中国の湖北省武漢を中心に世界中で新型コロナウイルスによる肺炎が広まっています。
1月23日、新型肺炎が発生した武漢では空港・駅などが封鎖されました。その日、外務省の海外安全情報では武漢を含む湖北省全体の危険度レベルが2(不要不急の渡航禁止)となり、翌日にはレベル3(渡航中止勧告)となりました。
今回、このような緊急時に個人はどう判断し行動すべきか、つくづく考えさせられました。たとえ日本企業の駐在員という組織人であっても、時には個人の迅速な判断・行動も必要かもしれないと感じています。
武漢に日本人駐在員を置く日系企業の対応にばらつき
ジェトロによると、武漢には自動車関連などを中心に日系企業約160社が進出し、社員と家族、出張者を合わせて約500人〜600人の日本人が駐在しています。
A社は1月28日、武漢に駐在している日本人とその家族、出張者合わせて約30人を帰国させる決定をしました。
一方、B社は28日時点で情報収集中であり帰国させるかどうか決めていないそうです。C社は12人の日本人を駐在させていますが、現地社員に店舗運営を任せられないということで、28日時点で大半が武漢に残って業務を続ける方針だとのことでした。
多くのサラリーマン駐在員(とその家族)は日本本社の決定に従うほかないのでしょう。結局、封鎖された武漢に多くが取り残されました。ちなみに、北欧スウェーデンのIKEA社は、1月30日から中国国内にある全店舗を一時閉鎖しています。
なお、日本企業については、2月1日付け日経新聞で春節休暇を終えて中国の赴任地へ戻る駐在員とその家族の不安の声が報じられていました(『中国渡航に「不安だ」 春節の休暇終え、赴任先へ』)。
この状況で社員が現地へ戻るのを放っておくということは、社員に対する安全配慮義務はどうなっているのかと若干疑問も湧いてきます。今後、専門家に相談して危機管理・対応マニュアルを改善しておく必要があるかもしれません。