「財政赤字による世代間の不公平」は存在しない。財務省はミスリーディング

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財政赤字が巨額であることを説明する際、家計の赤字に例える場合がありますが、それはミスリーディングなのでやめるべきだ、と久留米大学商学部の塚崎公義教授は主張しています。

財務省がミスリーディングな説明を展開

財務省のホームページに掲載されている令和元年10月の「日本の財政関係資料」には、「我が国の一般会計を手取り月収30万円の家計に例えると、毎月給料収入を上回る37万円の生活費を支出し、過去の借金の利息支払い分を含めて毎月16万円の新しい借金をしている状況です。」という記載があります(21ページ)。

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財政赤字が巨額であることを読者に印象付け、増税の必要性を認識してもらおう、という意欲の表れなのでしょうが、こうしたミスリーディングなことはやめていただきたい、と強く思います。

ミスリーディングな理由の第一は、日本国と外国との取引の結果である経常収支は黒字だ、ということです。理由の第二は、緊縮財政の影響が国民生活や政府の税収に悪影響を与える、ということです。

日本国は黒字なのに・・・

日本国と外国との取引結果である経常収支は、大幅な黒字です。財務省が赤字だと言っているのは、日本国内での中央政府と他部門との取引の結果である財政収支のことです。

ちなみに「国の赤字は巨額」などという表現も財務省は使いますが、これも日本国の赤字ではなく、「地方公共団体と区別するために中央政府のことを国と呼ぶとすると、国の赤字は巨額」というだけの意味なのです。

したがって、一般会計は「家計の一部である夫の小遣い帳」にでも例えるべきであって、家計簿そのものに例えるべきではありません。

家計が倹約しても赤の他人が困るだけだが・・・

我が家の家計簿が赤字ならば、外食の回数を減らせば良いのです。それにより困るのは赤の他人であるレストランですから、我が家の赤字は容易に減らせるでしょう。

しかし、財政が赤字だからと言って財政支出を減らせば、あるいは増税をすれば、困るのは赤の他人ではなく国民です。しかも、増税等で景気が悪化すれば税収が減少し、自分で自分の首を絞めることにもなりかねません。

その意味でも、一般会計は家計簿ではなく夫の小遣い帳に例えるべきでしょう。

夫は赤字だが妻は大幅黒字で家計は安泰

夫は30万円の給料を全額妻に生活費として渡しているほか、子供たちに小遣いを10万円渡しているため、小遣い帳は10万円の赤字です。妻は、パート収入20万円のうち10万円を夫に貸し、残りの10万円を銀行に預金しています。

家計全体としては、外部に対して黒字なので、夫が消費者金融に借金返済を迫られるようなことにはなりません。妻は夫に借金を返すように迫り、夫は妻にも生活費を負担させようとして、夫婦げんかが絶えないかもしれませんが(笑)。

夫が赤字を減らしても、何も変わらない

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塚崎 公義

1981年 東京大学法学部卒業、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行
おもに経済調査関連業務に従事した後、2005年に退職し、久留米大学へ。
現在は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は勤務先と関係なく個人として行なっているため、現職は経済評論家と表記したものである。
(近著)
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