NTTとクボタが次世代農機の開発で提携

2016年6月6日の日本経済新聞は「クボタとNTTは無人運転農機など次世代の農機の開発で提携」と報じています。クボタ(6326)は日本を代表し世界に展開する大手農機メーカーで、現在「グローバル・メジャー・ブランド(GMB)クボタ」を確立するという目標を掲げて積極的な事業展開を行っています。

その中で情報通信技術(ICT)の活用、自動運転、ロボットなどの技術開発を進めてきました。今回の報道はこの延長線上で、流行の言葉でいえばスマート農機、スマート農業サービスを展開しようという同社の新しい動きと理解できます。

NTTの役割

NTT(9432)はクボタに対し、GPS、収穫予想や気象情報の分析データなどを提供し、両社で農家向けのITサービスを立ち上げると報道されています。

詳細はNTTのプレスリリースを待つ必要がありますが、NTTは通信網の提供、データセンターないしクラウドサービスの提供、データ解析サービスの提供、各種ソフトの開発・提供を行うものと推測をされます。当然、日本だけでなくグローバル展開を視野に入れていることと思います。

NTTのB2B2X戦略の好例になるか

NTTは現在「バリューパートナー」へと自己変革し、「B2B2」という事業モデルを推進して利益成長を目指しています。

少し分かりにくいので捕捉しますと、NTTは国内の人口減少、移動体通信の高い普及率と光回線を含む固定回線の伸び悩みなどの厳しい事業環境を背景に、単にネットワークを提供するだけではじり貧になるという危機意識を持っています。そこで少し大胆に言いますと、個人向けの事業はドコモへと集約を進め、光回線とのセット化、スマホでの付加価値サービスの強化によって収益を高めようとしています。

一方、法人向けの事業戦略の核となるのが「B2B2X」というコンセプトになります。つまり、NTTが法人顧客に通信インフラを提供するだけでなく、その法人顧客の事業展開に不可欠な情報通信サービスも提供することで収益ポイントを増やし、さらに顧客との密着度を高めるという戦略になります。NTTは持続的な成長を目指していますので、できればこうした法人顧客のグローバル展開も支えたいと思っているはずです。

今回の報道は、NTTのB2B2X戦略のあるべき事例として見なすことができます。NTTがクボタのパートナーとして、どれだけスピーディに付加価値のあるサービスを展開できるのか大変注目されます。また、クボタに続く事例がどのような事例となるのか、見守りたいと思います。

 

LIMO編集部