とある会社に勤務する中堅社員の主人公。連休明けに出社したところ、上司から「連休はどこかに行ったの?」という質問が。「係長が世間話なんて珍しい」と思いつつも「はい、近所の牧場に観光に…。」と素直に答える主人公。すると、係長が、すっと手を差し出してきました。

「え?何?」と驚く主人公に、「俺へのお土産は?当然用意しているんだよな?早く渡しなさい。」と言う係長。主人公の脳内で妄想スイッチが入ります。

休日明けの会社。山のようなお土産を抱えて、出社した主人公。そのまま係長の席に行き、「係長、お土産を持ってきました。」と、殿様への献上品よろしく、持ってきたお土産を差し出します。「これが牧場のお土産で、こちらが駅前のコンビニのお土産。そして近所のパン屋にもいきましたので、そのお土産がこちら…。」と、主人公が説明を加えるそばから、次々とお土産の品を口に入れていく係長。主人公のお土産の報告が終わるころには、すべて食べ終わり、係長はでっぷりとした腹をさすりながら、「よし、いつもご苦労。」と満足げ。

「どこかに行くたびに、お土産を買っていたら、キリがないだろ…。」(妄想終了)

まあ、でも、ないものは仕方がありません。「申し訳ありません。今回は忘れました。」と、いまいち納得がいかないながらも、謝罪を伝えて自席に戻りました。

すると、入れ違いに新人女子が、仕事の用事で係長のもとへ。新人女子にも「連休はどこかに行ったの?」と声をかける係長。すると新人女子は「はい、宝石の博物館に行ってきました。」と元気よく答えます。早速手を差し出そうとする係長の姿が目に入り、「ああ、言わなきゃいいのに…。」と、心配になる主人公。

すると、新人女子。係長が催促の言葉を発する前に、スマホを取り出しながら話し始めました。「私も、お土産忘れたんですよ。でも、せっかくですから、これから係長宛に送ります。1カラットダイヤ、商品代引きで。お支払いは、お願いしますね。」新人女子のスマホに映し出された高額のダイヤの画像を見て、あわてふためく係長。「それは、やめてくれえっ!」

職場における「お土産」問題。「人にお土産を選ぶのもあげるのも好き」という人ならよいのですが、「職場にプライベートのお土産は不要」「社内の付き合いにおける、余計な出費は控えたい」と考える人には、非常に迷惑な風習と映ってしまうことも多いようです。トラブル防止のため「お土産は不要」を掲げている企業も多いようですが、この係長のように、上司である立場を利用して、部下からお土産をせしめようとする態度は、はてさて、いかがなものでしょうか。

新人女子の、「高額商品送り付け」作戦の是非はさておき、「どこかに行ったら、お土産を買ってこなくちゃ。」という社内の雰囲気に、どうにも馴染めない読者の中には、思わずニヤリとしてしまった方もいるのではないでしょうか。次回もどうぞお楽しみに。

【マンガ記事】妄想シャイン

入社3年目でようやくこなれてきたサラリーマンの主人公は、ストレスが溜まるとひたすら妄想しながら乗り切る、妄想社員。オフィスでよくある、ちょっとしたイライラやモヤモヤを、今日も妄想しながら乗り切ります。

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