視聴率30%の箱根駅伝は、大学側にとっても絶好の宣伝チャンス

また、箱根駅伝は、少子化で受験者数が減少する大学側にとっても、絶好の宣伝の場になります。視聴率30%の番組に年始の2日間にわたって学校名が映るのは大きな効果をもたらし、さらに成績が上位に食い込めば、その宣伝効果が一層大きくなるのは容易に想像できます。

実際、直近10年間で優勝を含む好成績を立て続けに収めた東洋大学は志願者数が倍増し(2017年実績、対10年前比)、4連覇を達成した青山学院大学も2017年度、2018年度と着実な伸びを示しました。

少し前になりますが、2013年には箱根駅伝優勝によるメディア露出量の広告換算費は約13億円という研究結果も報告されています。これに基づけば、現在は軽く20億円以上はあるでしょう。

もちろん、東洋大学や青山学院大学の志願者数の増加は、箱根駅伝の好成績だけによるものではありません。のっぴきならない少子化の進行を背景に、この両校を含めて各大学は抜本的な構造改革を断行しており、志願者数増加を目的とした様々な施策が実施されています。

ただ、なかなか志願者数増加という結果に結びつかない大学も多いことを勘案すると、“箱根駅伝効果”が何らかの形で寄与していることは否定できないでしょう。

スポンサー企業による潤沢な運営資金も大学側には好都合

このように、視聴率が全てとは言いませんが、箱根駅伝に大きな宣伝効果があるのは確かのようです。ただ、正月の本大会に出場するためには、厳しい予選会を勝ち抜く必要があります(シード権制度あり)。

そのため、各大学は全国各地から有望選手を勧誘しており、地方大会である箱根駅伝は、事実上、最高峰の全国大会となっているのです。

“箱根駅伝の勝者=真の大学王者”と言われる理由の1つがここにあります。