この記事の読みどころ
- 企業向けサービス価格指数は、どの業界が値上げを実施して好調なのかを知る手掛かりになります。
- 日本企業は例年4月に価格改定を実施する傾向があるのですが、2016年4月は幅広い業界で値上げが見られることはなく、積極的な値上げをした業界が散見された程度でした。
- 5月の企業向けサービス価格指数の市場予想は、+0.1%(前年同月比)です。
どこのセクターが値上げを実施して好調なのかを知ろう
6月24日(金)8:50に、5月の企業向けサービス価格指数が発表されます。これは、企業間で取引される「商品(モノ)」ではなく、「サービス」価格の値動きを指数化したもので、主に情報通信、広告、不動産等が対象となります。
企業向けサービス価格の動きは、企業間取引の際の参考指標ともなりますが、マーケット関係者は、「どこのセクターが値上げを実施して好調なのか」といった判断材料の1つにしています。
例年4月に価格改定を実施する日本企業
前回、5月26日(木)に発表された4月の企業向けサービス価格指数は、+0.2%(前年同月比)となりました。
例年、4月に価格改定を実施する日本企業が多いのですが、値上げの動きは幅広いセクターに広がりませんでした。こうした中、宿泊サービス+9.7%(前年同月比)、インターネット広告+6.4%(同)、インターネット附随サービス+4.6%(同)、事務所賃貸(東京圏)+1.5%(同)など、積極的な値上げを実施するセクターも散見されました。
5月の企業向けサービス価格指数の市場予想は+0.1%(前年同月比)
5月の企業向けサービス価格指数の市場予想は+0.1%(前年同月比)となっています。
投資家の皆さんは、市場予想を上回る内容かどうかを確認すると同時に、「今は宿泊サービスが好調だけれども、訪日旅行者数が鈍化してきたようだから、今後も続くかどうか分からないかもしれないな」といった仮説を立てるなどして、投資判断に活かしていきましょう。
【参考情報】企業向けサービス価格指数の基礎知識
そもそも企業向けサービス価格指数とは
企業向けサービス価格指数とは、企業間で取引される「商品(モノ)」ではなく、「サービス」価格の値動きを指数化したものです。日本銀行が翌月第18営業日に速報値を、翌々月速報公表日に確報値をそれぞれ発表します。
総平均、7大類別、22類別、57小類別、147品目で構成されており、業種としては主に情報通信、広告、不動産、諸サービス、運輸・郵便として分けられます。企業向けサービスのうち国内分と輸入分の価格が対象となり、消費税を含んだ価格で計算されます。
消費者が支払う希望小売価格には、卸売価格にいくつかのサービス価格が乗せられています。したがって、企業向けサービス価格の値動きを知ることは、消費者目線での物価水準を知ることにもつながります。
※元データの確認は、日本銀行のウェブサイトをご参照ください。