2020年1月31日に行われた、三菱自動車工業株式会社2020年3月期第3四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:三菱自動車工業株式会社 代表執行役副社長CFO 池谷光司 氏
2019年度第3四半期累計 業績サマリー【前年同期比】
池谷光司氏:池谷でございます。プレゼン資料の3ページをご覧ください。まず、2019年度第3四半期累計の売上高は、主に世界的な新車販売台数の減少を受け、前年同期比7パーセント減の1兆6,669億円となりました。
営業利益は、販売台数減少や為替の影響を主因とし、前年同期の850億円から36億円へ大幅減益となり、営業利益率は4.7パーセントから0.2パーセントへ低下しました。
経常利益は、営業外費用での為替差損影響などから、マイナス27億円となりました。また当期純利益に関しては、主に海外子会社による税金支払等の影響により、マイナス118億円となりました。
販売台数は、グローバルで87万6,000台となり、前年同期比で2パーセント減となりました。
2019年度第3四半期累計 営業利益変動要因分析【前年同期比】
次のページをご覧ください。営業利益の前年同期変動要因はご覧のとおりです。台数・車種構成では、主力のアセアンは堅調でしたが、米中、その他地域の販売不調の影響が大きく、前年度比で187億円減少しました。
コストは、販売費および資材費、工場経費のいずれも抑制に努め、両方合わせて90億円の削減を実現しました。
一方で、その他の項目にありますが、高まる規制への対応や、品質関連の費用がかさんできていることに加え、研究開発および人件費についても前年比で増加を余儀なくされたことで、大きく収益が圧迫されました。
為替ですが、10月から12月、第3四半期は比較的落ち着いていたものの、上半期の円高やタイバーツ高の影響もあり、累計で349億円の悪化となりました。
2019年度第3四半期累計 販売台数実績【前年同期比】
次のページをご覧ください。主な地域別販売台数実績はご覧のとおりとなります。当社の販売台数実績は、前年度比で2パーセント減の87万6,000台となりました。
2019年度第3四半期 販売台数実績:全需 対 当社【前年同期比】
次のページをご覧ください。2019年のグローバル自動車需要は、リーマンショック直後以来となる2年連続の減少となりました。
当時は、先進国の不調を成長著しい新興国がある程度補いましたが、今回は、中国やアセアンなどの新興国においても販売が減少しました。そのような環境のなかで、主力のアセアンでの販売に注力し、マイナス幅も相対的に小さなものにとどめました。
主要地域別販売状況①
次のページをご覧ください。主な地域別の詳細です。まずアセアンですが、特に2大市場であるインドネシアとタイにおいて高成長にブレーキがかかり、全体の自動車需要が伸び悩みました。
当社も当然ながら市場鈍化の影響を受けましたが、エクスパンダーの堅調な販売や、トライトンやパジェロスポーツ等の新型車効果により、底堅く推移しました。
今後の見通しも楽観できませんが、言うまでもなく、アセアンは当社にとって最重要地域であり、引き続き商品力やブランド、販売網強化を推進します。
日本においては、10月の消費増税の反動により、全需が前年割れとなりました。当社販売は、新型車の投入はあったものの価格競争の影響は避けられず、苦戦を強いられました。
厳しい状況ですが、年度末に向けて新型軽スーパーハイトワゴンのeKスペース、eKクロス スペースなどの投入で、挽回に全力を尽くします。
主要地域別販売状況②
次のページをご覧ください。中国市場ですが、米国との通商問題の長期化から景気が低迷し、自動車事業も2019年通年で2年連続マイナス成長となりました。
当社は2018年11月に販売を開始したエクリプスクロスの寄与により、前年同期比と同等の販売を確保しましたが、期待した成長は実現できませんでした。厳しい環境下ですが、エクリプスクロスの拡販、および昨年末に内外装を刷新したASXの本格寄与等により、前年比プラス確保を目指します。
また北米ですが、自動車ローン金利低下により、夏場以降は全体需要が持ち直してきたものの、依然として競争環境は厳しく、当社販売も伸び悩みました。市場が縮小するなか販売競争は激化しており、状況を注視しつつ、適正な販売に努めます。
オーストラリア、ニュージーランドについては、最大の貿易国である中国の景気減速の影響を受け、自動車需要も前年同期比で7パーセント減と大きく落ち込みました。また価格競争も激化し、それらが総じて当社販売にも影響を及ぼしました。
一方で、当社の強みであるSUV、LCV販売に注力することにより、マーケットシェアは堅持することができました。厳しい環境は続きますが、コア市場の1つとして、引き続き当社の強みであるモデルの販売に注力していきます。
2019年度 通期業績見通し【前年度比】
次のページをご覧ください。2019年度、通期見通し等についてご説明します。2019年度は、上期決算発表時に修正した見通しからの変更はありません。厳しい財務環境は続きますが、通期見通しを達成すべく全力を尽くします。
商品の刷新
次のページをご覧ください。2019年度第3四半期のビジネスハイライトについてご説明します。本中期経営計画の目標の1つである商品の刷新を達成すべく、2017年度より継続的に新車を投入してきました。
2019年度第3四半期は、11月にエクスパンダークロス、ミラージュ、アトラージュの新型モデルの販売を開始しました。また間もなく、新型軽スーパーハイトワゴンのeKスペース、eKクロス スペースの販売を開始します。
今後も当社は、競争力を確保することができるセグメントに集中して開発を行います。具体的には、アセアン地域向けコア商品、そしてグローバル市場向けのクロスオーバーモデルなど、商品の強化と刷新に努めていく考えです。
アライアンス協業の成果:eKクロス/ワゴン
次の13ページをご覧ください。新型eKワゴン、eKクロスは、三菱自動車の約60年にわたる軽自動車作りのノウハウと、日産自動車の先進技術を融合した商品です。
このたび、RJCカーオブザイヤーをはじめ、高い評価を獲得することができたことで、アライアンスが当社にとって大きな成果をもたらす大切なツールであることをあらためて実感しました。
今後もアライアンスを強化することで、さらなる競争力強化を目指します。
2019年度第3四半期 バランス・シート【前年度末比】
次のページをご覧ください。足元の外部環境の影響もあり、第3四半期も厳しい結果となりました。この状況が急速に好転することを期待するのは難しいものの、「Small but Beautiful」という当社が目指すべき方向は明確であり、やるべきことも見えています。
具体的には、限られた経営資源を、当社が得意とする技術、強い地域をさらに強化するために有効に使い、収益力を高めることによって持続的成長への基盤を固めます。
プランの具体化が決定次第、発表したいと考えています。ご清聴ありがとうございました。