2019年11月6日に行われた、日本ユニシス株式会社2020年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料
スピーカー:日本ユニシス株式会社 代表取締役社長/CEO 平岡 昭良 氏
2020年3⽉期 上期 連結経営成績
平岡昭良氏:こんにちは。日本ユニシスの平岡です。本日はご多用中にも関わらず、日本ユニシス2020年3月期第2四半期決算発表においでいただき、誠にありがとうございます。私から、決算の概要と中期経営計画「Foresight in sight 2020」の取り組みについて、ご説明申し上げます。
まずはじめに、2020年3⽉期上期の決算概要についてご説明いたします。上期の業績は、売上⾼が前年同期⽐で159億円増収の1,497億円、営業利益が前年同期⽐で29億円増益の110億円、四半期純利益は前年同期⽐で17億円増益の79億円となりました。
売上⾼はシステムサービスが堅調に推移したことに加え、製品販売の需要も底堅く、159億円の⼤幅増収となりました。利益⾯では、増収効果やシステムサービスの⽣産性向上や、アウトソーシングでの運⽤効率改善による収益性向上などから、売上総利益が36億円の増益となり、販管費の増加分である7億円を吸収し、営業利益は前年同期に⽐べ29億円の増益となりました。
その結果、営業利益率は前年同期⽐で1.3ポイント向上の7.4パーセントとなり、中期経営計画の⽬標である8パーセント以上の達成に向け、着実に進捗しています。なお、営業利益の増益に伴い、純利益も17億円の増益となっています。
受注⾼については、システムサービスおよび製品販売が堅調に推移している⼀⽅で、⻑期の⼤型アウトソーシング案件の更改タイミングの影響から、前年同期⽐で24億円の減少となりました。受注残⾼についても同様の影響により、前年同期⽐で124億円減少していますが、受注残⾼のうち年度内の売上計上予定分については、前年同期に⽐べ、27億円の増加となっています。⾜元の受注環境に⼤きな変化はなく、総じて堅調な状況が続いています。
2020年3⽉期 上期 セグメント別の状況
セグメント別の状況についてご説明いたします。システムサービスは、デジタルトランスフォーメーション関連の⼩型案件の積み上げのほか、⾦融機関・流通業・サービス業向けなど、幅広い業種において既存システムの更改案件も発⽣しており、増収増益となりました。サポートサービスおよびアウトソーシングについては、引き続き堅調な状況が継続しており、増収増益となっています。
製品は、プロモーションの効果などから、PC・タブレットなど⼩型製品を中⼼に需要を取り込み⼤幅な増収となりましたが、前期の第2四半期において複数のメインフレーム案件の計上があった影響などから、前年同期に⽐べ収益性が低下し、若⼲の減益となっています。
2020年3⽉期 注⼒領域の状況
中期経営計画における注⼒領域のビジネス状況をご説明いたします。上期の注⼒領域の売上⾼は、前年同期⽐で47億円増加の196億円となりました。第1四半期は、AI関連の⼤型機器販売案件の影響で⼤幅な増収となり、第2四半期においても、デジタルトランスフォーメーション関連案件を中⼼に、中⼩型のビジネスが堅調に積み上がっています。
なお、上期の⼿数料型ビジネスにおける売上⾼は、前年同期並みの⽔準となりました。第1四半期と同様に、第2四半期においてもQR・バーコード決済の取扱⾼が増加したこと、カーシェアやドライブレコーダーを中⼼としたモビリティ関連ビジネスの拡⼤の⼀⽅で、決済⼿段の多様化によるバリューカードの取り扱いが減少しています。
2020年3⽉期 通期業績予想
業績予想についてご説明いたします。通期の売上⾼・営業利益・当期純利益予想については、8⽉1⽇の公表値から変更はありません。通期の売上⾼は前期⽐で80億円増収の3,070億円、営業利益は24億円増益の230億円、当期純利益は18億円増益の160億円と予想しています。
上期は、期初予想より上振れで着地したことに加え、9⽉末の受注残⾼における年度内売上予定分が前年同期⽐で増加していることから、通期の着地は期初予想を上回る可能性もあると想定しています。
しかしながら、下期においては、中⻑期的な事業拡⼤につなげるため、あえてトップラインを伸ばすことはせず、⼿数料型・サービス型のビジネス拡⼤に向けた事業構造改⾰を加速させていきたいと考えています。ですので現時点では、通期の業績予想は期初公表値を据え置きといたします。
また、配当については、期初公表どおりの中間配当32円50銭、年間配当65円を予定しています。
中期経営計画(Foresight in sight 2020)の⽅針
中期経営計画の取り組み状況について、ご説明いたします。⽇本ユニシスグループは、2019年3⽉期からスタートした中期経営計画において、業種・業態の垣根を越えたビジネスエコシステムを作る中核となり、社会課題を解決していくことをテーマとして事業活動を推進しております。
今中計期間は約半分を過ぎたところですが、当初計画していた注⼒領域ビジネスは、シェアリングエコノミーやキャッシュレス等のデジタル化に向けた社会の意識の⾼まりや、顧客のデジタルトランスフォーメーションへの取り組みが進んでいることにより、順調に拡⼤しております。
また、ICTコアビジネスにおいては、案件審査やプロジェクトマネジメントの仕組みの運⽤を徹底し、不採算案件を最⼩限に抑えつつ堅調に推移する顧客企業のシステム更新需要に対応しており、SEサービスやアウトソーシングサービスが伸⻑しています。それに加え、働き⽅改⾰の推進等による⽣産性向上に取り組むとともに、システムエンジニアの稼働率が⾼いレベルで推移した結果、収益性が向上しています。
中期経営計画の取り組み
中期経営計画において定めた4つの注⼒領域は、対応する社会課題によって、それぞれの領域の垣根を超えてクロスファンクショナルに活動しています。次のスライドからは、主な社会課題に対応する3つの取り組み事例と、戦略投資・⾵⼟改⾰・ガバナンスの状況についてご紹介いたします。
持続可能なエネルギー社会①
まずはじめに、持続可能なエネルギー社会をテーマとして、このマーケットに対してさまざまなサービスを提供してきています。
持続可能なエネルギー社会②
近年、世界のエネルギー情勢は⼤きく変化しており、パリ協定や気候変動等に関する持続可能な開発⽬標など、国際的なイニシアチブを踏まえた脱炭素社会への取り組みとして、再⽣可能エネルギーへのシフトが進んでいます。⼀⽅、国内では電⼒⼩売全⾯⾃由化による事業者数の急増があり、消費者がライフスタイルや価値観に合わせて、電気の売り⼿やサービスを⾃由に選べるようになってきました。
こうしたなかで私たちは、⼦どもたちに残せる持続可能な地球にするために、気候変動への対応として⾮化⽯由来エネルギーへの切り替えを進め、脱炭素社会を実現し、環境未来都市を作りたいと考えています。
これを実現するための1つの取り組みとして、昨年度より実施している、経済産業省の「⾮化⽯証書の利⽤価値向上に係る調査事業」に続き、「エネルギー供給構造⾼度化法に基づく⾮化⽯電源に係る認定業務」を、11⽉より開始しました。
⾮化⽯価値取引市場の取引量は、この8⽉に前年同期⽐で約50倍となる1億キロワットアワーに達しています。政府は⾮化⽯電源⽐率の⽬標として、2030年に44パーセントを設定しており、今後も取引市場は拡⼤していく⾒込みです。
今後は、これを⾜掛かりに環境価値ビジネスを拡⼤していきたいと考えております。また、電⼒⼩売事業者がRE100を⽬指す需要家のニーズに応えるため、新電⼒向けプラットフォームである「Enability」へ「⾮化⽯電源認定⽀援機能」を組み込むことによって、企業のRE100達成へも貢献していきたいと考えています。
今後も引き続き、これまでのエネルギー業界における取り組みで培ってきた技術と知識を最⼤限に活かし、⾮化⽯エネルギーのさらなる普及・拡⼤に貢献してまいります。
スマートな暮らしに向けて①
インバウンドや「Mobility as a Service」、キャッシュレスといった、スマートな暮らしに向けてです。ここのマーケットに対してもさまざまなサービスを提供してきています。
スマートな暮らしに向けて②
まずインバウンドについてですが、政府は2020年の⽬標として、訪⽇外国⼈旅⾏者数を4,000万⼈に増やし、8兆円規模の消費市場を⽣み出そうとしています。2018年には、6年前と⽐較して約3.7倍の3,100万⼈、旅⾏消費額は4.2倍の4兆5,000億円までに拡⼤しており、先⽇のラグビーワールドカップに続き、2020年の東京オリンピック・パラリンピック、2025年の⼤阪万博と、インバウンド需要は今後もますます拡⼤していくものと期待されます。
また、先⽇の消費増税をきっかけに、消費者はキャッシュレスで⽀払いたいという意識が⾼まるとともに、店舗などにおいては訪⽇外国⼈の需要を取り込むため、キャッシュレス決済の対応が進んでおります。市場予測によると、2025年の国内コード決済市場は9.7兆円と、現在の約20倍の規模に成⻑すると⾒込まれています。
⼀⽅、各地で「Mobility as a Service」の実現に向けた取り組みが進展しています。⾃動運転技術が現実のものとなりつつあり、ICTを活⽤して交通をクラウド化し、⾃動⾞を含むすべての交通⼿段を1つのサービスとして捉えるマルチモーダル化が進んでいます。
⽇本ユニシスグループは、スマートな消費・決済やモビリティの構築により、⽣活者の暮らしや訪⽇外国⼈の体験を、安⼼・安全・健やかにする都市や地域循環共⽣圏の実現を⽬指しています。
今回、「Mobility as a Service」への取り組み事例として、⼤津市内および⽐叡⼭において「Mobility as a Service」の実証実験を⾏っており、観光案内・ルート検索・クーポン・企画乗⾞券購⼊機能などが⼀体となった観光MaaSアプリ「ことことなび」を、試験的に展開しています。また、新潟市においてもMaaS検討推進プロジェクトに参画し、活動しています。
⼀⽅、キャッシュレスへの取り組みについては、引き続き⼦会社であるキャナルペイメントサービスにより、JCB既存加盟店へのコード決済導⼊が引き続き拡⼤しております。JCBさまが展開する「Smart Code」に対しても、参画を発表しているイシュアとの接続を順次進めております。
労働人口減少社会への対応
労働人口減少社会への対応といったマーケットにも、さまざまなサービスを展開しております。
社会インフラ⽼朽化への対応
労働⼈⼝減少による⼈⼿不⾜問題に対し、AI・IoTの新技術を活⽤した、持続的な経済成⻑の実現に向けた取り組みについてご紹介いたします。
道路橋等の公共インフラの多くは、⾼度経済成⻑期に整備されてきたため⽼朽化が進み、2033年には5割を超えるインフラが、建設後50年を経過する⾒込みとなっております。
また、これらの社会資本の維持管理・更新費⽤は年間約5兆円かかっており、国⼟交通省の試算では、今後30年間で194兆円に及ぶと⾒込まれています。さらに、オフィスビルの⾼齢化も進展しており、築年数20年以上を経過している割合は、中規模ビルで82パーセント、⼤規模ビルでは50パーセントと年々増加しており、国内のビル管理市場規模は年間4兆円規模で推移しています。
その⼀⽅で、インフラの保全や維持管理を⾏う技術者や労働者は、⼈⼝減少の影響もあり、⼈⼿不⾜が深刻化している状況です。私たちは、AIやIoT技術を活⽤した作業の効率化や、遠隔管理等による社会公共インフラの維持・保全環境の変⾰を⾏い、我が国が持続的に経済成⻑できる、安⼼・安全な⽣活環境を実現したいと考えています。
この上期においては、⼈間の認識・判断を再現する空間認識プラットフォームである「BRaVS Library™」と「BRaVS Platform™」、さらにはビル・マンション管理業界の設備点検コストの⼤幅削減と働き⽅改⾰を実現する、「まるっと点検™」サービスをリリースしました。
BRaVSは、東北電⼒さまで実証を⾏っている、⽕⼒発電所の設備パトロールの⾃動化におけるAI技術や、橋梁点検における劣化要因、健全性の判定などを⾏う画像診断のAI技術として活⽤されています。橋梁点検については、⽇本海コンサルタントさまとの共同事業で取り組んでおり、2020年夏に向け、システムの事業化を進めています。
戦略投資
戦略投資の取り組みについてご紹介いたします。戦略投資としては、VCファンドへの投資に加え、スタートアップへの投資を通じて、お客さまとスタートアップ各社との伴⾛によるイノベーションの創出と社会実装、ひいては社会課題解決への貢献を⽬指しています。
⽇本ユニシスからは、国内外の多岐にわたる分野のVCファンドへの出資に加え、社会課題解決を⽬指すリアルテック系ベンチャーへの出資を積極的に進めています。
また、2017年に設⽴したコーポレートベンチャーキャピタルであるキャナルベンチャーズでは、よりスピーディーに、また独⾃の戦略分野を加えたダイナミックな投資活動を⾏い、設⽴後2年⽬ですでに9ファンド、22社のスタートアップに出資しています。今後も引き続き積極的な投資を展開し、オープンイノベーションを加速してまいります。
⾵⼟改⾰
⾵⼟改⾰の取り組みについてご紹介いたします。ビジネスエコシステムやプラットフォームを提供し、社会に変⾰を起こせる⾃律性・創造⼒の⾼い組織⾵⼟や⼈財を醸成するため、戦略⼈事改⾰「Human Resource Foresight™」を今年度より開始しました。
サステイナブルなイノベーションを⽀える⼈的資本を、多様な個⼈の役割・ROLESで実装します。そして個⼈内多様化、いわゆるイントラパーソナル・ダイバーシティを促進することで、個の変⾰と知の融合を可視化するタレントマネジメントを実現します。
新規事業創出を⾏うビジネスプロデュース⼈財は、2020年の⽬標である1,000⼈に対し、現在900名を超えました。2010年より継続しているアントレプレナー醸成、「Next Principal」プログラム、SDGsや社外視点も取り⼊れたフィールド体験プログラム、産学連携でのビジネスデザイン研究など、知の探索を進める組織⾵⼟・⼈財への改⾰は着実に進⾏しています。また、サクセッションプランのもと、変⾰をリードする経営リーダーの輩出に向けた経営⼈財パイプラインの構築や、プログラムの実施も進めています。
「Workstyle Foresight®」による⽣産性向上、多様な働き⽅などへの対応も進捗しています。昨今、増加傾向にある各種災害や、2020年の東京オリンピック・パラリンピック⼤会での混雑時のBCPを⾒据えたテレワークを推進し、テレワーク・デイズ実施期間に東京都内勤務者3,030⼈のうち、97パーセントがテレワークを実施しました。
⾵⼟改⾰の進捗を測る指標の1つであるエンゲージメントスコアは、⽬標を上回る進捗で継続的に向上しています。このような取り組みや成果が評価され、「新・ダイバーシティ経営企業100選」や「テレワーク先駆者百選 総務⼤⾂賞」をはじめ、さまざまな賞や認定を受けています。
コーポレート・ガバナンス
コーポレート・ガバナンスの取り組みについてご紹介いたします。当社の持続的成⻑と企業価値向上を図るべく、経営者による健全かつ迅速な経営判断を可能にする仕組みの構築と改善に注⼒しています。とくに、昨今の市場環境の変化を踏まえ、豊富な経営経験や専⾨知識を有する⼈財を社外取締役として選任し、より広い視野と客観性・透明性を併せ持った意思決定を⾏っています。
また、さらなるガバナンス体制強化のため、本年6⽉に、それまで社⻑が務めていた任意の指名・報酬委員会の委員⻑に、独⽴社外取締役が就任いたしました。
政策保有株式については、保有⽬的の持続性・中⻑期視点での事業戦略との整合性を検証し、保有意義が薄れた銘柄については、売却を進めています。
ご説明は以上となります。ご清聴ありがとうございました。