株式市場の振り返り-+2%超の上昇で続伸、好調が続いた新興市場は小休止

2016年5月10日(火)の東京株式市場は続伸となりました。日経平均株価は前日比+2.1%の上昇、TOPIXも+2.1%の上昇で引けています。一方、東証マザーズ総合指数は▲1.3%の下落となり、4日ぶりの反落となりました。

日経平均株価は、前日比+91円高で寄り付きましたが、すぐに下値を模索する展開となり、前場早々には+13円高まで切り下げました。しかし、前場半ば過ぎから買いが優勢となり値を上げ始め、後場には一時+371円高となる場面も見られました。その後は上値がやや重くなったものの、大引けは+349円高となる16,565円で終わっています。

東証1部で上昇したのは1662銘柄、値下がり239銘柄、変わらず48銘柄でした。東証1部の出来高は23億7,282万株、売買代金は2兆4,297億円(概算)となっています。絶対的な水準では依然として薄商いですが、前日の超閑散状態から見れば、相応の活況を取り戻したと言えます。

セクター動向と主要銘柄の動き-31業種が上昇。輸出関連業種への買いは極端に大きくなかった模様。

東証1部で上昇したのは31業種、下落したのは石油・石炭▲1.0%と鉱業▲0.0%の2業種のみでした。上昇率上位は、その他金融+3.7%、保険+3.5%、ガラス・土石+3.4%、金属製品+3.3%、ゴム製品+3.3%などでした。円安が進んだ割には、輸出関連業種への買いは極端に大きくなかったようです。

個別銘柄では、前日に通期業績予想を上方修正したライオン(4912)が大幅高となり、連なるように花王(4452)も値を上げました。こうしたトイレタリー株に呼応する形で、日東電工(6988)を始めとする化学株も上昇が目立っています。また、KDDI(9433)やソフトバンクグループ(9984)などの通信株も好調でした。さらに、円安を背景に、トヨタ自動車(7203)やオリンパス(7733)も高く推移して終わっています。一方、商社株には軟調なものが目立ち、三井物産(8031)、丸紅(8002)、住友商事(8053)などが下落しました。他には、コマツ(6301)や日立建機(6305)などの建機株も不振となり、電機セクターでは日立製作所(6501)も値を下げています。

本日のポイントと注目テーマと関連業種-材料難だからこそ好業績銘柄に注目、輸出関連は慎重に

10日の株式相場は、日経平均株価が+350円近く上げる続伸となりました。大きな要因は円安進行ですが、為替敏感株が極端に上昇していないことを勘案すると、4月末からの下げ過ぎの反動と見た方がよいかもしれません。本格的な反発局面ではないと感じている人も多いと思われます。

そうは言っても、円安が進んでおり、一時は109円台前半を付けました。4月28日に起きた“日銀ゼロ回答”直前の為替レートが111円/ドルでしたので、まだ“円安”と呼べる状況ではないかもしれませんが、円高進行が一服したことは確かです。この2週間でかなり安くなった輸出関連株に対しても、下値を意識する局面が続く可能性があります。ただ、麻生財務大臣を始めとする政府閣僚の“牽制球”の効果がいつまで続くのか注意が必要です。

さて、決算発表(業績修正含む)で好業績や内容の良かった企業の株価は、堅調に推移しているケースが多く見られます。10日は、当マーケットコメントでも注目を続けていたトイレタリーセクターの主力銘柄の1つであるライオンが、株式分割を考慮した実質的な上場来高値を更新しました。他のセクターでも、11日(水)も引き続き主力企業の決算は要注目と言えましょう。

このような中、11日は引き続き、内需関連銘柄に注目します。建設、不動産、小売、トイレタリーを含む化学などに目を向けたいところです。輸出関連株、とりわけ、大手企業の決算発表を控えている自動車株に対しては、より一層慎重に臨みたいと考えます。

【2016年5月10日 投信1編集部】

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LIMO編集部