決算説明会で出会った注目の投資テーマ、ウエアラブル端末

決算発表のピークである今週(5月9-13日)は、毎日、数多くの企業決算説明会に参加することができました。そこで出会った興味深い投資テーマの1つがウエアラブル端末です。

ウエアラブル端末とは文字通り身体に装着する電子端末で、代表例としては時計としての機能に加え、通信機能や血圧・脈拍なども計測できるスマートウォッチが挙げられます。

ウエアラブル端末に光センサーの活用を目指す浜松ホトニクス

光センサーで世界トップクラスの浜松ホトニクス(6965)は、今週開催された決算説明会で、ウエアラブル端末向けの光センサーの拡大が今後期待できるとコメントしていました。

具体的な内容については現時点では明らかにされていませんが、CTスキャンやMRIなどの高度な医療機器で使われる高精度、高性能の光デバイスを小型・軽量・低コスト化してウエアラブル端末でも使えるようにすることで、高い成長が期待できる可能性が示唆されました。

同社はこれまで計測器、医療機器、産業機器などコストよりも性能が重視され、また、市場規模が比較的小さく需要見通しが立てやすい分野で成功を収めてきました。これに対してウエアラブル端末は民生機器なので当たり外れがあり、需要予測が難しい分野です。

また、当然ながら、市場を広げるためには、これまで以上に低コスト化が求められます。このため、新市場の広がりの可能性が見えてきたことは朗報ですが、こうした変化にも対応が可能かを精査していく必要があると感じられました。

世の中にないウエアラブル端末を目指すカシオ計算機

G-SHOCKで有名なカシオ計算機(6952)は、今春から日米でスマートウォッチの新製品「WSD‐F10」の発売を開始しています。今回は同製品が発売されてから初の決算説明会でしたので、その販売動向が注目されました。

説明会において会社側は、具体的な販売金額や収益寄与等については開示しませんでしたが、現状はアーリアダプター層向けが中心であるものの、順調な推移とコメントしていました。

世の中に存在しなかった独創的な製品を開発する、つまり、「ゼロツーワン」が同社の経営の基本ですので、今回の新製品についても差別化が強調されました。

多くの競合他社が手掛けているスマートウォッチではなく、ターゲットをトレッキングや釣りなどを行うアウトドアユーザーに絞り込み、明確な用途提案を行うことで、スマート“アウトドア”ウオッチとして定義し、差別化を訴求する考えのようです。

米アップルがApple Watchを発売したのは2015年4月でした。それから1年が経過しましたので、そろそろ次期モデルが発売される可能性があります。巨人アップルに対してカシオが差別化を貫き通すことが可能かを注視したいと思います。

決算説明会は投資アイデアの宝庫

現在行われている2016年3月期決算説明会では、多くの企業が短期業績のアップデートだけではなく中長期の成長戦略についての解説を行っています。このため、長期投資で資産形成を目指す個人投資家にとっては、この時期の決算説明会は投資アイデアを探すための情報の宝庫となります。

説明会に参加できない個人投資家のために、ホームページにおいて決算説明会資料を掲載するだけではなく、説明会の模様を動画や音声で配信している企業も増加していますので、ぜひ活用してみましょう。

【2016年5月13日 投信1編集部】

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LIMO編集部