リスクオフ相場が強まりだした2016年6月6-10日
2016年6月6-10日は、米国の利上げが先送りになる観測が強まったうえ、英国のEU離脱に関する国民投票に対して金融市場の警戒感が高まり始めた週でした。世界の長期金利はその前の週に急低下を始め、欧州株も下落を始めていました。
それでは個人投資家の行動はどうだったのか、投資信託の売れ筋動向を見てみましょう。
楽天証券の2016年6月6-10日の投信全銘柄売れ筋ランキングを見る
まず、全体ランキングです。
第1位:ワールド・リート・オープン(毎月決算型)
第2位:日本株ハイインカム(毎月分配型)(ブラジルレアルコース)
第3位:フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)
第4位:ラサール・グローバルREITファンド(毎月分配型)
第5位:ニッセイ日経225インデックスファンド
楽天証券の2016年6月6-10日の投信積立売れ筋ランキングを見る
では、積立での売れ筋ランキングはどうでしょうか。
第1位:三井住友・日本債券インデックス・ファンド
第2位:ニッセイ外国株式インデックスファンド
第3位:たわらノーロード 国内債券
第4位:たわらノーロード 先進国株式
第5位:三井住友・DC全海外株式インデックスファンド
債券型投信が脚光を浴びる
いかがでしょうか。まず全体ランキングの売れ筋トレンドは従来と変わっていないと思います。
注目すべきは、債券型投信が積立ランキングで軒並み上位にランクインしたことでしょう。今回はトップ5のうち1位と3位の2本が入りました。
今週に入り、日本に次いでドイツの長期金利もマイナスになりました。米国の利上げが先延ばしになるという観測、中国を始めとする世界景気のもたつきに加えて、英国のEU離脱リスクを回避するため世界的に債券が買われている流れに呼応しています。
今後の注目点
さらに興味深いのは以下の2点です。
第1に、積立ランキングの1位と3位の2つのファンドはともに国内債券であることです。リスクオフ相場では円高が続くと見て、海外の債券は敬遠されたのでしょう。
第2に、全体ランキングではなく積立ランキングの上位に入ってきたことです。一過性の買いではないということでしょう。日本の債券の金利は既にマイナス金利が浸透しています。マイナス金利がさらに拡大するという読みなのでしょうか。
債券型投信の動向に今後も注目が必要だと思われます。
LIMO編集部
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