2015年のお家騒動の後、同社は3期連続で▲40億円以上の営業損失を計上し、累計約▲150億円の赤字を計上しています。また今期(2019年12月期)も第3四半期(累計)の営業利益は▲29億円であり、業績回復の目途は立っていません。

なお、今回ヤマダ電機が大塚家具の子会社化に投じる資金66億円は、大塚家具のこれまでの状態から見ると、約1年半分の赤字額に相当します。

家具よりも有価証券の売却で生き延びた大塚家具

お家騒動が勃発する前の大塚家具は、万全の財務体質を誇る企業として知られていました。

家具販売という大量の在庫を抱える事業ながらも、ぶ厚い自己資本に加え大量の有価証券の保有により、独特の接客スタイルと巨大店舗を維持していたと言えます。

そしてお家騒動の後、大赤字の同社を支えたのは、遺産ともいうべき強固な財務体質と有価証券の存在です。特に前期(2018年12月期)は、家具よりも有価証券の売却で生き延びた一面があります。

前期のキャッシュフロー計算書を見ると、営業活動によるキャッシュフローは▲48億円のマイナスである反面、投資活動によるキャッシュフローは投資有価証券の売却により+31億円のプラスと、本業の大赤字の中で資金的に持ちこたえています。

ただしお家騒動前の2015年12月期に70億円を超えていた有価証券は(現預金も110億円を保有)、2018年12月期末には6億円(現預金18億円)にまで減少しており、同社を支えた有価証券も今期中には底が尽きる状態が迫っていました。