「住宅ローン破綻」増加の背景〜気がついたら自宅の評価額が大幅下落していることも

ここで注意すべき点があります。まず、ローン残高に関しては、返済方法が元利均等返済か、それとも、元金均等返済なのかです。恐らく、多くの方が元利均等返済(毎月の返済額が一定の方法)だと思われます。

元利均等返済は、返済開始当初は負担が少ない一方で、支払金利分が多くなるため、借入残高の減り方が遅くなります。

たとえば、一定期間が経過した後(例えば10年経過後)、住宅ローン残高が思いのほか多額である(減っていない)ケースが多く見られています。実際、最初の数年間は、毎月コツコツと返済している額の3分の2以上が金利ということも珍しくありません。

住宅の評価額は、自然災害による類似物件の価格変動にも左右される

自宅の評価額に関しては、様々なサイトで大まかな額を調べることが可能です。ただし、この評価額(=市場取引額)は、買い手と売り手の需要で決まりますから、何らかの理由で大きく変動することが多々あります。具体的には、投資家のニーズ、大きな経済変動、自然災害による類似物件の価格変動などです。

これらは全て注意が必要ですが、最後の自然災害による影響は見落としがちです。実例を挙げれば、東日本大震災が発生した時、津波リスクがある湾岸地域や、液状化リスクの高い埋立地の不動産価格が急落しました。

また、最近では台風による河川氾濫の災害があり、郊外のタワーマンションも断水等で大きな影響を受けたのは記憶に新しいところです。今後、類似物件が何らかの影響を受けて価格下落を起こす可能性は払拭できません。

そして、最大の注意点は、こうした自然災害による価格変動は一定のタイムラグを置いてから表面化することです。いずれにせよ、ある日調べてみたら、自宅の評価額が考えていた以上に下落していることは決して珍しくないのです。

ローン残高と自宅の評価額をチェックしてみよう

住宅ローンの返済が順調に進んでいて、この先も滞る懸念がないならば、こうした心配は無用です。しかしながら、前掲の既に破綻した2~4%の借入債務者も、最初から破綻のリスクに直面していたわけではないでしょう。ある日気が付いたら、住宅ローンの返済が困難に陥っていたというパターンが多いのです。これは、破綻済みの3倍程度いると見られる破綻予備軍も同様です。

何の懸念もなく順風満帆な人でも、ぜひ一度調べて見てください。危機が突然やって来ても対処できるように。

葛西 裕一

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執筆者

国立大学卒業後、国内・外資系の金融機関にて23年勤務後に独立。証券アナリストなどの職務を経験し、ファイナンシャルプランナー関連等の金融系資格を多数保有。専門は株式投資、貴金属投資、年金、相続、不動産。