あなたの命の値段の1万分の1は何円?
「あなたに危険な仕事を頼みたい。死ぬ可能性が0.01%あるが、何円払えば引き受けてくれるか?」と聞かれたら、何円と答えますか?
「あなたは、50%の確率で死ぬ危険な仕事をしている。あなたに、さらに危険な仕事を頼みたい。50.01%の可能性で死ぬことになるが、何円払えば引き受けてくれるか?」と聞かれたら、何円と答えますか?
答えは同じでしたか? 多分、二問目の方が小さな金額を答えた人が多いのではないでしょうか。「50と50.01は誤差の範囲だが、0と0.01には大きな違いがある」と感じた人は多いはずです。
ここからは余談です。「あなたは、0.01%の確率で死ぬ病気にかかっている。療す薬を持っているが、何円で買うか?」と聞かれたら、第一問と同じ金額を答えるでしょうか? 多分、第一問より小さい金額を答える人が多いと思います。
それは、人間は「事態の悪化は極端に嫌がるが、事態の好転はそれほど喜ばない」からなのです。
「あなたは、50.01%の確率で死ぬ病気にかかっている。確率を50%に下げる薬を持っているが、何円で買うか?」と聞かれたら、多分今までで最も小さな金額を答える人が多いでしょう。
では、「あなたは、100%の確率で死ぬ病気にかかっている。確率を99.99%に下げる薬を持っているが、何円で買うか?」と聞かれたら、どうでしょうか。
私としては、「すべての質問が、命の値段の1万分の1を問うているのだから、同じ金額を答えるべきなのに、人間というものは・・・」と考えて、そういう講演をしていました。しかし、ある時鋭いご指摘をいただいたのです。
「最後は全財産が正しいです。死んだら財産を持っている意味がありませんから」というのです。完璧に納得しました(笑)。