収益は、第2期末の内部成長実績しか反映しておらず、第3期以降の実績は今後反映される点にご留意ください。ちなみに、目下交渉中のテナントとの感触では、分配金のさらなる増加を見込めそうです。
一口当たり分配金の実績及び予想 ②
11ページは、ご参考までに決算期ごとの1口あたり分配金予想の変化を表したものですが、本投資法人の巡航想定期である第4期に着目して話しますと、上場時予想から今回発表の予想まで物件取得による外部成長効果や賃料収入増加等の内部成長実績も手伝い、1口あたり分配金の着実な成長を見込んでいます。
以上、第2期運用ハイライトの報告とします。
2-1 外部成長戦略 ①
それでは次に、本投資法人の今後の成長戦略についてお話ししたいと思います。まず、外部成長戦略についてお話しします。本投資法人は短期目標である資産規模1,000億円を射程圏内におさめているものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によりマーケットは難調ですが、現時点で資産規模の拡大方針に変更はなく、不動産投資市況等を慎重に見極めながら外部成長の機会をうかがう次第です。
ちなみに第2期では、欧州投資家へのアプローチの布石としてAIFMD登録を済ませたむねを付言しておきます。なお、本投資法人としては、一連の事象が収束し、マーケットが再び回復したあかつきには、資産規模の拡大をスピード感をもって進める次第です。
2-1 外部成長戦略 ②
こちらのページには抜粋ではありますが、スポンサー オフィスビル・パイプラインを掲載しており、本投資法人が外部成長をするうえで物件パイプラインも掲載物件のみならず、すでに相当程度整っている状態にあります。
そして、本投資法人はスポンサーであるサンケイビルのサポートを受け、スポンサーのポートフォリオはもとより、スポンサーのソーシング力を生かした第3者保有物件の取得を含め、現下の外部環境に留意しつつも機会あれば速やかに短期目標の達成にのぞむ次第です。
2-2 内部成長戦略 ①
続きまして、内部成長戦略についてお話します。ページ左側の賃料ギャップにご着目ください。あらためて説明すると、これは本投資法人が保有するオフィスビル、9物件の平均賃料とシービーアールイーが査定したマーケット賃料との差額をマーケット賃料で除したものであり、マイナス幅が大きいほど内部成長余地があると捉えてください。
左側の数値は第1期決算説明会時に掲載した2019年9月末時点の賃料ギャップ、右側の数値は今般査定した2020年3月末時点のものになり、賃料ギャップはマイナス15.9パーセントとさらに拡大しています。
対象9物件の平均賃料も増額改定に伴い上昇していますが、マーケット賃料も引き続き上昇している状況です。なお、かかる分析値はあくまでシービーアールイーの査定値にもとづくものであり絶対基準ではないものの、内部成長戦略を展開するうえでの目安および指針として捉え、目下のリーシング活動に努めています。
そして、ページ右側には第3期以降の契約更改・更新のボリュームを表しつつ、2020年2月末日時点の進捗状況を示しています。第3期予定分の進捗状況は8割程度進んでおり、その実績は第2期の内部成長実績でもご報告したとおりですが、収益貢献は主に第4期からになります。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、オフィス賃貸事業も少なからず影響があると思われますが、本投資法人の運用資産が位置する東京、大阪のオフィス市況は依然堅調であり、外部環境が不透明な中でも賃料ギャップを縮小すべく、内部成長の実現に向けて引き続き注力します。
2-2 内部成長戦略 ②
なお、16ページには第3期以降の注力物件を掲載しています。各物件の市況認識において、現下の新型コロナウイルス感染症の影響を共通項としたうえで、掲載5物件の内部成長に注力し、特に増収インパクトの高い品川シーサイドTSタワー、そして内部成長余力のあるS-GATE秋葉原、こちら2物件を重点注力物件と捉え、鋭意交渉中です。
2-3 財務戦略 ①
続きまして、財務戦略についてお伝えします。17ページをご覧ください。ページ左側の上段に財務ハイライトを掲載しています。本年3月12日時点のものになります。
また、有利子負債の返済期限の状況は左側下段のグラフのとおりですが、本年3月に返済期限を迎えた短期借入金43億円について、今般返済期間4.5年、固定金利の長期借入金への借換えを行い、全体として平均残存期間の長期化、固定金利比率の向上、返済期限の分散を図りました。
本投資法人は引き続きページ右側下段のパイチャートのように、メガバンクを中心としたレンダー構成による安定的な財務基盤を維持しつつ、平均残存期間の長期化、固定金利比率の向上、返済期限の分散化を推進していきます。
2-3 財務戦略 ②
なお、18ページには借入先の状況をまとめています。別途、ご高覧ください。
2-4 ESGへの取り組み
最後に、ESGへの取り組みをいくつかお伝えします。本投資法人の資産運用会社である弊社は、事業継続計画、BCPを策定しており、事業活動に甚大な影響を及ぼす災害や事故等が発生した場合、被害軽減と事業継続に向けて、自らのみならず、スポンサーグループ、関係者および関係機関とともに適切に対応することで、資産運用業務の安定化や、顧客への信頼確保に努めます。
なお、今般の新型コロナウイルス感染症への対応として、BCPにもとづくテレワークを実施し、関係者と緊密に連携しつつ資産運用業務を継続していきます。
また、本投資法人はESGへの取り組みを客観的に可視化すべく、第3期よりGRESBリアルエステイトへの参加準備に着手する予定です。
以上をもちまして、サンケイリアルエステート投資法人の第2期決算説明を終了します。この度は、みなさまに直接お会いすることが叶わず大変残念ではありますが、引き続きご支援・ご鞭撻を賜れれば幸甚です。
ご清聴いただき、ありがとうございました。