20歳になる「成人の日」

2000年1月1日から「国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律」が施行され、それまで1月15日だった成人の日が1月第2月曜日となりました。今年は1月13日が第2月曜日だったのですが、この制度そのものが今年で20歳になった日でもあります。

20歳は、民法によって成年となる年齢とされていますが、2018年の民法改正でこちらも2022年4月1日をもって18歳を成年とすることが決まっています。その前に2016年6月以降には、公職選挙の選挙権年齢を18歳に引き下げも行われています。

20歳で始まる自助努力

資産形成の世界では、20歳はどういった意味を持つのでしょうか?

1991年4月以降、ずいぶん昔の話ですが、学生でも20歳になれば国民年金への加入義務が発生するようになりました。

日本年金機構のホームページによると、20歳になると同機構から「国民年金加入のお知らせ」や「国民年金保険料納付書」などの書類や「年金手帳」が送られてくるとのことです。

もちろん、保険料の納付猶予制度や学生納付特例制度などもあって、実際の保険料納付は働き始めてからといった対応も可能ですが、まずは20歳になると自動的に国民年金に加入することになります。

また20歳までは未成年ですから、投資をするためには親権者が代って取引をするか、親権者の登録が必要な「未成年口座」を開設する必要があります。

しかし20歳になれば自身で口座が開設でき、自身の責任で取引を行うことができます。その点では、自助努力で資産形成を始められる年齢といえます。もちろん2022年からは18歳に下がりますが。

年収を上げることも自助努力

それでは20歳なったら投資を始める方が良いのでしょうか?

一般的には投資は早くから始めるべきだといわれます。早く投資を始めれば、その分、投資期間が長くなり、リスクを軽減する長期投資が可能になるからといわれます。ただ、投資ではなく資産形成として考えると、もう少し議論が必要に思います。

資産形成とは、年収の一部を“将来の生活に備えて資産として作り上げていく作業”です。その資産形成額は一般的には下の等式で考えるとわかりやすいはずです。

資産形成額 = 年収 × 資産形成比率

たとえば、“毎年16%を資産形成に充てよう”というのが、2018年にリリースした「退職準備の指標」の中で紹介した資産形成比率の目標値です。なかなか高い水準ですが、最初からそこに到達できなくても、徐々に16%に近づけて行けば良いと気楽に考えてほしいものです。

ただ、もう一つ、この等式で注目してほしいのは、年収です。資産形成額を大きくするには資産形成比率を引き上げるだけではなく、年収を引き上げることも重要な要素だということがわかります。

資産形成に一生懸命になりすぎて年収を上げられなかったら、かえって資産形成の効率は上がらないものなのです。20歳になったら金融資産を使った投資で資産形成を始めるのもいいですが、併せて年収を上げる努力(=自己投資)も忘れないでほしいところです。

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合同会社フィンウェル研究所代表 野尻 哲史