2020年2月7日に行われた、スズキ株式会社2020年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:スズキ株式会社 取締役 常務役員 長尾正彦 氏
第3四半期決算総括
長尾正彦氏:では私から、最初に決算の概要をご報告します。お手元の資料はPowerPointのコピーで、ページを引用しますので、その流れに沿ってご報告します。
まず、2ページをご覧ください。ここで、最初に今回の決算を総括します。結論から申し上げますと、減収減益という実績です。連結売上高は2兆6,261億円で、2,127億円の減少となりました。3期ぶりの減収ですが、それでも歴代では3位くらいの水準になっています。
連結の営業利益は1,704億円で、861億円の減少です。利益率も6.5パーセントで、これも2期連続の減少ですが、水準としては、これもだいたい3位くらいの水準です。
ちょっと飛びまして、下の世界販売のところですが、四輪車は216万台となり32万台減で、インド、日本、パキスタンで減少です。二輪車については、インド、フィリピンで逆に若干増加して134万4,000台となり、3万6,000台の増となりました。
その下の通期業績予想は、昨年10月10日に予想を変えましたが、今回はその水準を据え置きとさせていただいています。これが全体の概要です。
四半期毎の業績推移
3ページ目をご覧いただきたいと思います。四半期ごとの業績の推移を見たもので、ちょうど2018年度の第2四半期以降減速となり、その後は500億円から600億円程度の水準で推移している状況です。
とくにインドの減速感などが、このような結果になっているということです。
連結:売上高の状況
4ページ目は、事業別、地域別に縦横で整理した数字です。とくに、ここでも四輪のアジア、なかんずくインドを見ていただくと、当期で8,077億円で、1,393億円減が大きく効いています。
それから表の外に、それぞれ為替換算影響ということで書いていますが、トータルでは782億円。為替影響もけっこう大きな額で効いて、減収要因になったということです。
連結:営業利益増減要因
5ページ目は、連結の営業利益の増減要因をグラフにしたものです。プラスに効いたのは原価低減と研究開発費の減だけで、あとは売上・構成変化、為替影響等々のマイナスが減益要因となっています。
連結:為替レート
為替については、6ページ目にあるように、ユーロで77億円の差損、インドルピーで38億円の差損、ちょっと飛んでパキスタンルピーがややインドより大きいですが、47億円の差損で計上されています。
連結:設備投資等
7ページ目をご覧いただきたいと思います。設備投資については1,734億円、減価償却費は1,188億円、研究開発費が1,056億円で、増減は、1つ飛んだ右のところに書いているような状況になっています。
その下で、従業員数が6万9,041人になっていますが、グジャラート関係が増えていますので、そのようなところが反映されています。
連結:キャッシュ・フロー
8ページ目です。キャッシュ残高ですが、ちょうど12月にトヨタ自動車株式会社からの960億円の払い込みもありましたので、トータルしますと、前期末に比べて458億円の増加。残高的には5,189億円で計上されています。
連結:事業別業績(売上高・営業利益)
9ページ目が、事業別に業績を分解したものです。四輪事業については、売上高は2兆3,771億円、2,195億円の減少。営業利益については1,566億円、875億円減です。
二輪事業は、インドでの販売増加の一方で、インドネシアやタイでの販売減少、為替の円高の影響により、売上高、利益ともに前年同期並みで終わっています。
一番右側のマリン事業他ですが、これは増収増益です。
連結:所在地別業績(売上高・営業利益)
10ページ目は、所在地別に見たものです。このなかでは、日本と、インドを含むアジアで減収減益となりました。
日本で919億円、207億円の減少。アジアで541億円、675億円の減少が特徴的です。とくに、このなかでインド関係が大きく効いています。
マルチ・スズキ・インディア社の業績
11ページ目です。みなさまもご案内のとおり、マルチ・スズキ・インディア社の決算発表が1月28日にありましたが、それをもう一度、ここに整理させていただいています。
左側がルピー建、右側が円換算したものです。円換算したもので見ていただいても、売上高が8,505億円、1,525億円の減収。営業利益で477億円、574億円の減益。利益率も、ほぼ半分くらいの5.6パーセントという結果になっています。
営業利益がへこんだのは、当然、売上の減少もありますが、値引きの拡大やミックスの悪化等々による結果かと思われます。
四輪車 生産台数実績
12ページ目が、四輪車の生産実績です。これも記載のように、主にインド、日本、パキスタンの減少で、トータルで前年割れとなっています。
四輪車 販売台数実績
13ページ目ですが、これも、インド、日本、パキスタンの減によって前年割れという、ほぼ同じような状況です。
四輪地域別販売 (日本)
そのなかでの日本ですが、14ページ目の見出しにも書いていますように、とくに上期については、完成検査の再構築、再発防止策をしっかり始めていくという時期でしたので、生産に影響が出まして、減産せざるを得なかった状況です。
徐々にではありますが、下期に入ってこのへんの改善がなされてスピードアップされています。他方で、10月、11月を見ると、消費税増税があったり台風などの影響があったことも、ややマイナスに響きまして、軽自動車、登録車ともにマイナスとなった次第です。
完成検査の不適切事案に関する再発防止策の実施状況
ちょっと横にそれますが、先だって1月31日に、15ページ目にあるような完成検査関係の再発防止策の実施状況の四半期報告の2回目を、国土交通省に対して行いました。
内容についてはここに書いてあるとおりです。大きく完成検査業務、プロパーの話で、とにかく、もう来月ですが2020年3月までに今のラインにおいて、検査員が確実な検査を安定して行うためのすべての対策を完了させるということで、これで生産の正常化を図っていきたいと思います。
中身的には、検査員を増やすとか負担を軽減するとか、検査設備の改善、増強をするとか、あるいは現場の意見をしっかり吸い上げるといったところです。
もうすでに運用をしていますが、これをすべて3月末までに終えて、きちんとした検査能力を整えます。2020年度以降も、さらにバージョンアップできるものはしますが、この既存のラインで、まずは完遂するのがこのへんの話です。
それから、それ以外の一般的なコンプライアンス関係ということで、ここに書いてある全社的対策をしっかりやって、経営陣がどんどん現場に寄り添っていきます。
しっかり「報連相」を聞く耳を持つ。コンプライアンス系の見やすいハンドブックを作る。地味ではありますが、当たり前のことを当たり前にやっていくということを、3月までにほぼやり終えていくということで推移したいと思っています。
国土交通省からも「順調な進捗ですね」という評価はいただいていますので、我々はしっかりこれを巡航速度に乗せて、完遂させていきたいと思っています。
四輪地域別販売(インド)
16ページ目は、インドの四輪関係です。4~12月の累計は、全体市場の回復が遅れて前年割れとなりましたが、そのなかで10~12月期を抜いてみると、ちょうど好調な祝祭シーズンの需要がちゃんと物にできたこともあり、ここにあるように、卸販売でプラス0.4パーセント、末端販売でプラス1パーセントと、前年超えになってきました。
とくに12月は相当販促も落ち、マルチ・スズキ・インディア社もしっかり汗をかいた状況ですが、今後を見ると、これで完全に回復軌道に乗ったとも言いにくいところもあります。
インドにも、金融情勢や環境規制などいろいろな動きが出てきますので、そこを見極めて、逆にマルチ・スズキ・インディア社がしっかり需要を作っていく、掴みにいくということを、鮎川社長も常々言っているところです。
そんななかで1つ、トピックスのご報告です。いよいよ4月からBS6に切り替わりますが、マルチ・スズキ・インディア社の場合は他社より少し先立てて、BS6モデルの投入準備を進めていました。
もうすでに15モデルが対応済みで、残すところ1モデルだけになっていますので、4月からはすべてのところで投入できるということです。これをしっかりお客さまに訴求して、「インドの環境貢献に寄与しているんだ」ということを訴えながら、営業活動を強化していくということかと思います。
四輪地域別販売(アセアン)
17ページ目は、アセアン関係です。アセアン5ヶ国合計で13万7,000台ということで、やや前年割れです。
インドネシアとかタイは、まだ調子が悪いということで申し訳ありませんが、フィリピンとかミャンマーはここにあるように、「ERTIGA」「SWIFT」とかの人気が出てきていて、2桁台の台数の伸びということです。
アセアンのなかでも国によって少し跛行性がありますが、状況としてはこのようなかたちになっています。
二輪車 生産・販売実績
18ページ目は、二輪車関係です。生産、販売ともに増加です。とくにトピックスにあるように、「V-STROM 1050」という大型車を、今年のはじめから北米、欧州に展開することとしていましたので、これを着実に売上につなげていきたいと思っています。
二輪車 アジアの内訳
めくっていただきまして、19ページです。二輪のアジアでの販売ですが、ここはインド、フィリピンで増加をしています。とくにインドは、スクーターの「ACCESS」が依然人気が強く、2桁台の伸びと好調が続いています。
同じ「ACCESS」シリーズで、今年の1月に「ACCESS 125」を発売しましたが、これはBS6対応済みのものです。
下に書いていますが、ヒンディー語を日本語に訳すと「少ない飲み物(低燃費)」ということで商品の訴求にさせていただいて、新発売したものです。
通期業績予想
20ページ目、21ページ目、22ページ目は、先ほど申しました通期業績予想の数字です。これは10月10日に公表したとおりで、数字は今回ぜんぜん変えていません。まったくそのまま置いています。生産台数も同じです。
20ページ目にあるように、通期予想で売上高3兆5,000億円、営業利益で2,000億円。このへんは前回もご紹介したように必達目標です。
あと残り2ヶ月弱ですが、しっかりこれに到達できるよう、あるいはこれを上回る実績が出るように尽力をしていきたいと思っています。私からのご報告は以上です。