5. 住民税非課税世帯に関するよくある質問

優遇措置を使うにあたっては、「将来への影響」や「預貯金の扱い」について疑問を持つ人も少なくありません。よくある2つの質問に答えます。

5.1 Q1. 国民年金保険料の免除を受けると、将来の受給額は減る?

A. 全額を納めた場合と比べると、将来受け取る老齢基礎年金は少なくなります。それでも、手続きをせずに「未納」にするよりは、はるかに有利です。

全額免除が認められた期間は、保険料を納めていなくても、老齢基礎年金の額に2分の1(税金でまかなう分)が反映されます。未納のままにすると、その期間は額に反映されません。

未納の期間があると、病気やけがで障害が残ったときや、家族を残して亡くなったときの保障を受けられない場合もあります。免除された保険料は10年以内なら後から納める(追納する)ことができ、受給額を満額に近づけられます。

5.2 Q2. 預貯金が多くても住民税非課税世帯になれる?

A. なれます。住民税がかかるかどうかは前年の所得で決まり、いま持っている預貯金や不動産の額は判定に入りません。

住民税は、1年間にどれだけ稼いだかにかかる税金です。どれだけ資産を持っているかは基準にしていないため、数千万円の預貯金があっても、前年の所得が基準以下なら非課税になります。

ただし、次の点には注意が必要です。

  • 株式の配当や売却益:確定申告をして所得に含めると、非課税の基準を超えることがある
  • 資産を要件にする制度:介護保険施設の食費・居住費の軽減のように、預貯金の額も要件に入る制度がある

このように、住民税非課税世帯になるかどうかと、それぞれの優遇措置を受けられるかどうかは、別々に確かめる必要があります。気になる制度があれば、市区町村や年金事務所などの窓口で、自分が対象になるかを確認してみてください。

6. 【元公務員の視点】自動で受けられる措置も「申告」が前提

8つの優遇措置は、市区町村が判定して自動で適用されるものと、自分で申請や請求をしないと受けられないものに分かれます。国民年金保険料の免除や修学支援は、手続きをしてはじめて受けられる措置です。

自動で適用される措置も、前年の所得が分かっていることが前提です。筆者が元公務員として国民健康保険を担当していた頃は、住民税の課税情報をもとに保険料を計算しており、所得の申告がない世帯は軽減にあたるかを判定できませんでした。

収入がない年も、住民税の申告をしておくと所得が確定し、非課税の証明書も取れるようになります。まずは住んでいる市区町村の税務の担当窓口で、申告が済んでいるかを確かめてみてください。

7. まとめにかえて

住民税非課税世帯になると、国民健康保険料や介護保険料の軽減、医療費の上限の引き下げ、保育料の無償化など、暮らしに関わる負担がいくつも軽くなります。非課税になる年収の目安は、たとえば神戸市の単身者なら給与だけで110万円以下、65歳以上の年金だけなら155万円以下です。

2027年度の住民税からは、給与だけの単身者の目安が119万円以下に上がります。目安は市区町村や家族の人数で変わるため、気になる人は住んでいる市区町村の案内で確かめ、分からないことは税務の担当窓口に相談してみてください。

参考資料

太田 彩子