「ただ、やっぱりすぐにはプライドを捨てられなかったから最初は死ぬほど苦しかったけれど、あの一件がなかったら自分の小ささに気付けなかったし、いま楽しいと思いながら仕事を続けられていなかったと思う」と話してくれました。

Aさんと話をしていても「驕りたかぶる」という言葉とは正反対の印象なのでとても意外でした。

妻の出産に立ち会ったこと

総合商社で管理職をしているBさんは、「出産に立ち会ったこと」が自分を変えた一番の出来事だと語ります。

「それまでは子どもが好きとか、子どもが欲しいと思ったことはなかった。正直、妻のお腹に命が宿ったと聞いたときも『まあ、そんなこともあるよな』という感じ。父親になる自覚なんて全くなかったし、お腹が大きくなっていくのを見て『本当に父親になれるかな、子どもをかわいいと思えるかな』と不安に思っていたくらい」と教えてくれました。

自分のお腹で子どもが育つわけではない男性は、父親になる自覚がなかなか芽生えない人も多いと言いますが、Bさんも、そうした一人だったようです。

「でも、出産に立ち会って自然と涙がでた。ありきたりだけれど、人間ってすごいなというか、感無量っていうのはこういうことを言うんだと感じた。生まれてきてくれた娘にもそうだけど、何より産んでくれた妻に感謝の気持ちが止まらなかった」とBさん。