誰にでも、大なり小なり自分を変えた出来事があるのではないでしょうか。著名な経営者や研究者にも、自分を変えたきっかけがあって偉業を遂げることができたという人が多いものです。

そこで今回は、3人のサラリーマンに「自分を変えた出来事」について聞いてみました。経営者や自営業ではなく、会社に雇われているサラリーマンという立場で働く彼らの話には何か学ぶものがあるかもしれません。

仕事の成績で負けて自信喪失したこと

大手金融機関でディーラーとして働くAさんは、ある先輩に出会って自分の生き方が変わったと言います。

「若いときは自分が一番優秀だと思っていたし、ディーリングの成績もよかったから正直に言えば驕りたかぶっていたところがあった。実際に上司から高く評価されていたし、同僚の誰より成績がよかったから」とAさん。

「新人が入ってきてもほったらかしだし、面倒な事務仕事は人任せ。でも、ある外資系金融から中途入社してきた先輩が、まぁとにかく優秀で。ディーリングの成績もさることながら、後輩や同僚にも親切で、事務処理も文句を言わずに引き受けるし、新人教育にも熱心だった」と振り返ります。この先輩との出会いがAさんを変えたと言います。

「その先輩にディーリングの成績で負けたときに、『成績が劣ったうえに、新人教育とか事務処理とかもやらないオレに価値はあるのか』とふと思った。その瞬間は焦燥感とか敗北感とか、いろんな思いが心の中に渦巻いていたのを覚えている。で、『このままじゃこの会社にオレの居場所はなくなる、オレの価値が相対的に下がる』と思って、プライドを捨てて仕事にちゃんと向き合うことにした」のだそう。