2020年4月14日に行われた、株式会社マネーフォワード2020年11月期第1四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社マネーフォワード 代表取締役社長 CEO 辻庸介 氏
2020年11月期第1四半期決算説明会
辻庸介氏:みなさま、こんにちは。マネーフォワードの辻でございます。本日はお忙しいところご視聴いただきまして、誠にありがとうございます。また、昨今の新型コロナウイルスの状況から、このようなライブ配信のかたちでのアナウンスとなりますことをご容赦いただければと思います。
自宅からの配信が初めてですので、若干慣れないところもあるかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。それでは、さっそくではございますが、決算説明資料に従って第1四半期の決算説明をさせていただきます。
新型コロナウイルス感染症の拡大について
まずはじめに、新型コロナウイルス感染が世界中に広がっており、ご存知のとおり、私たちの生活に大きな影響をもたらしています。お亡くなりになられた方、並びにご遺族の方に、心よりお悔やみ申し上げます。また、感染が日々増加する状況において、医療従事者のみなさま、関係者のみなさまに心から感謝申し上げたいと思います。
我々も「お金を前へ。人生をもっと前へ。」というミッションのもと、世の中のお金の課題解決を目指していますが、このような難しい状況のなか、ライフスタイルに応じた資産、家計設計の提案や企業の資金繰りの支援において、リモートワーク推進の妨げとなるものをクリアしながら、デジタル化の推進とクラウドサービスの普及などを通して社会に貢献していきたいと考えています。
本日は、はじめに事業内容、また新型コロナウイルスの影響と対策ということで触れさせていただきます。そして、ハイライト、第1四半期の業績説明をドメインごとに、それからその他の戦略的取り組みというかたちでご説明します。
事業内容はご存知の方が多いと思いますので、今回は割愛しますが、お金の課題解決を行なっていくことを目指している会社です。
新型コロナウイルス感染症に関する当社の対応
新型コロナウイルス感染症による影響と対策についてご説明します。2月21日に、私を最高責任者とした危機対策本部を設置させていただきました。社内・従業員向けと、お客さま・お取引先さま向けということで、それぞれ対応しています。
2月はイベントの中止、延期、不要不急の国内・海外出張の制限、時差出勤、会議室利用の見直し等、オンライン会議への切り替えを行なっています。
また3月は、事態が徐々に深刻化するなかで、3月2日より全社テレワークの推奨、また26日より原則テレワークを行なっています。4月は緊急事態宣言を踏まえ、本社への出社は禁止としています。
社員の新型コロナウイルス感染への対応
このような環境下において、当社の社員で1名、新型コロナウイルス感染が判明しました。おかげさまで、現在この社員は容態が安定しており、体調は戻りました。
3月31日に発熱して自宅にて経過観察していたのですが、4月6日に医療機関でPCR検査を実施したところ、4月9日に新型コロナウイルス陽性が判明しました。保健所に確認したところ、当該社員は26日から在宅勤務をしており、26日から31日の間は会社に来ていません。お客さま、お取引先さま、当社役職員に濃厚接触者はおらず、現状では2次感染者も出ていません。
会社に関してはしっかりと消毒等を行ない、5月に再開できることになっても安心して使えるよう対応しています。
新型コロナウイルス感染症に対する全社的な取り組み
今回の新型コロナウイルス感染症に関する全社的な取り組みとしては、ここから長期化に備えて各種の全社プロジェクトを開始しています。
1つ目が、先ほど申し上げたテレワークの対応です。今回の四半期決算は、当社の「マネーフォワード クラウド会計Plus」を利用して、完全テレワークで対応しました。おそらく初めての事例になるのではないかと思っています。監査法人にも「マネーフォワード クラウド会計」でログインいただき、テレワークで監査いただきました。
また全社プロジェクトとしては、このような先行きが見えない段階ですので、全体的にコストの徹底的な見直しを行ない、コスト削減を実施しています。最適な人員配置の見直しという趣旨で、フロントに人員を配置したり、生産性向上への各種施策を実施しています。
さらに、銀行借入の拡大をします。2月に新株発行によって約47億9,000万円を調達しました。当面の資金繰りにはまったく問題ないと思っていますが、長期化リスクに備える目的で、銀行借入の拡大を急ぎたいと思っています。
新型コロナウイルス感染症による影響と対策
新型コロナウイルスで想定し得る影響と今後の対応策を、ドメイン別にご説明します。本日開示させていただく数字が第1四半期ですので、12月から2月までとなりますが、実際に3月以降の想定し得る影響を記載しています。
現状で見える範囲になりますが、Businessドメインにおいては、イベント延期やキャンセルが発生しており、潜在的な新規顧客の獲得機会の喪失があります。また、第2四半期において1,000万円以内の売上減少、商談の延期やキャンセル、顧客継続率への影響というところがネガティブな要素だと想定しています。
今後の対応策としては、商談のオンライン化促進、カスタマーサクセスを強化していくこと、またリアルでお会いするのが難しくなってきていますので、しっかりとオンラインで顧客をサポートしていくという体制を作っていきたいと考えています。また、新しいニーズ、需要が拡大している点もたくさんありますので、このニーズにしっかり対応していきたいと思っています。
Homeドメインです。おそらく、現状で一番大きな影響があるのはHomeドメインです。多少のイベント売上がありますので、そのイベントの延期やキャンセルで第2四半期において2,000万円から3,000万円の売上減少を想定しています。
一方、家計簿へのニーズ拡大です。当然、お金に関する意識が高まるのではないかと思っており、今後の対応策として、新しいニーズへの対応を行なっていきたいと思っています。またイベントに関しては、需要の高い広告がありますので、こちらへシフトしていくことを考えています。
Xドメインは、進行中や商談中の案件の遅延、キャンセルという可能性が想定し得ることだと思っています。足元ではそうしたことはありませんが、今後はそのようなことがおこっても対応できるよう、商談のオンライン化促進をしっかり進めていきたいと思っています。
Financeドメインですが、「MF KESSAI」「Money Forward BizAccel」への問い合わせが非常に増加しています。こちらの対応策ですが、適正な審査基準をしっかり設けて、お客さまの審査を行なっています。
また、現時点ではサービス提供先の貸し倒れ増加は見られませんが、いつ、そのような事態がおこるかわからないという危機感を持ちながら、対応策として継続的なモニタリングをしっかり実施していくことを考えています。以上が、現在の想定し得る影響と今後の対応策です。
まとめると、現状はいろいろな業界が大変な状況ですが、当社の業界は直接的な影響は受けにくいところであり、直近の影響も軽微です。年始にお出ししている事業計画を変更することは予定していませんが、「100年に一度」と言われる危機ですので、しっかり注視しながら迅速に対応していきたいと考えています。
新型コロナウイルス感染症に対する取り組み (1/4)
続いて、新しい取り組みです。日々状況が変わるなか、当社ではさまざまな取り組みを行なっています。テレワークの推進、資金繰り改善、社会課題を解決するSaaS企業として社会のインフラを目指すなど、その取り組みを紹介させていただければと思います。
1つ目は、IT導入補助金の情報が出ましたので、1次募集説明サイトを開設しました。また、政府からさまざまな補助金や助成金等が出ていますが、非常にたくさんあってなかなかわかりにくいとの声を受け、「支援情報まとめサイト」を数日で作って立ち上げました。こちらは検索が可能になっており、さまざまな補助金や助成金を地域ごとに検索できます。ぜひ、少しでも多くの中小企業に使っていただきたいと考えています。
次に、「マネーフォワード クラウド請求書」についてです。どうしても請求書業務が弊害となってリモートワークができないという経理部の方が多くいらっしゃるため、こちらを無償提供します。また、「事業継続緊急対策(テレワーク)助成金」に関する相談窓口を設置しました。
そして、スライド右下が当社の「四半期決算をテレワークで乗り切った方法」です。テレワークにおける当社のナレッジを社外へ共有させていただくことを積極的に行なっています。
新型コロナウイルス感染症に対する取り組み (2/4)
個人のお客さまでは、「急遽、出勤が止まってしまった」「解雇になってしまった」といった声をいただいています。家計や資産について不安を抱える個人の方向けに「今知りたい、お金のこと」のライブ動画配信を決定しています。4月10日の横山氏による動画配信では700名にご視聴いただきました。また、オンラインで確定申告の相談をする「マネーフォワード クラウドコミュニティ」も開設しました。
その他にも「MF KESSA」の提供するサポートとして資金繰り悪化などのリスクに対する支援強化や請求業務のアウトソーシング、またVCとスタートアップ企業のオンライン資金調達相談も実施しています。
新型コロナウイルス感染症に対する取り組み (3/4)
本日、持続化給付金の受給可否や予測金額の把握が可能となる新機能をリリースしています。緊急経済対策として発表された「持続化給付金の支給」ですが、受給可否の判定や金額算出にあたり、非常に複雑な集計が必要な状況です。
こちらを「マネーフォワード クラウド会計」「マネーフォワード クラウド確定申告」の会計データを元に、自動で「持続化給付金」の対象かどうかの予測と予測給付額の把握が可能となる機能を新たに開発しました。
もちろん、今後いろいろなアップデートがあると思いますので、政府から具体的な内容や条件が公表され次第、機能をアップデートしていく予定です。
新型コロナウイルス感染症に対する取り組み (4/4)
先ほどは法人向けのものでしたが、本日リリースさせていただいたのが、個人向けの取り組みです。
例えば、収入が激減した方への生活費の貸付や手当など、行政機関や企業が行うさまざまな支援制度が用意されています。実は、水道光熱費や携帯料金の支払い期限の延長等といった支援制度もあるのですが、ご存知でない個人のお客さまも多くいらっしゃいますので、そのようなものをご説明する「支援情報まとめ」をリリースしました。
実際に、社会福祉士や精神保健福祉士の方々、またNPOで現場で支援活動に取り組んでいる方々と連携させていただき、より大変な思いをされている個人の方に届くように活動していきたいと思っています。
以上が、現在の危機に対して我々でもお役に立てればということで、急遽取り組んでいる内容のご説明でした。
SaaS(Software as a Service)事業モデルの強み
ここから内容は変わり、SaaS事業モデルの強みについてです。不況が見えてきた状況ですが、我々がメインのビジネスとするSaaSビジネスの強みを説明させていただきます。
ご存知のとおり、SaaS事業はサブスクリプション型ビジネスモデルです。ストック型ということで、将来売上の見通しが比較的容易です。当社はBusinessドメインの約90パーセントがストック収入で、フロー収入は非常に少ないです。
また、売上総利益率が非常に高いビジネスモデルです。当社の今四半期の売上総利益率は連結ベースで70パーセントですが、経営判断による販管費削減等を通じた利益率向上が可能なビジネスモデルになります。
そして、従来のパッケージ型ソフトと異なり、初期導入費用が原則不要で比較的安価のため、導入企業のコスト負担が限定的です。スモールビジネスプランであれば月額2,980円ですので、このような状況になっても解約がおこりにくいサービスではないかと考えています。
クラウドサービスですので、テレワークで自宅からでも対応できます。生産性向上を実現するのが、我々が提供しているSaaSサービスです。このような状況でもさらなる需要拡大を想定していますので、しっかりとアピールしていきたいと思っています。
当社の認知度・ニーズは継続的に拡大
当社の認知度やニーズが継続的に拡大していることを数字でお示しします。検索数が前年同期比で18パーセントほど増加しています。
テレワークを推進するバックオフィス向けサービス
最近、「どうすれば、テレワークを推進できるのか」というご質問を多くいただいています。例えば、当社のクラウドサービスにはさまざまなものがありますが、他社の素晴らしいサービスもたくさんありますので、そのサービスを活用することによってテレワークでのバックオフィス業務が可能となっています。
スライド左側ですが、「マネーフォワード クラウド勤怠」と「マネーフォワード クラウドマイナンバー」をAPIでつなげたり、また「マネーフォワード クラウド社会保険」での社会保険手続き、「マネーフォワード クラウド給与」による給与計算も可能です。勤怠で入力した内容が自動で連携して給与計算に流れ、給与計算から「マネーフォワード クラウド会計」に流れる仕組みもあります。
経費精算においても、「マネーフォワード クラウド経費」と「マネーフォワード クラウド会計」がつながっており、経費精算が自動で会計に流れ、請求書も「マネーフォワード クラウド請求書」によってクラウドで処理されますので、会社に行くことなく請求書の送付や受信が可能となります。
それを処理すると会計に流れていき、会計データになります。「マネーフォワード クラウド会計」でできた会計データを「Manageboard」のような予実管理のレポート機能を搭載したものに流していくといったかたちで、自宅にいながらこのようなことができるサービスを提供しています。
事業会社ユーザー様からの声
実際に今、多くの事業会社さま、お客さまから、スライドに記載したような声をいただいています。株式会社スマイングからは「クラウドを活用したおかげでこの状況でも業務への影響がほぼなかった」といった声を、また株式会社クリーンハウスからは「クラウド会計、USENレジ、G Suiteを利用してクラウド化して、問題ないです」といった声をいただいています。
導入いただいた方から感謝の声をいただくのは、我々としては何よりありがたいことですので、このような声を受けて、まだ導入されていない方にもしっかりと勧めていきたいと思っています。
上場・未上場に関わらず、多くの企業がご利用に
スライドに記載しているのは実際のエンドユーザーですが、上場・未上場にかかわらず、多くの企業にご利用いただいています。
会計事務所・社労士事務所様からの声
会計事務所、社労士事務所からの声です。早期から対応いただいているトリプルグッド税理士法人ですが、1,000社を超える顧問先に対してクラウド化を推進いただいています。このような新型コロナウイルス危機下においても、オンラインで面談したり、経営データを「マネーフォワード クラウド会計」で確認されるなど、「早期にクラウド対応していてよかった」という声をいただきました。
また、岡本先生の主治医のような社会保険労務士法人は北海道にありますが、あらゆる業務にクラウドサービスを導入されており、「交通機関を使うことなく、在宅ワークに切り替えることができました」という声もいただいています。
全国の会計・社労士事務所とのパートナーシップが拡大
士業については、現在全国で4,100を超える事務所と連携させていただいていますが、引き続きこの機会にリモートワークを進めていきたいと思っています。
以上が、今回の新型コロナウイルスの対応の説明となります。
2020年11月期第1四半期 ハイライト
ここからはハイライトです。通常の決算説明に移らせていただきます。連結売上高は、前年同期比71パーセントの増加で、成長が加速している状況です。売上総利益も過去最高の16億7,000万円で、売上総利益率は70パーセントに改善しています。また、広告宣伝費を除くEBITDAは黒字で着地しました。第1四半期の連結売上高に占めるストック比率は全体で78パーセントで、持続的な成長基盤を誇っています。
グループ年間経常利益、ARRですが、前年同期比64パーセントの78億7,000万円です。BtoB売上高は、前年同期比89パーセント増加の19億4,000万円となっています。Businessドメインの経営指標は順調に推移しており、後ほど詳細をご説明します。
そして、グループにジョインしてくれたスマートキャンプですが、PMIが順調に進捗しており、主にテレワーク推進に伴い、テレワーク関連サービスの導入ニーズが強く、マーケティングプラットフォーム「BOXIL」の売上が増加しています。
47.9億円の新株式発行により財務基盤を強化
2月に47億9,000万円を調達させていただきました。こちらの詳細ですが、だいたい60社から70社が需要を創出してくださり、案件発表から7時間で約10倍の500億円ほどの需要をいただきました。
また、今回は株価インパクトの最小化を目的に、「ABB」と呼ばれる募集形式を採用させていただきました。オーバーナイトで募集させていただいたのですが、発表翌日の株価終値は希薄化率4.95パーセントを下回る1.41パーセントとなっています。
条件決定から払込日までの期間中、株価の発行価格は4,577円でしたが、それを上回る5,240円という結果となりました。対応いただいた投資家のみなさまには、あらためて深く御礼申し上げます。
50%を超える機関投資家比率
こちらは2019年11月末時点ですので、この投資家比率には先ほど申し上げた資金調達は反映されていないのですが、海外の機関投資家が36パーセント、国内の機関投資家が16パーセントとなっています。
我々は大量保有報告書を提出いただいた投資家しかわからないのですが、現在はJPモルガンアセットマネジメント、キャピタルリサーチアンドマネジメントカンパニー、レオスキャピタルワークス、ティー・ロウ・プライス・ジャパン、FMRに大量保有報告書を提出いただいています。
以上がハイライトとなります。
1Q連結売上高は前年同期比+71%成長、過去最大に
ここからは第1四半期の業績説明になります。先ほど申し上げたように、全体の売上高は前年同期比71パーセント増で過去最大となっています。とくに成長したのがBusinessドメインで、83パーセントの増加ですが、こちらはスマートキャンプの売上高の計上を開始しています。また、Xドメインが88パーセント増加で、Financeドメインが210パーセント増加となっています。
積み上げ型収益を示すグループARRは高成長を維持
グループ年間経常収益は78億7,000万円で、前年同期比64パーセント増と、右肩上がりで大きく伸びています。
BtoB売上高は、前年同期比+89%と成長が加速
BtoB売上高は89パーセント成長で、19億4,000万円となっています。一方、課題はHomeドメインの成長率で、22パーセント増ではあるものの、こちらの成長率上昇が今後の課題と認識しています。
売上総利益/EBITDA(四半期推移)
売上総利益及び売上総利益率は過去最高となっており、売上総利益率は70パーセントです。EBITDAは4億9,900万円の赤字で、広告宣伝費を除くと1億1,200万円の黒字となっています。
売上総利益率が60パーセントから70パーセントまで上がっていることについてです。もちろん売上の伸びもありますが、継続的な開発力の強化によって発生した、将来収益を期待できる開発プロジェクトのソフトウェア資産化を行なっており、一部、ソフトウェアの資産化の影響があることをお伝えしておきます。
費用内訳(売上原価・販売費及び一般管理費)
コストについては、第1四半期が30億2,600万円でした。今回、スマートキャンプのグループジョインによって人件費が増えています。また、先ほど申し上げたソフトウェア資産化の影響である1億8,000万円はその他勘定ということで、その他が減少する要因となります。
広告宣伝費についてですが、HomeドメインのテレビCMを行なったことや、Businessドメインの確定申告のマーケティング費用で2億円弱増えています。
正社員数の推移
正社員数の推移ですが、第1四半期で691人から727人ということで、Businessドメインを中心に採用しています。ただし、2019年ほどの採用スピードは予定していません。
バランスシートの状況
バランスシートの状況ですが、先ほど申し上げた資金調達により財務基盤を強化しています。また、スマートキャンプの100パーセントグループ会社化を実施しましたが、それが13億8,000万円です。第1四半期の現金及び預金が87億9,400万円、ネットキャッシュが59億2,600万円、純資産が106億9,700万円となっています。
Money Forward Business 20/11期 第1四半期ハイライト
Money Forward Businessドメインの説明です。ストック収入に関しては、既存事業の成長及びスマートキャンプのグループジョインの両方の要因から、前年同期比プラス80パーセントと成長が加速しています。また「1お客さま」あたりの売上高も6万1,558円で、順調に増加しています。
解約率は1.4パーセントで、月間経常収益(MRR)ベースではマイナス2.3パーセントと、引き続きネガティブチャーンを実現しており、いい状態が続いていると思います。売上継続率(ネットレベニューリテンション)も131パーセントと、高い水準を維持している状態です。
Money Forward Business 20/11期 第1四半期 経営指標
こちらは、それぞれの経営指標になります。
Money Forward Business 売上高
Money Forward Businessドメインの売上高は前年同期比80パーセント増で、15億5,900万円の売上高になっています。
ARPAは引き続き順調に増加
ARPAは、前四半期の2019年11月末では5万9,248円でしたが、第1四半期は6万1,558円です。継続的なプロダクト開発やサービスラインナップの拡大、クロスセル、アップセルが行なわれており、順調に伸びています。
100%以上のネットレベニューリテンション
ネットレベニューリテンションです。細かい説明は省かせていただきますが、前四半期から若干伸びており、131パーセントとなっています。
第3四半期の新プラン導入に伴い、ネットレベニューリテンションは非常に高い数字になっていますが、第3四半期以降は新プラン導入の効果が薄れるため、今後、クロスセル、アップセルがどれだけ進むかによりますが、若干落ちることを想定しています。
クラウド会計および社会保険の新サービスをリリース
取り組みについてのご説明になります。「マネーフォワード クラウド会計Plus」は、IPO準備中や上場企業向けのサービスとしてリリースさせていただきましたが、こちらが非常に好調です。リリースから1ヶ月で30社以上の企業から受注や内諾をいただいています。
「マネーフォワード 社会保険」についてです。これからの手続きはオンラインでの電子申請になっていきますが、社会保険手続き業務を効率化しようということでリリースしています。
プロダクトラインナップの拡大
先ほど申し上げた「マネーフォワード クラウド会計Plus」と「マネーフォワード クラウド社会保険」をリリースすることによって、バックオフィス業務においては財務や経理、人事、労務、経営管理や分析といったひととおりのサービスが揃ってきたのではないかと思っています。
既存のお客さまへのクロスセル、アップセルをしっかり行ない、顧客基盤も広げていきたいと考えています。
『マネーフォワード クラウドStore』サービスが充実
前回お話をした「マネーフォワード クラウドStore」についてです。当社ではさまざまなバックオフィスのサービスを提供していますが、クラウドサービスのなかには他にもすばらしいサービスがたくさんあります。そうしたサービスを、我々の既存のお客さまに提供していこうということで、さまざまなサービスを紹介させていただこうと考えています。
「Zoom」をはじめ、Microsoftの「Office 365」、Googleの「G Suite」、また「Dropbox」といった世界的なサービスを、「マネーフォワード クラウドStore」にて取り扱いを開始できるようになりました。このようなサービスも展開しながら、既存のお客さまへのアップセルも進めていきたいと考えています。
立替経費「キャッシュレス送金」サービスを提供開始
こちらはクラウド経費サービスです。キャッシュレスで従業員に経費精算したお金を送るもので、これを実現すると、企業の振込手数料が削減されたり、従業員への経費支払が早期化するというメリットがあります。
現在は「LINE Pay」「Jcoin」「pring」の3社のサービスに対応させていただいており、このように今までにない価値を提供していきたいと思っています。
オンライン展示会「BOXIL EXPO 2020」開催
こちらはスマートキャンプの取り組みですが、現状ではオフラインの展示会開催が難しいため、6月11日にオンラインの展示会「BOXIL EXPO 2020」を開催予定です。業務効率化やテレワーク等、非常に新しいサービスへのニーズが強いため、そのような出会いをしっかり創出していきたいと考えています。
以上が、Businessドメインのご説明となります。
プレミアム課金収入(売上高推移)
Money Forward Homeドメインについてご説明します。スライドはプレミアム課金収入のグラフで、橙色が課金収入、黒色がプレミアム課金ユーザー数のグラフですが、順調に右肩上がりとなっており、前年同期比25パーセント増で23万人を突破しました。また課金率が2.5パーセントに上昇しています。
『マネーフォワード ME』の利用者の伸びが加速
「マネーフォワード ME」の利用者数は、テレビCM等の効果により950万人を突破して、有料課金ユーザー数も加速しています。第1四半期中に2万人超というのは、今までで一番伸びていると思うのですが、2万人超の課金ユーザーを獲得し、合計で23万人の課金ユーザーが利用するサービスに成長しています。
メディア/広告収入(売上高推移)
メディア、広告収入です。前年同期比で17パーセント成長しています。第2四半期以降は新型コロナウイルスの影響が継続すると仮定すると、オフラインイベントの中止の影響によって、売上が減少する想定です。
Money Forward X 売上高推移
Money Forward Xドメインは順調に成長しています。ストック収入、フロー収入ともに第1四半期として過去最大ということで、前四半期は大きな案件の導入でフロー収入が大きかったのですが、今回は第1四半期もしっかりと伸びています。金融機関を中心に、デジタルトランスフォーメーションの取り組みが非常に増加している状況です。
金融機関との連携(アプリ・機能提供)
具体的にお話しします。「マネーフォワード for ◯◯」ということで開発したのが、金融機関お客さま向けの「マネーフォワード ME」というサービスです。また「MFUnit」は、金融機関の既存アプリにPFMの各機能を提供しているところです。
そのほかにも「通帳アプリ」であったり、また別の取り組みとして、東海東京証券に対して、投資サービスや保険、年金などの機能を備える「おかねのコンパス」というアプリに「資産管理機能」を提供させていただくといったものも始まっています。
「無通帳申し込み機能」を提供
「通帳アプリ」のニーズが非常に大きいのですが、栃木銀行の「かんたん通帳」をご紹介します。紙の通帳が不要の口座への切り替えが可能になり、ユーザーの利便性も向上して、地銀の通帳発行コストも削減できるという一石二鳥のサービスです。こちらもしっかりと広げていき、世の中のデジタライゼーションを進めていきたいと思っています。
Money Forward Finance 売上高推移
Money Forward Financeドメインですが、こちらも非常に伸びており、前年同期比210パーセント増ということで高成長を実現しています。「MF KESSAI」は、「MF KESSAI」独自のファクタリングとそのOEM提供、また請求業務代行が拡大しています。
『MF KESSAI』シャープ子会社のサービスに導入
「MF KESSAI」は、スタートアップや中小企業への導入がどんどん進んでいたのですが、今回は大手企業ということで、シャープの子会社のサービスにも導入することが決定しました。今までと異なる新しいビジネスニーズが出てきている状況です。
今後のビジネスモデルは、「単価が大きく、取引先が少ない」といったものだけでなく、「単価は小さいが、非常に取引先さまが多くなる」といったものが増えてくると想定しています。そのようなお客さまに「MF KESSAI」を使っていただくことにより、またアウトソースしていただくことにより、業務効率化などで空いたリソースを本質的な業務に集中していただくということで進めていきたいと考えています。
『MF KESSAI』、請求業務代行の対象事業者を拡大
こちらも「MF KESSAI」の新しい取り組みです。すべての取引が請求できるようになり、取引先への請求業務を一括してアウトソースいただくことが可能になりました。我々にすべての請求業務をお任せいただける体制ができてきたと考えています。
マネーフォワードシンカにおいて初の資金調達支援を完了
マネーフォワードシンカについてです。金坂が社長を務めている会社ですが、こちらもスタートアップの資金調達等の支援にあたっています。スライドはアルプという有望なベンチャー企業ですが、今回はその資金調達を支援させていただきました。
現状の新型コロナウイルスの状況を踏まえ、スタートアップの資金調達の環境が非常に厳しくなっていますので、我々はサービス提供だけではなく、ナレッジの提供なども支援できるよう、グループ全体でしっかりと取り組んでいきたいと思っています。
今年度取締役メンバー(代表者)
その他の戦略的な取り組みをいくつかご紹介します。2月に株主総会を開催させていただき、今年度の取締役陣が決定しましたのでご報告します。
今年度取締役メンバー(社内取締役)
社内取締役に関しては、昨年に引き続き留任となります。
今年度取締役メンバー(社外取締役)
社外取締役のみなさまですが、東芝の取締役 代表執行役社長CEOの車谷さま、日本ペイントホールディングスの取締役会長 代表執行役 社長 兼 CEOの田中さま、DNX VenturesのManaging Directorの倉林さま、プロノバの代表取締役社長の岡島さまに加え、今回からSBI大学院大学准教授の上田さまに新しく参画いただくことになりました。
上田さまはコーポレートガバナンスの専門家です。当社のコーポレートガバナンスのさらなる強化に加え、東証一部・プライム市場への上場を目指していますので、しっかりと体制を強化していきたいと考えています。
金融機関との連携(API・スクレイピング接続)
API・スクレイピング接続に関して、各金融機関との契約をしっかりと締結しています。現在は合計で963の金融機関とAPI・スクレイピング接続が可能となっており、国内最多の契約締結数です。ほぼすべての金融機関とAPIで連携させていただけるよう、相談させていただきながら進めていきたいと思っています。
成長投資並びに黒字化の方針
成長投資並びに黒字化の方針については、従来からお示ししているものから変更はありません。基本的には、中長期的なキャッシュフローの最大化を重視していきます。そのため、SaaSビジネスであるBusinessドメインの成長投資を加速していきます。
また、このような環境ですので、成長投資については経営指標の健全性をしっかり見て、堅持しながら実行していきます。「キャッシュ・イズ・キング」という場面でもありますので、バランスをしっかり考えて進めていきたいと思います。M&Aに関しても同様の考え方です。
黒字化に関する方針ですが、2021年11月期にEBITDA黒字化を達成するという目標は変えていません。また、早期の東証一部・プライム市場への上場を目指していきたいと考えています。
冒頭にも申し上げましたが、今後、新型コロナウイルスの影響がどのくらい出てくるかは未知の部分があります。しかし、現状では当初開示している目標に変更はありません。
巨大な潜在市場で事業展開。さらなる成長を目指す
当社の4ドメインの潜在市場は、非常に大きいと考えています。TAMの合計は3兆6,000億円ですので、このなかでしっかりと優位性を磨きながら成長して、株主さまに応えていきたいと思っています。
不安の向こうに、あるものを。
こちらは、我々がクリエイティブディレクターをお願いしている渡辺潤平さんが、今回の新型コロナウイルス騒動でいろいろな取り組みを行なっている我々について書いたコピーです。
「不安の向こうに、あるものを。」ということで、現状は社会全体にいろいろな不安やストレスがあります。我々は、なかなか大きなことはできないのですが、このようなときだからこそ、我々ができる範囲でサービスやカスタマーサクセスを投じてお役に立ちたいと考えています。
もし、お役に立てることがありましたら、ぜひお声がけいただければ幸いです。私からの説明は以上となります。ありがとうございました。