収束する気配のない新型コロナウイルス。
様々なイベントが自粛され、企業の新商品発表会や展示会は中止、さらに公立小中学校の休校により、子育て中の親が多く働く現場では、人員不足が懸念されています。
企業アンケートから事業活動への影響を見る
ところが、ここまで事態の影響が広がる前の2月中旬時点で既に大きな影響を受けている業界があるようです。
東京商工リサーチ(TSR)が2月7日~16日に1万2,348社から回収したアンケート調査によれば、2月初旬の時点で新型コロナウイルス発生による事業活動への影響が「既に出ている」と回答した割合が特に高かった業種は以下の3種でした。
卸売業・・・29.55%
運輸業・・・27.22%
製造業・・・26.67%
その影響の内容としては、以下のような回答がありました。
1位・・・現地への出張の中止、延期(39.3%)
2位・・・現地サプライヤーからの仕入が困難となった(35.9%)
3位・・・売上が減少(32.7%)
コロナウイルスで最も深刻な被害を受けている武漢市は、湖北省最大の産業都市。日本貿易振興機構(JETRO)の資料によれば、武漢市の外商直接投資額は2017年時点で湖北省全体の68%を占めています。そのため、湖北省に生産拠点や取引先を持っていた企業は1月の時点で既に大打撃を受けているようです。
たとえば、米アップル社は他社に先駆けて、2月17日時点で1〜3月期の四半期業績予測が達成できないという見込みをいち早く発表しています。 その理由としては中国内にあるiPhone製造パートナーの稼働状況や、中国国内の需要減をあげています。
さらに、外国人観光客によるインバウンド消費額の急落もさることながら、2月上旬の時点で既に個人消費にも大きな影響が広がりつつあるという結果でした(小売業で「既に影響が出ている」の割合は23.35%)。