金融 × AIに取組むスタートアップのAlpaca(アルパカ)です。
初めて株価チャートを見た時、ローソク足と呼ばれる赤と緑が入り混じったチャートの形を見て面食らった経験がある方は少なくないと思います。
実際、このチャートは敷居が高いので、敷居の高さを避けるために1本の線でチャートが表されることもあります。ただ、このローソク足は日本が発祥であり、江戸時代からいろいろな考察が行われている非常に興味深いものです。
ディープラーニングなど最先端技術に取り組むAlpacaですが、ローソク足のような伝統的アプローチにも着目しており、先月米国株向けにリリースしたAlpacaScan*では、ローソク足パターンをスクリーニングの対象としています。今回はそんなローソク足を取り上げたいと思います。
*AlpacaScanは、アメリカ株7,000銘柄の中から、特定のローソク足パターンに該当したものを一覧にしてお知らせするサービスです。毎日ほぼ決まった時刻(世界標準時の午前0時)にメールとツイッターで配信しています。
ローソク足とは
まずは、ローソク足の基本から説明していきます。ローソク足とは、株価や為替の値動きを、1日や1週間という単位期間を決めて、一目でわかるようにしたものです。
日本で最も有名なチャートの記述方法の1つであり、この値動きを表す白と黒の棒の形がローソクに似ていることから、ローソク足と呼ばれるようになりました。
ローソク足の形は「四本値(よんほんね)」と呼ばれる4つの値段から決まります。ある期間の中で、最初に取引された株価を「始値(はじめね)」、最後に取引された株価を「終値(おわりね)」、最も高く取引された株価を「高値(たかね)」、最も安く取引された株価を「安値(やすね)」と言います。
そして、終値が始値よりも高かった場合を「陽線」と言い、株価の上昇を意味し、反対に終値が始値よりも安かった場合を「陰線」と言い、株価の下落を意味します。
また、四角部分は「胴体」と呼び、その上下に伸びている線を「ヒゲ」と呼びます。上につくヒゲを「上ヒゲ」と言い、その先端が高値を表し、下につくヒゲを「下ヒゲ」と言い、安値を表します。
ローソク足は、単位にする期間によって呼び方が変わります。ローソク足で1日の値動きを表す場合を「日足」、1週間の場合を「週足」、1年の場合を「年足」と言います。
とてもシンプルな形をしていますが、胴体やヒゲの長短、位置などから値動きを視覚的に捉えることができます。1つ1つのローソク足からも値動きに関する情報は得られますが、組み合わせることで単なる線のチャートより、その期間に何があったかの情報を多く読み取ることができます。
ローソク足パターンの歴史
このローソク足、江戸時代に日本で生まれ、当時の米相場で使われていました。このような歴史的背景があり、ローソク足の組み合わせによるチャート分析を酒田五法、または酒田罫線法と言います。
これを編み出した本間宗久は江戸時代の米商人で、ローソク足の発案者だとされており(諸説あり)、この酒田五法を用い莫大な富を得たと言われています。宗久は、米の需給と価格の間には関係があるものの、市場は売買を行う“トレーダー”の感情に大きく影響を受けるということを発見しました。
これは現在の株式市場においても同じことが言えます。およそ300年の時を経て、現在は日本国内だけではなく、「Candlestick Patterns」と呼ばれ世界中で使われる代表的なチャートの1つとなりました。
学術的な裏付け
このように日本が発祥のローソク足パターンですが、北米の一般的な棒グラフと比較して、ローソク足の胴体の色を見ることで、より簡単に日々の市場心理を読み取ることができると言われています。
一方で、全てのローソク足パターンが同じようにうまく働くわけではありません。ローソク足があまりに有名であるため、それが仇となり、ヘッジファンドやアルゴリズムによって分解され尽くしてしまっていると考えられるからです。そして十分な資金のあるプレイヤーたちによって、奇妙に高い上昇や急落というトラップを仕掛けられることもあるのです。
とはいえ、依然として、いくつかの信頼できるパターンは存在し、短期や長期の利益を得る機会を提供し続けているからこそ、現在の人気につながっているといえます。
まとめ
ローソク足は現在、最も有名なチャートの1つであり、トレーディングのタイミングを計るのに有効とされ、多くの活用法が解説されています。
しかし、株の売買は複数の情報を元に意思決定が行われます。そのため、“このローソク足パターンが出たから、絶対に株価は上昇する!”というようなことはなく、他の情報と併用し、ローソク足パターンはあくまで意思決定に必要な複数の情報の中の1つの情報でしかない、と意識したうえで利用する必要があります。
アルパカ