「ということは、夫婦ふたりの時間が増える、ということ。最初はそのことについて何にも思っていなかったんですが、いざ夫婦ふたりになると…話すことがないんです」帰宅した夫も特に何を話すでもなくただテレビを見ているだけ。何か話そうと、昼間にあったことや、子どもたちのことを話すと、夫は「そうか」と返答してくれるんですが、そこから話が続かない。

「ただ黙ってテレビを見ているだけでもいいのかもしれないのですが、それはそれで気まずいような気がするし、夫婦でいるのだから、何か話さなきゃ…と思うし。でも、話すことが何もないんです」Aさんは次第に夫婦ふたりの時間に恐怖を覚えるようになりました。

「夫婦ふたりのときって、何を話してたんだろう、昔は沈黙の時間も心地よかったのかな?そもそも何も話さない時間ってあったっけ?とかいろいろ考えてしまうともうダメです。夫が帰ってくるのが憂鬱になってしまって。それに、話題を出して夫婦で会話をする努力をしてくれない主人にもだんだん腹がたってきたんです」

意識しすぎると余計に空回りに

Aさんはこう分析してくれました。「今思うと、子どもがまだ手がかかっているときは、子どもを介して夫婦で会話をしている気になっていただけなのかな、って。あのときにほんの少しでも、夫婦ふたりだけで会話をする時間を作っておけば、現状は違っていたのかもしれません」

Aさんだけではありません。夫婦ふたりきりになると会話がない、何を話していいのかわからない、という夫婦は他にもたくさんいます。