親に自主返納を納得してもらうには?

そうはいっても、長年運転をしている親に「運転を辞めて欲しい」とはなかなか言いづらいもの。親の方も運転に不安を感じていなければ、自分から「免許を返納する」という気にはならないものでしょう。親に免許の自主返納してもらうことに成功した人は、どんな方法で説得したのでしょうか。

「高齢者の交通事故のニュースが報道されるたびに、もし父が事故を起こしたら他人の人生を奪ってしまうこと。事故を起こすことで父自身や私たち家族も今のような生活はできなくなることを冷静に伝え続けました。はじめこそ、『俺には関係ない』と耳を貸さなかったのですが、小さな子供が犠牲になったニュースを見て、やっと『免許を返納する』と納得してくれました」

「私が何度お願いしても免許返納に応じなかった母。私の娘である孫が免許取得したのを機に『これからは私がおばあちゃんの足になるよ!』と言った途端、あっさりと免許返納。孫の力はすごいと思ったものの孫が口先ばかりのため、今では私が母の足になっています。大変だけど、運転して事故を起こされるよりはマシです」

「高齢だからとマンションに移り住んだ両親。マンション前にバス停があるのに、それでも運転を辞めないので、理由を聞いたところ『バスの乗り方がよくわからない』とのこと。それからしばらくは一緒にバスに乗車し、ICカードの使い方や路線図の見方などをレクチャーして、バスに慣れてきたころに免許返納を促しました」

いずれの場合も、一度ではなかなか免許返納には納得してくれなかった様子。交通事故を起こしたらどうなるのかを何度も話すことで、自分のこととして考えてもらえるように促したり、免許を返納した後どのようにサポートするかを具体的に話し合ったりすることで、自主返納に納得してもらうことができたといえそうです。

免許返納をしてほしいと焦ってしまうと、ついつい強い口調で親を責めてしまいがちですが、親の気持ちを理解して不安を取り除いてあげられるよう時間をかけて説得していきましょう。

免許返納には家族のサポートが必要

高齢ドライバーの現状や免許返納のメリット、免許返納の説得方法などをご紹介しました。長年運転してきた高齢ドライバーに免許返納してもらうのは難しいですが、事故の危険性や免許返納のメリットなどを理解してもらい、納得する形で免許返納できるように促していきたいですね。

参考

(※1)「高齢者に係る交通事故防止」内閣府
(※2)「免許返納が最多、2019年60万人 高齢者事故影響か」日本経済新聞
「高齢者運転免許自主返納サポート協議会加盟企業・団体の特典一覧」警視庁
「令和元年度(2020年度)運転免許統計」警察庁

葛西 歩