先端ロジック/ファンドリー、20年も高水準投資続く

TSMC、サムスンが5nm投資加速、インテルは3世代同時の投資断行

サムスン電子は華城地区でEUV対応の新棟を建設(写真は19年4月時点)

 2019年から盛り上がりを見せている先端ロジック/ファンドリー投資は、20年も高い水準を維持しそうだ。台湾TSMCは19年の勢いをそのままに20年も5nm世代の投資に注力するほか、韓国サムスン電子もファンドリー事業の巻き返しに向けて、設備投資のアクセルを踏む。インテルは足元の供給問題の解消に向けた既存世代の増強に加えて、7nm世代の投資計画も具体化してきており、複数世代にわたって投資を実行する。

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5nm投資を20年も継続

 スマートフォン分野では5G商用化に伴い、プロセッサー部で微細化ニーズが拡大しているほか、サーバーやインフラ向けのHPC(High Performance Computing)分野でも先端プロセスの要求が増している。こうした流れを受けて、ロジック/ファンドリー各社は先端プロセス投資を強めている。

 特にTSMCは19年中ごろから、最先端の5nm投資を一気に加速。大手顧客のアップルが20年発売の新型iPhone用プロセッサーに同プロセスの採用を決めたことで、製造装置メーカーに対して大規模な装置発注を行った。

 TSMCは20年の設備投資金額として150億~160億ドルを計画。中心値は前年実績(149億ドル)を上回る水準だ。同社は19年末に装置納入ベースでおよそ月産4万枚の5nm用装置を導入済み。19年11月以降、装置発注のペースは落ちているものの、追加投資に向けた動きを今後本格化すると見られ、20年末に8万枚程度、21年末には10万枚を超えるキャパシティーを構築する構えだ。

 アップルに続き、ハイシリコン、さらにはクアルコム、メディアテックも5nmを採用する方針で、TSMCも旺盛な需要に対応すべく、高水準投資を続けていく。投資額が増えている背景には、7nm+から導入しているEUVプロセスも関係しており、露光装置を筆頭にEUV向けのマスク製造インフラ(描画装置や検査装置)に対する投資ウエートも増えている。

ファンドリー事業で巻き返し

 ここにきて、ファンドリー事業に対して、積極投資のスタンスを打ち出し始めているのがサムスン電子だ。ファンドリー市場での地位向上に向けて、近年積極的な事業展開を見せていたが、7nm世代では顧客獲得に苦戦。TSMCの独走を許すかたちとなっている。

 同社は現在、7nmのアップグレード版となる6nm世代の量産を開始したが、5nmを巻き返しの大きなタイミングと捉え、韓国・華城地区に加え、米テキサス州オースティンでの先端投資のプランも浮上している。5nm世代は米クアルコムのモバイルチップセット「SnapDragon」シリーズの5nm採用製品「875」も生産品目として加わってくる可能性が指摘されており、20~21年はメモリーだけでなく、同社の非メモリー分野の投資にも注目が集まっている。

インテルは過去最高の170億ドル計画

 19年に再び世界最大手に返り咲いたインテルは20年設備投資金額として、過去最高となる170億ドルを計画。依然としてパソコン向けCPUの供給問題を解消できておらず、14/10nmの既存世代の追加投資を20年も継続していく。サーバー向け10nm製品「Ice Lake」に向けた装置発注も19年末から始まっており、20年後半の市場投入に向けて準備を進めている。

 インテルは20年投資計画を公表するにあたり、投資金額の半分以上をファブスペースの拡張、ならびに7/5nm用装置に充てるとしている。10nm世代が立ち上げ途上であり、投資回収も進んでいない状況で、7nm世代に対する言及は時期尚早とも受け止められるが、21年から新たに展開するディスクリートGPUが7nmプロセスを採用する。このため、CPU向けの10nm投資とGPU向けの7nm投資が今後並行して行われる見込みだ。

 新たに投入するディスクリートGPU「Ponte Vecchio」は、AIやディープラーニング用途で欠かせないアクセラレーターチップとして展開される見込みで、21年末の市場投入を予定している。CPUに比べてGPUの方が微細化しやすく、結果的に複数世代にわたって投資を行うことが170億ドルという過去最高の投資規模を生み出している背景にもなっている。

電子デバイス産業新聞 副編集長 稲葉 雅巳

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稲葉 雅巳(電子デバイス産業新聞)

2005年(株)産業タイムズ社入社、以後、電子デバイス産業新聞(旧:半導体産業新聞)編集部記者として、半導体を中心にエレクトロニクス業界の取材活動を続ける。2015年から副編集長。