2019年11月15日に行われた、株式会社メニコン2019年12月期第3四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料
スピーカー:株式会社メニコン 代表執行役社長 田中英成 氏
決算のポイント
田中英成氏:みなさまこんにちは。代表執行役社長の田中でございます。平素は弊社の活動に対し、多方面からご支援を賜り御礼申し上げます。それでは、2020年度3月期第2四半期の決算内容について、ご報告いたします。
はじめに、2020年3月期第2四半期連結業績の概要についてご説明申し上げます。
決算のポイントをご覧ください。2020年3月期第2四半期連結業績は、増収増益となっています。売上高は前年同期比6.8パーセントの伸長でございます。
これはメルスプランの会員数が、期初130万人に対して、9月末時点で132万人へと順調に増加していることによるものです。
また利益は、製造原価の低減、原価率の低下と販管費率の低下により、営業利益率が10.6パーセントと上昇しております。
2020年3月期 第2四半期連結業績サマリー
2020年3月期第2四半期連結業績サマリーをご覧ください。連結売上高は約428億円で、前年同期比6.8パーセント。連結業績利益は約45億円となり、前年同期比56パーセントの伸長でした。
原価率は0.8ポイント低下し、売上高販管費率は2.5パーセント低下したことにより、売上高営業利益率は10.6パーセントと、前年同期比3.3ポイント上昇しています。
親会社株主に帰属する四半期純利益は約29億円で、前年同期比65.3パーセント伸長しております。結果、1株当たり四半期純利益は84.47円でございます。
連結売上高
連結売上高伸長の内訳についてご説明します。連結売上高は428億円となり、前年同期比で27億円増加しております。
その内訳は、メルスプラン売上の伸長が12億円、コンタクトレンズ・ケア商品売上の伸長が14億円、「その他」が1億円の伸長となっております。
メルスプランの売上につきましては、会員数の順調な増加によるものでございます。おもに1DAYコンタクトレンズ会員が増えていることから、顧客単価も上昇しております。
コンタクトレンズ・ケア商品売上につきましては、おもに1DAYの販売伸長と、海外でのオルソケラトロジーの販売拡大によるものです。また、消費税増税前の需要の影響も一部見られております。
連結営業利益
連結営業利益についてご説明申し上げます。こちらは45億円で、前年同期比16億円増加しております。
売上総利益が、製造原価の低減により前年同期比で18億円増加しています。一方、販管費は前年同期比2億円の増加で伸長が抑えられているため、連結営業利益の伸長に繋がっています。
連結営業利益分析
スライドのグラフは、連結営業利益の増加要因を分析しております。前年同期比で、増加要因を青色、減少要因を赤色で示しております。
まず、売上高増加及び売上原価低下に伴い、売上総利益が増加しております。こちらはおもに1DAYコンタクトレンズの売上伸長と、製造原価低減によるものでございます。1DAYは売上単価が高いため、粗利額の増加に貢献しております。
一方、販管費の金額自体は増加しておりますが、売上伸長ほどではなく抑えることができました。結果、営業利益の伸長に繋がっています。
売上高の内訳①
報告セグメント別の売上について説明を申し上げます。報告セグメントは、コンタクトレンズ関連事業と「その他」の構成になっております。
まず、コンタクトレンズ関連事業ですが、売上高は約419億円となっております。前年同期比6.6パーセント伸長いたしました。「その他」では、売上高が約8億円で、前年同期比で17.5パーセントの伸長でございます。
製品及びサービス別では、コンタクトレンズ・ケア商品、メルスプラン、「その他」に分類しております。
コンタクトレンズ・ケア商品では、約204億円となりました。これは前年同期比7.5パーセントの伸長でございます。
メルスプランでは約212億円で、前年同期比6パーセントの伸長でございます。「その他」では約10億円となり、前年同期比9.5パーセントの伸長です。
製品及びサービス別 コンタクトレンズ・ケア商品
製品及びサービス別セグメントの業績について、詳細を説明いたします。
コンタクトレンズ・ケア商品においては204億円で、前年同期比14億円の増加でございます。おもな理由は、コンタクトレンズの売上です。こちらはメルスプランを除いた金額ですが、とくに1DAYで前年同期比4億円増加しているのが見て取れます。
2WEEK・1MONTHのカテゴリーでも、前年同期比4億円増加いたしました。日本での2WEEK、欧米での1MONTHの伸長によるところです。
「その他」では、中国でのオルソケラトロジーや、ケア用品の伸長などによって、6億円増加しております。
製品及びサービス別 メルスプラン
メルスプラン売上高の詳細です。こちらは212億円と、前年同期比12億円の増加となっております。
その内訳は、1DAY会員の増加によるものが10億円、2WEEK会員の増加によるものが2億円でございます。大きく会員数を伸ばしているのは「1DAYメニコンプレミオ」、「Magic」の2商品です。
両製品は、レンズの内面に触れることなく瞳に装着できる「スマートタッチ」というコンセプトをアピールポイントとしており、会員数増加に貢献しているものと考えております。
売上高の内訳②
地域別の売上高についてご覧ください。
国内売上高につきましては約380億円、前年同期比7.2パーセントの伸長でございます。
海外売上高につきましては約47億円で、前年同期比3.7パーセント伸長いたしました。各地域の詳細は、のちほどご説明いたします。
海外売上高比率
海外売上高比率は、欧州7.2パーセント、北米1.1パーセント、アジア2.4パーセント、「その他」地域が0.4パーセントです。合計の海外売上高比率は、全体の11.1パーセントとなっております。
海外売上高の伸長比率に比べ、国内が伸長しているということで、割合としては11.1パーセントにとどまっております。
海外売上高
それでは、海外売上高の詳細についてご説明します。売上高は47億円、前年同期比で3.7パーセント伸長の1.6億円増加でございます。
欧州は、前年同期比マイナス1.4パーセントで0.4億円の減少でした。北米においては、前年同期比マイナス0.8パーセントの300万円の減少となっております。
この2地域については、円高の影響で減少となっておりますが、現地通貨ベースでは伸長しています。
アジアにおいては、前年同期比26.3パーセントの2.1億円増加しております。おもに中国でオルソケラトロジーが堅調です。
連結キャッシュフロー比較
2020年3月期第2四半期連結累計期間におけるキャッシュフローを、前年同期のキャッシュフローと比較しております。
今期のキャッシュフローについて説明を申し上げます。営業活動によるキャッシュフローは、税金等の調整前当期純利益が増加したものの、預け金の増加もあり、19億円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュフローは、おもに1DAY工場の建屋増床や生産設備の増設による、有形固定資産の取得により、32億円の支出となっております。
財務活動によるキャッシュフローは、おもに短期借入金の増加により、7億円の収入となりました。結果、2019年9月末の現金残高は185億円でございます。
第2四半期連結業績概要については以上です。
連結業績予想修正のポイント
ここからは、2020年3月期通期連結業績予想についてご説明します。連結業績予想修正のポイントです。
第2四半期までの連結業績が好調であったことを受け、2020年3月期通期の連結業績予想を上方修正したいと考えております。
下半期において、売上高は消費税増税後の反動減が一時的にあるものの、通期では回復すると見込んでおり、前回発表予想と同水準を想定しております。
各段階利益は、1DAYコンタクトレンズカテゴリーにおける販売拡大や、新商品を含むメルスプラン会員数増加に向けた販促強化のための費用の使用を予定しています。
一方、おもに1DAYの製造原価の低減が引き続き見込めるため、当初予想を上回る見込みとなりましたので、連結業績予想の上方修正を決定いたしました。
連結業績修正予想
先ほど申しましたとおり、売上高は期初予想どおりと見込んでおります。売上総利益につきましては、製造原価の低減が見込めるため、原価率は通期で45.8パーセントと、期初予想よりも1.1ポイント改善すると想定しております。
販管費は、下期に使用を予定しておりますが、売上高販管費率は0.2ポイントの上昇にとどめられると予想しております。
従って、連結営業利益は約72億円で、期初予想比10.9パーセントの増益。売上高営業利益率は8.5パーセントと、期初予想より0.9ポイントの上昇を見込んでおります。
そして親会社株主に帰属する当期純利益は45億円で、期初予想比10パーセントの増益を見込んでおります。
連結業績修正予想に関しては以上でございます。
連結業績進捗率
連結業績の進捗率をグラフで示しております。ご覧のとおり、堅調に推移しています。
連結売上高・連結営業利益推移
連結売上高、連結営業利益の推移を示したグラフです。青の棒グラフは売上高、赤の折れ線は営業利益を示しております。
原価率・売上高販管費率・連結営業利益率推移
原価率・売上高販管費率・連結営業利益率の推移を示しております。
赤い線は原価率でございます。原価率は上昇傾向にありましたが、今後は今の水準で一定に推移すると見込んでおります。
一方、緑の線の売上高販管費率は減少傾向にあり、この傾向はしばらく継続する見込みです。
青い線は連結営業利益率です。ご覧のとおり、右肩上がりで上昇しております。売上高販管費率の減少が、連結営業利益率の上昇に繋がっております。
中期計画 Vision2020
ここからは、今後の戦略、中期計画「Vision2020」に向けて強化していく施策を説明いたします。
弊社は、2021年3月期にあるべき姿として、「Vision2020」を掲げております。これは売上高1,000億円、営業利益率10パーセントを目標としております。
「Vision2020」の達成に向けて、メルスプラン、海外事業、新規事業を柱に、それぞれの戦略を実行し、事業の成長を果たしてまいりたいと考えております。
(1) 1DAYコンタクトレンズ
これからの成長ドライバーの主軸となるのは、やはり1DAYコンタクトレンズだと考えております。スライド左のグラフから、1DAYコンタクトレンズの売上高は、前年同期比17パーセント伸長と、2桁伸長に達しているということが見て取れます。
さらなる成長に向けて、私どもが取り組んでいる課題は、大きく3つございます。1つ目は、コンタクトレンズは近視用だけではなく乱視用、遠近両用、それからサークルレンズと、製品ラインアップを拡充していくこと。
2つ目は、日本はもちろんグローバルに販売地域を拡大していくこと。3つ目は、増加する需要に対して十分な供給量を確保できるよう、生産能力を拡大し、維持・安定すること。この3つを考えております。
(1)定期交換型 遠近両用ハードコンタクトレンズ
次の成長ドライバーは、遠近両用コンタクトレンズでございます。左のグラフをご覧ください。矢野経済研究所のデータによりますと、遠近両用コンタクトレンズ市場は、年平均成長率17パーセントでございます。
このようななか、弊社でもさまざまなレンズカテゴリーにおいて、遠近両用コンタクトレンズを販売しております。このたび、定期交換型ハードコンタクトレンズでも、遠近両用の「フォーシーズンバイフォーカル」を発売いたしました。
メルスプラン会員さまは、遠近両用世代、ハードコンタクトレンズユーザーが非常に多いことから、みなさまに快適なコンタクトライフを提供することができる「フォーシーズンバイフォーカル」に、大きな期待を寄せています。
(2)海外事業 グローバルネットワーク
海外需要につきましては、主要地域は現地法人を設置し、販売拡大に取り組んでおります。
2019年10月から、イタリアのコンタクトレンズ及びケア用品の製造販売会社SOLEKOをグループ化いたしました。欧州の主要国の1つであるイタリアに現地法人を所有することができたことは、非常に大きな進展ではないかと考えております。
(2)海外事業 欧州 イタリア
イタリア市場は、イギリスに次ぎ欧州第2の規模のディスポーザブルコンタクトレンズの市場です。
弊社の持つMiruブランドの、1DAYや1MONTHコンタクトレンズを中心に、SOLEKOのチャネルを通じて、イタリア国内にメニコン製品を浸透させていきたいと考えております。
SOLEKOはイタリアで45年の事業実績を持っており、販路も認知度もそれなりに高い企業でございます。また、ケア用品の製造販売も手掛けていることから、メニコングループにおいてその製品を広く販売していくことを視野に入れております。
つまり、SOLEKOの長所、そしてメニコンの長所をうまく組み合わせながら、欧州、さらには世界で両社のシナジー効果を発揮できるものと考えております。
ここからは、近視進行抑制研究への取り組みについて、少しご説明いたします。
まず、近視の進行がどのようにして起こるかということです。スマホやゲームなどの長時間の手元の作業が続きますと、視力矯正に必要な度数よりも強い度数の眼鏡やコンタクトレンズをしている過矯正の状態においても、また、暗いところでの作業などにおいても、非常に目の調節力を酷使いたします。
こうした目の調節力を酷使するような状況が長時間に、また継続的に繰り返されることによって、目の過度の緊張状態が起こって、眼軸長が伸びるのではないかということが、昨今研究成果として発表されております。
事実、世界的に近視人口は増えていると言われており、こうした、とくにスマートホンやパソコンの普及が、近視進行と大きな因果関係があるのではないかと考えられるようになりました。
眼軸長が伸びますと、目のピントの合う位置が網膜よりも前に移動してしまい、近視が進むというのが、この考え方でございます。
(2)近視進行抑制研究への取り組み①
全世界的に近視人口が増えていると申し上げましたが、近視が強く進行した状態では、もっとも恐ろしいのは、さまざまな眼疾患を併発しやすいことと言われております。
大きなものでは網膜剥離、緑内障といった失明に繋がる疾患が強度近視によって起こるということです。
我々近視を1つのビジネスとしている企業として、その予防に努めるのも大きな使命であると考えており、とくに若い青少年の目の近視進行を抑制することが重要です。
また、世界的にもそうした研究が進み、それをサポートするようなコンタクトレンズの需要も一方で拡大しているという状況がございます。
とくに今、注目されているのがオルソケラトロジーという技術です。これは本来は夜寝る前にコンタクトレンズを装用することで、いわば角膜に理論的に寝ぐせをつけて、ピントの合う位置をずらす技術です。
この技術を応用することで、近視進行が抑制できるという新たな研究も進んでおり、とくに中国ではそうした事業がかなり大きく注目されております。
きちんとピントを合わせることで眼軸長の伸びを抑制する、または調節力の負荷を減らすことで、眼軸長の伸びを抑制する。ヨーロッパでも、こういう効果が期待されて、オルソケラトロジーのレンズが近視抑制効果のあるレンズとして、今使われ始めています。
(2)近視進行抑制研究への取り組み②
私どもメニコングループは、世界的にこのオルソケラトロジーのレンズを普及させている企業として、オランダのNKL社と、私どもの子会社でありますアルファコーポレーション、ここで2種類のオルソケラトロジーレンズを製造販売しております。
まずアルファコーポレーションは、日本はまだ正式に近視進行抑制に対する取り組みが認められておりませんので、私どもとしてはあくまでもオルソケラトロジーレンズの本来の販売方法に徹して営業活動をしております。
これを正しく普及していくことで、一方では近視抑制効果も期待できるということを、将来的には検討していきたいと考えております。
とくに、医師主導で近視抑制に取り組んでいる中国では、私どものオルソケラトロジーレンズが大変注目を受けており、中国では1つのブームとして扱われているということであります。
また、オランダのNKL社においては、はじめて「CEマーク」を取得することができ、「BLOOM」というブランド名でシリーズ化し、近視抑制効果のあるレンズとして、実際に販売が始まっております。
(2)近視進行抑制研究への取り組み③
「Menicon Bloom Night」というレンズは、オルソケラトロジーレンズの考え方を応用した近視抑制効果のあるレンズ。
「Menicon Bloom Day」というレンズは、普通のコンタクトレンズのように日中レンズをはめるのですが、マルチフォーカルの機能を持っており、手元を見る時の調節負荷を軽くすることで、近視を抑制できるという効果を持ったレンズです。
夜はめるタイプのレンズと昼はめるタイプのレンズ、2種類を用意して、欧州を中心に販売を拡大していきたいと考えています。
(3)新規事業
新規事業について、リリース案件をご紹介したいと思います。スライド左の商品はサプリメントの「めにサプリ ビルベリー」でございます。
これは、ビルベリー由来のアントシアニンを機能性関与成分とし、弊社初の機能性表示食品として2019年8月に販売いたしました。
コンタクトレンズのみならず、目に関連する事業の拡大を狙った新規事業の商品でございます。アントシアニンは、ピント調節機能をサポートし、目の疲労感を緩和することが報告されている成分です。
こうした機能性食品は習慣的に使っていただくことが非常に重要で、即効性のあるものではございませんので、そこはご理解いただければと思います。
スライドの右は、動物医療事業を展開する子会社メニワンが2019年9月にリリースした「Fundus AI」という、犬の眼科診療をサポートする、動物医療業界初のWebサービスでございます。
獣医師が撮影した犬の眼底画像をAIが解析し、可能性のある眼科異常所見を獣医師に提示していくことで、獣医診療の効率化、また正確性を高めていこうというのが狙いの商品です。
以上がメニコンの決算説明でございます。今後も製品、サービスをお使いになるみなさまの利益を最大化することを考え、事業活動に励んでまいりたいと思います。
「よりよい視力の提供を通じ、広く社会に貢献する」の理念のもと、見える喜び、生きる喜びを多くのみなさまに感じていただくため、引き続き企業価値向上に向けて邁進してまいりたいと思います。
今後ともご支援のほどをよろしくお願いいたします。ありがとうございました。