『これはお湯で落ちるもので、当然学校にはつけて行っていません。今回はおばあちゃんにキレイな爪を見せたいから塗っただけなんです』と私が言っても『ませている』『可愛くない』の一点張り。あそこまで否定しなくてもいいのに」Dさんだけではありません。子どもがファッションに興味を持っている、というと嫌味を言われた経験をもつママは、他にもたくさんいます。

「小学生からオシャレにうつつを抜かすなんて、お母さんがさぞかし外見にばかり気を使ってるんでしょうね、と嫌味を言われた」「小学校のうちは動きやすい服を着せておいたらいい。ファッション性を重視するなんてぜいたくだ、とママ友に言われた」

さまざまなお話を聞かせてもらって気がついたこと、それは「小学生にオシャレは必要ない」と思っている人たちは「オシャレに興味を持っているから、勉強がおろそかになっている」という考え方だ、ということ。確かに子どもたちの本分は「よく学び、よく遊び、健やかに成長すること」です。だからといって、オシャレに興味を持ってはいけない、と決めつけるのはいささか乱暴な気がします。

メイクやネイルをして登校する、勉強そっちのけでファッション誌を読みふける、高価なブランド服ばかりおねだりする…などとなれば考えものですが、そうではなく、自分のできる範囲で精いっぱいオシャレしている子どもたちの姿は、見ていてとてもほほえましいもの。そこは温かく見守ってあげてほしい、というのが母親の本音です。

子どもらしさっていったい何?

小学生のオシャレに反対する人は「子どもらしくないから」と言います。では、「子どもらしさ」とはいったいどんなものなのでしょう。

不朽の名作、「赤毛のアン」のアンでさえ、当時流行の「ふくらんだ袖」に憧れたり、髪の色を変えようと染料に手を出したりしています。ということは、オシャレに興味を持ち、大人のメイクやファッションに憧れる行為はじゅうぶんに「子どもらしい」と言えるのではないでしょうか?

大切なのは親がしっかりと「線引き」すること。オシャレに興味を持つことは、決して悪ではないと思うのです。

大中 千景