いつもの年なら、この時期になると、楽しみになるのはお花見ですよね。色づいた桜を見ると、それだけで春が訪れたような和やかな気持ちになれるという人もいます。日本の経済だけでなく文化の面でも、お花見は多くの人が心待ちにしている年中行事の一つかもしれません。

一方で、お花見に関連して毎年話題になるのは、花見客による迷惑行為などのマイナスな話題ではないでしょうか。特に今年は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、3月25日には東京都の小池百合子知事が緊急記者会見を開き、「週末の不要不急の外出」を自粛するよう要請しました。これもあって、SNSでは花見客についてさまざまな意見が集まっているようです。

この記事では、いつもの年とも違う、2020年のお花見に関する話題を紹介したいと思います。

自粛ムードの一方で

日本でも有数の桜の名所である上野公園では、新型コロナウイルスの影響を受けて、シートを広げて集団で行うような宴を控えるように公式サイトで呼びかけられています。園内には宴会禁止の張り紙がされていて、実際にブルーシートを広げて宴会をする花見客はいなかったようです。そのため、例年問題になるようなゴミの放置や桜の枝を折るといった迷惑行為は大きな話題になっていません。

一方で、例年よりも少ないものの、各地の桜の名所は賑わいを見せていて、これを疑問視する声は絶えません。実際に立ち入り禁止のスペースに入って飲酒する人たちもいたそうです。

「今年くらい我慢できないものか?感染拡大の原因にならなければいいが…」
「花見は屋外とはいえ、諸外国では外出禁止までしているのに」
「自分がウイルスを持ち運んでいるとは考えられないの?ゴミ散らかすより迷惑だよ」

上野公園では「宴会」は禁止されているものの「散策」については混雑を避けて咳エチケットを徹底することを呼びかけているに過ぎないのですが、ツイッターではこのような強い言葉で花見客を否定する意見が多く見られました。札幌雪まつりでは雪像のある屋外会場ではなく、屋内会場や近隣の飲食店やホテルで感染が進んだことを例に挙げて注意喚起する声も見られます。

花見による感染拡大の危険性

連日の報道で、「換気の悪い密閉空間」や「人が集まり混雑するところ」、あるいは「間近で会話をするような場所」で集団感染のリスクが高まることは周知の事実といえます。

お花見は屋外のイベントですが、例年では歩けないほど混雑することがあり、感染のリスクは避けられないのかもしれません。加えてお花見の宴会で一つの料理を複数の人で食べるということがよくあると思います。これも感染のリスクを高めることになるのではないか、という声が散見されました。

「アメリカでは1.5メートル〜2メートル他人と距離をとって歩くということをしていて、世界各地でもその試みが見られているのに日本はやらないの?」

SNSにはこのような投稿も多く、花見に限らずですが「2メートルの距離」を空けて外を歩くのは難しいだろうことは想像に難くありません。

自粛に「飽き」がきている?

「札幌の非常事態宣言が終了し、学校も再開したことでコロナウイルスについての警戒が緩んでいるのでは?」
「仕方ないことだけど自粛ムードに飽きがでて気の緩みが出ている気がする」
「コロナに慣れちゃってもう忘れてた」

花見のニュースに関連して、このような声もありました。日本は先進諸国の中では感染者数や死亡者数が少ないとされ、安心している人も多いのではないでしょうか。イベントや外出の自粛ムードは続いていますが、桜の開花とともに少し気が緩んでいるのは事実なのかもしれません。

しかし、3月23日の記者会見で、東京都の小池知事は都市封鎖の可能性があるという見解を述べ、続く25日の会見では、1日で41人という感染者数増もあって、冒頭でも触れた「週末の不要不急の外出の自粛」や「平日もできるだけ自宅で仕事を行うこと」を要請しています。

世界の感染者数や死亡者数も日々増えています。気の緩みや飽きから、あまり必要のない外出や大規模イベントが増えていくと、まだまだコロナウイルスは収束しないのではないかと、専門家も含め多くの人が懸念しています。

迷惑にならないお花見も

とはいえ、「やっぱり桜を見ずに春を終えるのは寂しい」という人もいますし、運動不足で家に閉じこもっていることで、精神的に参ってしまう人もいるかもしれません。人混みを避けることや手洗いを徹底することが重要なのは言うまでもありませんが、もちろん桜の名所は避けつつ、人の少ない場所で短い散策をするなどでもいいのではないでしょうか。

VR(バーチャルリアリティ)技術を使って、外出をせず家で桜を楽しむことができるといったサービスも話題を呼んでいます。コロナウイルスへの警戒を怠らず、適切な振る舞いで、迷惑な人にならないように気をつけたいですね。

クロスメディア・パブリッシング