高齢化、水準では日本、スピードでは韓国、シンガポール
日本の高齢化率(65歳以上人口の総人口に占める比率)は、2019年9月推計で28.4%と世界一の水準です。
2019年版高齢社会白書によると(国際比較のため2015年データ、日本は26.6%)、世界全体では総人口73.8億人、そのうち65歳以上は6.1億人、高齢化率は8.3%です。
開発途上国の高齢化率は6.4%、先進地域では17.6%と、かなり格差があります。日本に次ぐ高齢化率はドイツ(21.1%)で、スウェーデン(19.6%)、フランス(18.9%)、イギリス(18.1%)と続きます。
アジアでは韓国(13.0%)、シンガポール(11.7%)が高齢化率の高い国々ですが、両国ともに2060年には欧州諸国を抜き去って35%以上の水準になる見込みです。
国連の定義では、高齢化率が7%を超えると「高齢化社会」、14%を超えると「高齢社会」です。日本は1970年に7%に到達しましたから、もう50年も前から「高齢化社会」です。また14%になったのは1994年で、比率が倍加する「倍加年数」はわずか24年でした。
ちなみに、ドイツは40年、スウェーデンは85年、フランスは115年、イギリスは46年です。ただ、韓国は18年、シンガポールも20年と、日本より短く、高齢化のスピードでは日本以上だとわかります。
2065年の日本の総人口は1950年代の水準に
社会保障・人口問題研究所が50年後の日本の人口推計値を発表していますが、高齢化率は38%強と今よりも10ポイントも高い水準です。現在の15歳が65歳になる頃には、人口の4割が65歳以上という時代を迎えるわけです。
ただ、高齢化率が4割といっても、65歳以上人口が増えるわけではなく(3,380万人で横ばい)、20-64歳人口が3,000万人にのぼる大幅減となるのです。
総人口も1億2,700万人から8,800万人へと大幅に減少します。2065年の総人口は1955年の総人口とほぼ同じですから、50年強かけて人口が4割程度増え、そこから50年強かけてもとに戻るという大きな波を描くことになります。
100年で様変わりの人口構成
高齢者と未成年者を合わせた人口比率は、2015年の48.4%から2065年の52.4%へとあまり変わりません。社会全体としては、現役世代は半数前後ですから、支えられる世代と支える世代の比率はほぼ1対1で変わりませんが、65歳以上比率が5%台から40%弱に、19歳以下比率が43%から14%へと激変します。
社会全体としては、高齢者よりも将来の現役層となる未成年者への支援を進める方向になりますし、1人当たり高齢者の現役世代への依存度は大幅に増加することになります。
現在の現役世代にとって、自助努力が本当に求められると痛感します。
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合同会社フィンウェル研究所代表 野尻 哲史