半導体用シリコンウエハーは、出荷面積の減少が続いている。ただ、足元ではロジック向けは先端品を中心に需要が回復、底打ち感が出てきた。生産調整が広がっていたメモリー向けも、一部企業でウエハー投入量を増やす動きが出てきた。ただ、全体的に回復基調に転ずるには、今しばらく時間を要する見込みで、需給ギャップは2020年以降も継続する見込み。ウエハー供給各社の収益性は長期供給契約(LTA)比率の多寡が左右することになりそうだ。

7~9月期は2%減、4四半期連続で減少

 業界団体SEMIが発表した2019年7~9月期のシリコンウエハー出荷面積は、前四半期比2%減の29億8300万平方インチとなり、4四半期連続で減少した。出荷面積ベースでは、ちょうど1年前の18年7~9月期が過去ピークとなっており、それ以降はメモリーの生産調整の影響が出ている。通年ベースでも19年の出荷面積は前年比6%減となる見通し。

 主要なウエハー供給各社の7~9月期業績も振るわない。SUMCOの7~9月期業績は、売上高が721億円(前四半期比3%減/前年同期比14%減)、営業利益が89億円(同35%減/同62%減)となった。1~9月期の9カ月累計の営業利益は前年同期比34%減の424億円。数量調整に加え、台湾子会社のFST(FORMOSA SUMCO TECHNOLOGY)の契約の大半がスポット品であったため、数量減とスポット価格下落が業績に大きく影響した。

 独シルトロニックの7~9月期売上高は3億ユーロ(同4%減/同21%減)、EBIT(利払い前・税引き前利益)マージンは21.2%(同2.7ポイント減/同15.1ポイント減)となった。同社は売上高に占めるLTAの割合が6割と競合他社に比べて低いこともあり、収益性が一段と悪化している。

 足元の状況を受けて、ドイツ国内の工場を中心に従業員の削減(レイオフ)などにも着手しており、今後は米国ポートランド工場も同様の措置を取るとしている。

 LTA比率が9割を超える信越化学工業、ならびにグローバル・ウェーハズ(GWC)は上記2社に比べて高い収益性を維持している。信越化学の営業利益率は前四半期比で低下したものの、依然として3割以上をキープ。GWCは価格改定を主因に、この状況下でも前年同期で営業利益率がアップしている。

LTAで守られている価格面にも影響

 足元の市場環境については、ロジックは上期に一部数量調整があったものの、7~9月期は需要が回復しており、先端品を中心に伸長している。懸案のメモリー向けは、韓国メーカーの一部でNANDのウエハー投入量のカットを解消する動きも出てきており、顧客によっては前向きなスタンスを取るところも出てきた。メモリー向けが多いFSTの10月売上高も前月比で微増となっており、下げ止まりの兆候を見せている。

 ただ、こうした動きはまだ限定的で、他のメモリーメーカーは生産調整を継続しているところが多いもようだ。300mmウエハーの需給バランスにおいて、19年は9%程度の需給ギャップがあるとみられ、20年もこの流れが続く。20年は前年に対して、業界全体の供給能力がおよそ月30万枚程度増えると予想され、ウエハー需要が増えなければ、需給ギャップはさらに広がる懸念があり、現在はLTAで守られている価格面にも影響が出る可能性もある。

電子デバイス産業新聞 副編集長 稲葉 雅巳