株式市場の振り返り-薄商いの中、前日に続き横這い。新興市場は小幅反発に止まる
2016年5月19日(木)の東京株式市場は前日に続き横這いとなりました。日経平均株価は前日比+0.0%の上昇、TOPIXは▲0.1%の下落で引けています。また、東証マザーズ総合指数は+1.6%上昇の小幅反発となりましたが、前日の急落からの戻りは鈍いものとなっています。
日経平均株価は、110円/ドルの円安進行などを背景に前日比+162円高で寄り付きました。その後間もなく+196円高まで上昇しましたが、それ以降は売りに押され、後場の開始後に一時▲54円安まで下落しました。その後は、前日終値を挟んだ膠着状態となり、大引けは+1円高の16,646円で終わりました。辛うじてプラスになりましたが、日中の高値からは▲195円下落しており、良い印象はありません。
東証1部で上昇したのは1,012銘柄、値下がり809銘柄、変わらず130銘柄でした。東証1部の出来高は20億1,877万株、売買代金は1兆9,227億円(概算)となっています。売買代金は、今週3回目となる2兆円割れとなりました。手数料収入が落ち込むことで、証券会社の収益悪化が心配になります。
セクター動向と主要銘柄の動き-11業種が上昇、22業種が下落。円安でも輸出関連業種は特に買われず
東証1部で上昇したのは11業種、下落したのは22業種でした。上昇率上位は、保険+1.3%、その他製品+0.9%、ゴム製品+0.7%、精密機器+0.5%、証券・商品+0.5%などでした。一方、下落率が大きかったのは、鉱業▲5.4%、石油・石炭▲2.4%、鉄鋼▲2.1%、電力・ガス▲1.1%、非鉄金属▲1.1%などでした。110円/ドルの円安になったものの、輸出関連業種が特段買われた様子は見られませんでした。
個別銘柄では、前日に急落したスズキ(7269)が+3%超の戻りとなりました。その他の主力銘柄では、東京エレクトロン(8035)、エーザイ(4523)、オリンパス(7753)等の上昇が目立ちましたが、円安が進んだにも拘らず、自動車セクターで目立って上昇したのはシマノ(7309)など一部に止まりました。業績悪化が懸念される証券株では岡三証券グループ(8609)や丸三証券(8613)などの中小証券株が上昇しています。
一方、電機セクターでは、日立製作所(6501)やソニー(6758)等の主力株が下落し、村田製作所(6981)も値を下げました。小売セクターも総じて下落しましたが、しまむら(8227)、ケーズホールディングス(8282)、ヤマダ電機(9831)などが不振となりました。
本日のポイントと注目テーマと関連業種-様子見スタンスが強まる中、ようやく始まる伊勢志摩サミット関連イベントに注目
19日(木)は、再び様子見スタンスが強まりました。様々な動向を見極めたいということなのでしょうか。確かに、ここ数日のメディア報道を見ていると、一旦は見送りと報道された衆参同日選挙の可能性を蒸し返したり、消費再増税の予定通りの実施を示唆したりする報道が見られます。多くの投資家が、政府の景気対策や政党戦略も、その内容を最後の最後まで待つということなのでしょう。とにかく、今週に入って4営業日中3日間で、売買代金が2兆円割れしている活況の無さでは、相場を押し上げるエネルギーに欠けているとしか言いようがありません。
しかし、そうこう言っているうちに、伊勢志摩サミット絡みのイベントが始まろうとしています。先ずは、今週末(20~21日)に開催されるG7財務大臣・中央銀行総裁会議に注目します。特に、足元はやや円安に振れている為替相場について、何らかのコンセンサスが醸成されるかが焦点でしょう。
このような状況の下、政府の景気対策の恩恵銘柄である内需関連セクター(建設、不動産、小売、医薬品、トイレタリーなど)に注目するスタンスに変わりはありませんが、引き続き、決算発表後に戻りが鈍い輸出関連銘柄もコツコツと拾うのも一考に値しましょう。
青山 諭志