そんな筆者は、Aさんの話に全く賛同ができませんでした。最後にAさんが言った「幼稚園のような保育園がいい」というのはつまり、勉強や教育、しつけなどもしっかり保育園にやってほしいし、長時間預けたいということでしょう。

長時間預けて仕事をしなければいけない事情があるのはわかりますが、当然のように「小学校に向けた勉強やしつけなどもやってくれ」というのは、あまりにも保育園に求める要求が多すぎるのではないかと感じてしまいました。

「質の高い保育をタダで受けて当たり前」という意識

そしてそうした保育園への要求の多さは、保育無償化が助長したとも考えられます。Aさんは「認可保育園は自治体から補助金をもらってる。であれば、質が高い保育園に入れさせなければ損する」と言っていたからです。

保育無償化によって、「保育園に入れて当たり前」「質の高い保育をタダで受けて当たり前」という意識が芽生えやすくなっているのではないかと思いました。

幼児教育・保育無償化のデメリットとしては、しばしば保育士不足のみならず、保育や教育の質の低下に対する懸念の声が専門家等から聞かれます。しかし、親の間にも保育園に対する意識の変化が起こっているのではないでしょうか。預かってもらってありがたかった存在から、タダで親の希望やわがままが叶う存在へと。

まもなく次の4月入園の決定通知書が届く時期。保育無償化がスタートしてまだ数カ月しか経っていない今だからこそ、「質の高い保育をタダで受けて当たり前」と思っている人は保育園に対する意識を改めてみてもいいのではないでしょうか。

富士 みやこ