今から先のことを考えると、答えは見えないから不安になります。「今からがんばれ」「やればできる」と言われても保証はされてないからなかなかその気になれません。言う側も約束できることではないから、送る言葉に不安な気持ちが重なってしまいます。

これからのことばかり言われると今までのことが評価されてない気持ちになるのが人間の正直な心理。見えないことに対してあれこれ言うより、すでに終えたことを評価するほうがおたがい実感できるはずです。「宿題提出できたね」「学校休まず行ってきたね」「最後まで走れたなあ」など、できたことへの声かけをさりげなくしていきます。できたことを評価されるから「達成感」や「自己肯定感」が生まれてきます。

おわりに

自己肯定感の低い子供達を見ていると、実は親の自己肯定感が低いように思うことがあります。親が自信ないから否定的なコメントが出て子供が聞いてしまうのかもしれません。

自分の子供のことを「ほめるところない」と言う親は多いです。ほめて評価することは必要なのですが、よく話を聞いてみると親自身も自分のいいところがわからないとのこと。欠点は思い浮かぶのですが、長所は出てこないらしい。親も不安でゆとりを失っているように思います。

そして不安でゆとりを失っているから子供との時間を楽しむ余裕がなくなっているのかもしれません。自己肯定感を高めるための原点は親子の信頼関係です。いっしょに過ごす時間を大切にすることでおたがい認め合う瞬間を重ねていきます。できなかったことも責めるのでなく「失敗は成功のもと」と肯定的に受け止めて子供との時間を楽しめることを願っています。

久枝 壮一郎