大きな話題となった「老後2,000万円問題」。金融庁が提示した報告書「高齢社会における資産形成・管理」の中で、老後の生活には公的年金とは別に2,000万円が必要という記載があることが指摘されました。

政府側の見解はあるものの、この報告書を作成したのは、大学教授や金融サービス提供者などの専門家たちで構成されている「金融審議会 市場ワーキング・グループ」。日本経済・社会システムの変化なども踏まえて、2018年9月から計12回開催された議論の内容をまとめています。

この報告書を野党が問題視し、マスメディアでも大きく報じられました。その後金融庁は「議題にしない」ことを決定し、新たな報告書をまとめることになりましたが、老後資金について新たな試算はしないようです。
問題となった報告書ですが、今でもHPで閲覧することができます。この報告書は私たちの老後資産を考える上で、有益な面もあります。今一度、振り返ってみましょう。

1.「2,000万円」出てきた「報告書」の中身、5つのポイント

2,000万円という数字がどうして出てきたのか。まずは報告書の中身をまとめてみましょう。ポイントは以下の5つです。

・医療の発展とさらなる長寿化
・勤労者収入の伸び悩み、少子高齢化による人手不足、就労の変化
・高齢者の収入支出状況・資産状況の格差
・認知症の増加と対応
・金融環境の変化、金融サービスの環境整備

この5つを見てみると、現在の日本社会の構造や、それによる社会的問題が網羅されていることがわかります。

2.「老後2000万円」は現実的な数値