サービススタート時に放映したテレビCMは、「夫がお風呂掃除をした後、食卓についた妻のグラスにワインを注ぐ」というもの。この内容に対し、「なぜ男性が(女性に対して)ワインを注ぐんだ!」という苦情がきたこともあったそうです。

――かつては依頼主主婦から「玄関の前にダスキンと書かれた車を止めないで」「主人には内緒にして」といった要望もあったそうですね。ご近所から「あの奥さんは掃除を外注している」と見られることに恥ずかしさや後ろめたさがあったと。業界に長くいらっしゃる梶原さんから見て、そうした「家事は女性がするもの」という価値観が揺らいできたのはいつくらいでしょうか。

梶原千左さん(以下、梶原):実際に利用するお客様の声はもちろんですが、共働き世帯数の推移や第1子出産後の離職率の推移等のオープンデータを鑑みても、特にここ10年間は女性の社会進出が進んでいるので、若い共働き世帯を中心として「家事を外注してもいい」という意識が広がっていると感じています。

ちなみに2018年に当社が全国の20~70代女性を対象に行った調査では、「家事はできるだけ自分でやるべき」と答えた20~30代は18.2%、30~40代では15.9%。それぞれ30%を超えた60~70代を大幅に下回りました。

私の息子は26才ですが、私が仕事をずっと続けてきたこともあり、「家事はくらしの基本。生きていく上で男女関係なく自分でするのが当たり前」と教えてきました。そのように育った世代がこれから社会を担っていけば、社会全体の価値観もさらに目に見えて変わっていくと思いますね。