「おひとりさま」という言葉を聞いたとき、みなさんはどのようなイメージを思い描くでしょうか。

人生をどのように生きていくかを決めるのは、たとえ不本意であっても最終的には各個人の選択によるところが大きいでしょう。気がついたら、いつの間にか「おひとりさま」になっていたという人もいれば、自らそうなろうと決断した人もいると思います。

今回ご紹介する乙部なるみさんも「おひとりさま」。国内外でグラフィックデザイナーとして活躍する乙部さんはどのような生活を送っているのでしょうか。

デザイナーになるまで

日本の大学を卒業後、医療機器メーカーに入社した乙部さん。病院回りの営業を3年間務め、その後マーケティング部に異動してからは、カタログやリーフレットの制作と管理を主に行っていました。

日々、印刷業者やデザイナーと一緒に企画を進めているうち、デザインに興味を持ち、自分でもやってみたいと思うように。しかし、コンピューターで制作するデザインではなく、自分の感性から生まれる、誰にも真似できないユニークな色彩を生かしたデザインを実現するにはどうしたらいいか試行錯誤するようになります。

パターン化したデザインの版画を南仏で制作する。(画像提供:Narumi Otobe©)