ちょっと複雑な「NISAの5年延長」の仕組み。何が変わるのか?

なぜ今、NISAが5年延長されるのか

2019年12月29日に「2020年税制改正の大綱」が閣議決定されました。そのなかにNISA(少額投資非課税制度)の延長が盛り込まれました。

具体的には、一般NISAは現在の制度では2023年の非課税枠(上限120万円)設定まで認められていましたが、2024年以降は制度がなくなる建付けでした。そのため、2019年に投資した資金は2023年末に5年の非課税期間が終了した段階で、移管(ロールオーバー)する先がありませんでした。

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今回の制度の5年延長で2024年の非課税投資枠が設定できることになりましたので、ロールオーバー先が明示され、投資がしやすくなります。

また、2018年にスタートしたつみたてNISAは、非課税期間が20年と長いために一般NISAのようなロールオーバーの問題は起きていませんが、制度が2037年末で終わることから、2019年に投資を始めた人は非課税口座開設が19年分しかありません。

20年間、年間40万円の上限で非課税口座が開設できることから、投資総額は800万円になるといわれていましたが、実際には19年分になれば、総額は760万円になります。放っておけば、毎年口座開設年数が減っていきますから、その分、投資総額が減ることになります。

これを避けるために、制度の終了を従来の2037年から2041年に5年間延長し、当面の間は新たに投資を始めた人が、投資総額800万円を確保できるようにしたものです。

2階建ての新NISA

一般NISAが5年間延長されたと述べましたが、実際には2024年からは新しいNISAがスタートすると考えた方が正しいようです。というのも、2024年以降にはNISAは2階建ての制度に生まれ変わるからです。

具体的には、積立投資が非課税口座開設の条件となります。投資対象もつみたてNISAで承認された投資信託だけとなり、この積立投資を1階部分(上限額20万円)として、これを実施しなければ残りの2階部分での投資信託を使った投資(年間上限額102万円)は認められません。

例外として、すでに投資経験のある方で、2階部分で上場株式に対する投資のみを行う場合に限り、1階部分の積立投資をしていなくても2階部分を使うことができるようになっています。

また2階部分での投資対象からは、上場株式では整理銘柄・管理銘柄を除くほか、レバレッジを掛けるためにデリバティブを使った投資信託も適用外となる見込みです。

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野尻 哲史
  • 野尻 哲史
  • フィデリティ・インスティテュート 退職・投資教育研究所
  • 所長

国内外の証券会社調査部を経て、2007年より現職。アンケート調査をもとに個人投資家の資産運用に関するアドバイスや、投資教育に関する行動経済学の観点からの意見を多く発表している。
日本証券アナリスト協会検定会員、証券経済学会・生活経済学会・日本FP学会・行動経済学会会員。
著書には、『老後難民 50代夫婦の生き残り術』、『日本人の4割が老後準備資金0円』(講談社+α新書)や『貯蓄ゼロから始める安心投資で安定生活』(明治書院)などがある。
調査分析などは専用のHP、資産運用NAVIを参照