6. 【行政の現場を取材してきた視点】検証:国保の「扶養なし」は人数分の均等割で、比べるのは退職理由と家族の人数
今回の試算で、国保の保険料のうち家族の人数で決まる均等割は、3人世帯で年約16.7万円でした。所得がない配偶者と未就学児の分だけで、年約10万円になります。会社の健康保険では払っていなかったお金です。
一方で、国保と任意継続のどちらが安いかは、一つの答えにはなりません。給与が高く家族が多い世帯は任意継続が少なくなりやすく、倒産・解雇などで離職した人は国保の軽減で逆転することがあります。
比べる前に、自分の離職理由が軽減の対象になるかを確かめておきたいところです。離職票やハローワークの受給資格の書類に書かれた離職理由コードが、国保の軽減の入口になります。
もう一つの見方は、期間です。任意継続の保険料は原則2年間変わりませんが、国保は毎年度、前年の所得で計算し直します。退職した翌年度は、退職した年の所得で計算されます。また任意継続は、本人が申し出ればやめて国保に切り替えられます。
家族を扶養に入れていた人ほど、退職後は「人数分の均等割」が加わります。退職の前に、市区町村の国保の窓口と協会けんぽで、自分の世帯の額を両方とも出してもらうことをおすすめします。
7. まとめ
国保に扶養のしくみはなく、収入のない家族にも1人ずつ均等割がかかり、世帯主がまとめて払います。未就学児は均等割が5割軽減されますが、家族が多いほど保険料は増えます。
任意継続は家族の分の負担がない一方、会社が払っていた分も含めて自分で払います。前年の所得、家族の人数、離職の理由で、どちらが少ないかは変わります。退職の前に、両方の額を確かめておきましょう。
※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。保険料の額や軽減の対象は、お住まいの市区町村の国民健康保険の窓口と、全国健康保険協会の都道府県支部でご確認ください。
参考資料
- 厚生労働省「国民健康保険の保険料・保険税について」
- e-Gov法令検索「国民健康保険法」
- 大田区「国民健康保険料の計算方法」
- 大田区「保険料の負担軽減(減額・免除)」
- 全国健康保険協会「任意継続」
- 全国健康保険協会「令和8年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限について」
- 全国健康保険協会「令和8年度保険料額表」
- 国税庁「令和7年分 民間給与実態統計調査」
- 国税庁「No.1410 給与所得控除」
齊藤 慧