結果として、本格的にデザインを学ぶ道を選択した乙部さん。19世紀英国の詩人でデザイナーでもあるウィリアム・モリスの展覧会をロンドン旅行中に見学し、ユニークな作風に深い感銘を受けたことから、留学先は英国と決めました。

そして、約4年間にわたりデザイン全般を徹底的に学び、キングストン大学の「HNDグラフィックデザイン学科」にて学位を取得、帰国します。

国内外で活躍中

デザインを考案し、そのデザインに命を与えるかの如く完成へと導くのに重要なのは徹底的なリサーチだと乙部さんは考えています。プロとして活動する現在も、その姿勢は変わっていません。たとえば、デザインに取り入れたい花を見つけたら、花弁の繊細さや葉脈の美しさなど細部までしっかり観察してスケッチに残し、ひたすら研究します。

デザインのモチーフは植物が多いため自然の中でアイデアを探すことも多いそうですが、美術館や展覧会も定期的に訪れ、そこで見た作品からインスピレーションを得て、それが新たなデザイン・パターンを生み出すきっかけになることもあるといいます。

デザインはいろいろなところでインスピレーションを受けるため、スケッチが欠かせない。(画像提供:Narumi Otobe©)


現在、国内で展覧会を年に3回行いつつ、デザインのモチーフを充実させるべく毎夏、英国と南仏に滞在し、版画工房で制作にいそしむこともライフワークのひとつになっています。

また、彼女独自のデザインを美しくあしらったオリジナル・グッズの制作と販売にも力を入れています。日本はもちろん、英国でも販売されており、そのユニークな作風は、イギリス人からも好評を博しています。