「彼女がいうように、私が妊娠する少し前に木下優樹菜さんが第二子をVBACにて出産したことはニュースで取り上げられていたようでした。その記事を読んで『リスクがあることを理解したうえで自然分娩で産みたい』という方がいることを初めて知りました。

私自身は選んだ病院の先生がおこなわない方針なのであればそこまでしてやる必要性を感じていませんでした。そのため、ママ友にも『私の病院、やっていないんだよね』と返事をしたところ『それでいいの?ちゃんとできるところ探した方がいいんじゃない?!』といわれてしまいました」

通常分娩にこだわるママ友にとって「やれるのであれば通常分娩で産むべきだ」という考えは強く、それをKさんに何度も話してきたそう。何度もいわれるうちに、Kさんは「通常分娩に挑まず計画帝王切開をすることは逃げと思われている」と感じたといいます。

産み方にこだわる人・こだわらない人

昔は「お腹を痛めた子」などといい、通常分娩の苦しみがあったからこそ我が子をかわいがれるというような考え方が一部でされていたようです。また、今でも出産に対しさまざま理想や夢がつまったバースプランを考える方も多くいます。

出産は「一生にそう何度もすることではない」ため、思い入れが強くなることも理解できます。中には通常分娩にこだわるあまり、双子の出産で一人は通常分娩で産み、その直後帝王切開に切り替えたという方もいるほど。

しかし、今回お話を伺ったKさんは「より安全であるのであれば、自分は出産方法にはこだわりがない」という気持ちであったため「通常分娩をする方法が残されているのだから挑戦するべき」という友人の言葉にモヤモヤしたといいます。

「彼女にとって陣痛や経腟分娩が勲章なら、私にとってこのお腹の傷も勲章です。二度に渡る帝王切開の傷は今も時々痛みます。産み方にこだわるのもこだわらないのも個人の自由。今回、出産というデリケートな問題に対し自分の意見を押し付けられたことは私にとって気持ちのいい話ではありませんでした。出産にはさまざまな方法があるように、母体もさまざま。リスクだってひとりひとり違うのではないかと思います」とKさん。

普段から考え方を押し付けるのはNGといわれていますが、こういった話題こそお互いの立場や状況、気持ちを考えながら発言をすることが大切なのかもしれません。

佐渡 六花