物価が上がり続けるなか、家計の負担を少しでも軽くできる制度がないか、気になっている人もいるでしょう。住民税がかからない「住民税非課税世帯」になると、国民健康保険料の軽減や医療費の上限の引き下げなど、いくつもの優遇措置の対象になります。
非課税になる年収の目安は、住んでいる市区町村や家族の人数によって異なります。来年度にあたる2027年度の住民税からは給与所得控除が見直され、たとえば神戸市では、給与だけの単身者の目安が年収110万円以下から「119万円以下」に上がります。
この記事では、住民税非課税世帯が受けられる8つの優遇措置と、非課税になる条件や年収の目安を確認します。
1. 【住民税非課税世帯】受けられる8つの優遇措置
住民税非課税世帯とは、世帯の全員が住民税を課されていない世帯のことです。臨時の現金給付とは別に、こうした世帯の暮らしを支える優遇措置が、医療や介護、子育て、教育などの分野に用意されています。
代表的な8つを一覧にすると、次のとおりです。
住民税非課税世帯が受けられる主な優遇措置8つ。申請が必要なものと、自動で適用されるものがある1/3
出所:厚生労働省、全国健康保険協会、こども家庭庁、文部科学省、日本年金機構の資料をもとにLIMO編集部作成
1.1 国民健康保険料の軽減
国民健康保険料(税)のうち、加入者の人数や世帯ごとにかかる部分(均等割・平等割)が、世帯の所得に応じて7割・5割・2割のいずれかで軽減されます。たとえば2026年度の7割軽減は、世帯の所得が43万円以下(給与や年金を受け取る人が2人以上いる場合は加算あり)の世帯が対象です。
軽減は前年の所得をもとに市区町村が判定するため、申請はいりません。ただし、収入がない人も住民税の申告をしていないと、所得が分からず軽減が受けられないことがあります。
1.2 介護保険料の負担軽減
65歳以上の人が納める介護保険料は、本人と世帯の所得に応じた段階で決まります。本人も世帯の全員も住民税非課税なら、保険料の低い段階に入ります。
段階の数や1年間の保険料の額は、市区町村ごとに異なります。自分の段階は、市区町村から届く介護保険料の決定通知書で確かめられます。
1.3 国民年金保険料の免除・納付猶予
2026年度の国民年金保険料は月1万7920円です。前年の所得が一定以下で納めるのが難しい場合は、申請すると全額免除や一部免除、納付猶予を受けられます。
全額免除が認められた期間も、老齢基礎年金の額には2分の1が反映されます。手続きをせずに未納のままにすると、この分は受け取れません。
1.4 高額療養費の自己負担上限額の引き下げ
1カ月の医療費の自己負担には、所得の区分ごとに上限があります。住民税非課税世帯の区分は、課税されている世帯よりも上限が低く設定されています。
たとえば70歳以上で住民税非課税世帯の人は、外来の上限が月1万1000円です(2026年8月診療分から)。マイナ保険証を使えば、窓口で区分に応じた上限までの支払いで済みます。
1.5 入院時の食事代の減額
入院中の食事代は、1食ごとに決まった額を自分で負担します。2026年6月からは一般の人が1食550円のところ、住民税非課税世帯の人は1食270円です。
過去1年の入院が90日を超えた人は1食220円、70歳以上で所得がさらに低い人は1食130円になります。90日を超えた分の減額は、加入している健康保険への申請が必要です。
1.6 0〜2歳児の保育料の無償化
3歳から5歳までの子どもは、世帯の所得にかかわらず保育所などの利用料が無料です。0歳から2歳までの子どもは、住民税非課税世帯であれば利用料が無料になります。
認可外の保育施設を使う場合も、市区町村から保育が必要と認定されれば、0歳から2歳の子どもは月額4.2万円まで無料になります。3歳からの無償化とあわせると、小学校に入るまでの保育の費用を大きく抑えられます。
1.7 大学などの修学支援
大学や短期大学、高等専門学校、専門学校に進む学生は、授業料・入学金の免除や減額と、返還のいらない給付型奨学金を受けられる場合があります。支援の額は世帯の収入に応じた区分で決まり、住民税非課税世帯はもっとも手厚い区分です。
なお、2025年度からは、子どもが3人以上いる多子世帯の学生も、所得の制限なく国が定める額まで授業料・入学金が減免されています。
1.8 自治体独自の支援
国の制度のほかに、市区町村が独自に支援を設けている場合もあります。内容や金額は地域によって異なるので、住んでいる市区町村の案内で確かめてみてください。
住民税非課税世帯というと、年金で暮らす高齢者世帯を思い浮かべるかもしれません。実際には、失業した人や育児休業で一時的に所得が減った世帯、所得の少ない個人事業主なども対象になることがあります。