しかしある日、叔父一家に深刻な問題が起きていることを、祖母との何気ないおしゃべりから突然知らされることになるのです。

叔父は家にひきこもり、長男は不登校に

筆者のうちでは、両親が共働きなこともあり、幼いころから身の回りの世話をメインでしてくれていたのは祖母でした。叔父一家の子どもたちが学校の長期休みで筆者宅にいるときも、食事の準備から身の回りの世話まですべて祖母がしてくれていました。そのため、筆者の家族も叔父の家族も、祖母には誰一人として頭が上がりませんでした。

しかし、誰もが頼りにしていた祖母が体調を崩しがちになり、入退院を繰り返すようになったころ、まるでそれが悪運の兆しででもあるかのように、叔父一家に暗雲が漂い始めたのでした。

叔父は仕事と趣味に一途な人でしたが、昔から職を転々とする“癖”がありました。一流企業に勤めていたにもかかわらず、上司の考え方や物の言い方などにいちいち腹を立て、そのたびに反抗的な態度を取っては仕事を辞める…。こんなことを繰り返すので、もともと家族は不安定な日々を送っていました。

それがこのころから叔父は次の求職活動さえせず、趣味へ没頭してしまうように。趣味以外のことでは家からも出ず、明らかに様子がおかしくなっていったのだそうです。趣味に取り組めていたこともあってまわりも気づかなかったのですが、のちに「うつ病」であると医師から診断され、しばらくすると自宅から出ることもできなくなり、収入はゼロになってしまいました。

時を同じくして、叔父の長男が大学受験に失敗。父と同じ大学に入ろうと一浪して予備校へ通い翌年に再受験したものの、希望通りの大学には入学できず。挫折感からか、わずか数カ月で不登校になってしまったのです。